魔法武士・種子島時堯

克全

第178話街道整備

1543年2月21日『京・種子島屋敷』種子島権中納言時堯・15歳

「権中納言殿、熱心に道普請をされておじゃるが、周りの守護や国衆が攻め込んで来たりはしないでおじゃるか?」

「その点は大丈夫でございます、要所要所に城砦を設けて国境で防ぎ止めるようにしております」

「では攻め込むために道普請をしているのでおじゃるか?」

「それもございますが、畿内の種子島領内の物の流れをよくするためでございます」

「今でも以前とは比べものにならないくらい便利でおじゃるが?」

「民百姓が、もっと安く多くの物を買える世の中にしたいのです。その為には全ての関所を廃止て、広く安全な街道を複数整備する必要があるのです」

「そうでおじゃるな、権中納言殿が若狭街道を整備してくれたお陰で、若狭国の海の幸が安価になったでおじゃる」

「若狭国が武田家のままですと、どうしても多くの関所があるため、公家衆はともかく民百姓は安価に海の幸を買うことが出来なくなります。何よりも米作りに必要な魚肥に税をかけられては困るのです」

「そういうことでおじゃったか、では摂津も早々に攻め取り、摂津から若狭まで種子島家で治める必要がおじゃるな」

「はい、ですがまずは北国街道・西近江路・塩津街道を整備して、領内の移動を容易くする必要がございます。禅定太閤殿下が九州で見られたような、馬車鉄道が行き違い出来るような広く歩きやすい街道を整備したいのです」

「そうなれば素晴らしいでおじゃるな」

「大丈夫でございます、今年中には京・山城国・大和国・近江国・若狭国・紀伊国を結ぶ主要な街道は整備できます」

「だいじょうぶでおじゃるか? さすがに全てを1年で整備するのは無理でおじゃろう?」

「そうですね、全ては無理ですが、京から海を結ぶ街道を1本に絞って優先的の整備いたします。それに銭に糸目をつけなければ、各国の民百姓が農閑期に働きに参りますし、日々増え続ける奴隷を使えば決して不可能という訳ではありません」

「本当にそうなって欲しいものでおじゃる、九条家は権中納言殿のお陰で不自由無く暮らしていけるようになったでおじゃるが、京の庶民にも美味しい若狭の塩鯖や一夜干しの烏賊を食べれるようになって欲しいでおじゃる」

「大丈夫でございます、若狭国を手に入れる事が出来ましたから、蝦夷国や樺太国から塩鮭や身欠き鰊を安価で大量に京に運ぶ事が出来るようになりました。塩が強く利いた鮭を熱々の湯漬けして食べると絶品でございますし、身欠き鰊を昆布で巻いて醤油煮にした物も、茄子と一緒に煮しめた物もとても美味しいです」

「何だが食べたくなってきたでおじゃる! 今屋敷に塩鮭はおじゃるか?」

「ございます、食べられますか?」

「丼飯に塩鮭に切子と海苔を乗せて、熱々の湯をかけたものが食べたいでおじゃる!」

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