魔法武士・種子島時堯

克全

第135話人材派遣

1540年10月15日『台湾国』種子島権中納言時堯・12歳

「権中納言殿、御上の願いを聞き届けてくれるでおじゃるか?」

「御上の望まれる事なら、何であろうとのも叶えさせて頂きたいのですが、そのような事をすると公家衆の方々の反感を買いはしませんか?」

「そんな事はないでおじゃるよ! 元々費えがなくて官を置くことが出来なかったでおじゃる。それを扶持を与える必要がなく、権中納言殿の家臣が務めてくれると言うのでおじゃる。それに公家衆の子弟や子女を、種子島家で召し抱えた上で宮中に派遣してくれるでおじゃる、反感などもたないでおじゃるよ」

「では御上が望まれた官職について、禅定太閤殿下と1つ1つ種子島家から出すべきか考えさせて頂きましょう」

「それでいいでおじゃるよ」

「大舎人は御上に供奉して宿直や様々な雑用をこなしますから、公家衆の子弟を召し抱えて派遣させたいと思います」

「万が一の時を考えて、頭だった者は種子島家から武芸を極めた者を派遣して欲しいでおじゃる。同じように内裏の雑用に用いられる内豎も同じようにしておじゃれ」

「承りました、ならば帯刀宿衛・供奉雑使・駕行時の護衛などの、御上の身辺警護を務める内舎人は種子島家から派遣させていただきます」

「御上は権大納言殿が作る料理や酒が大好きでおじゃるから、内膳司・造酒司・大膳職・大炊寮にも多くの人を派遣して欲しいでおじゃる。もちろん御上の診察や治療を行う典薬寮にも派遣して欲しいでおじゃる」

「承りました、では夏に氷を保管したり扱ったりする、主水司はどういたしましょうか?」

「権中納言殿が運んでくれなければ、あのようにふんだんに氷を使うことなど出来ないでおじゃる。主水司にも人を派遣して欲しいでおじゃる」

「それと今公家衆に写本をお願いしている図書寮の事なのですが、大切な本を複数保管しておく為にも、伊勢神宮や大宰府・禰占・国分清水などにも保管したいのです。そのための写本を版木で大量に印刷したいのですがよろしでしょうか?」

「かまわないでおじゃる、版木であろうと権中納言殿が考えだした活版印刷であろうと構わないでおじゃる。写本を権中納言殿が買い取ってくれるので、どの公家衆も家伝の日記や書物を写本しているでおじゃる」

「大切な大切な書物が戦乱で失われるのは忍びないです。蘇我蝦夷が討ち取られた時に、それ以前の皇室の記録が全て戦乱に巻き込まれて失われたことが残念でなりません。ですから遠く離れた地に4つ5つと同じ本を揃えておきたいのです」

「分かったでおじゃる、それに図書寮で作らせている紙・墨・筆なども、種子島家で作られた物の方がいい品でおじゃる」

「禅定太閤殿下にそう言って頂ければ、作っている職人たちも光栄に思う事でしょう」

「それと六衛府に加えて滝口武者も種子島家から派遣して欲しいでおじゃる」

「承りました」

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