魔法武士・種子島時堯

克全

第95話両琉球侵攻計画

1539年3月『筑前国・大宰府』種子島大弐時堯・11歳

「大琉球は、石垣と宮古の民に人頭税を掛けるなどの圧政を行い、払えない民を奴隷として売り払っております」

「そうでおじゃるか、それで大琉球に侵攻する心算なのでおじゃるな」

「はい、ですが京に行く予定を禅定太閤殿下が組んでいて下さるなら、侵攻を遅らせます」

「そのような必要があるのでおじゃるか? 大弐殿なら今直ぐにでも大琉球を支配下に置くことが出来るのではないでおじゃるか?」

「何故そう思われるのでございますか?」

「それは簡単でおじゃる、対馬国も隠岐国もそうだったでおじゃるが、国衆・地侍の全てが大弐殿との交易で生活していたでおじゃる。そのために大弐殿が侵攻したら喜んで直ぐに降伏臣従したでおじゃる、大琉球国の国衆・地侍も全員大弐殿と交易しているのではないでおじゃるか?」

「ご明察の通りでございます、全てとは申しませんが、多くの国衆・地侍が種子島家と交易しております。そして多くの利益を上げておりますから、今後は商人としてより多くの交易利益を保証すれば、素直に降伏するかもしれません」

「国衆・地侍としての地位は保証しないのでおじゃるか?」

「土地は全て種子島家の直轄領とする心算です、どうしても武士・国衆としての地位を残したい者には、扶持待遇で召し抱える心算です」

「そうでおじゃるか、出来れば麿が京に戻る前に大琉球国を制圧して欲しいものでおじゃる」

九条禅定太閤殿下との話を終えた俺は、急いで大琉球国侵攻の準備に入った。大琉球が支配している本島や石垣・宮古・奄美の諸島にある城砦の城門・土塁を破壊して回ると言う、いつもの事前準備を毎日行った。

大琉球国の尚王家も、俺が侵攻前に城砦の城門・土塁を破壊して回ることは知っていただろう。いや隣国の俺が、破竹の勢いで九州を侵攻占領しているのを戦々恐々と見ていただろう。だから全力で俺や種子島家の事を探っていたのは、種子島忍軍から報告を受けていた。

尚王家では親方・一般士族と呼ばれる国衆・地侍を動員して防御体制を築こうとした。だが空を翔けて破壊活動をする俺を止めることなど出来ない。1兵も殺す事無く大琉球国尚王家を威圧し、種子島家と交易関係のある国衆・地侍にもプレッシャーをかけた。

種子島家海軍交易艦隊関係者や種子島家御用商人・交易商人が、種子島家の本格侵攻前に大琉球国の国衆・地侍・商人にたいして降伏臣従の条件を打診した。

そして俺は侵攻部隊の編成を本格化し、大琉球国の差別と圧政で奴隷として売られてきた、宮古・石垣出身者を中心として大琉球国奴隷部隊の陸軍軍団を編成した。

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