魔法武士・種子島時堯

克全

第90話正月行事

1539年1月『筑前国・大宰府』種子島少弐時堯・11歳

「少弐様、新年あけましておめでとうございます」

「「「「「おめでとうございます」」」」」

「うむ、おめでとう。昨年1年はよく働いてくれた! 今年も宜しく頼むぞ!」

「「「「「はっは~」」」」」

「では初めに鬨をあげる!」

俺は正月の酒宴を始めるにあたり右手に打ち鮑を持ち、左手に開いた軍扇を持ちあおぎながら。

「えい、えい、えい」

「おー」

俺の掛け声に宴会場に集まった者たちが全員応えてくれる!

俺は打ち鮑を口に入れ噛みしめて味わった後、盃を取って酒を飲む!

会場の皆も同じように神妙に打ち鮑を口に入れ噛みしめ、その後で盃を取って酒を飲む。

「えい、えい、えい」

「おー」

もう1度俺が右手に勝栗を持って鬨をあげる、そして勝栗を口に入れて噛みしめ味わった後で酒を飲みが、会場の皆も先ほどと同じように真似をする。

「えい、えい、えい」

「おー」

3度目には右手に昆布を持って鬨をあげる、そして昆布を口に入れて噛みしめ味わった後で酒を飲むが、会場の皆も先ほどと同じように真似をする。

「堅苦しい挨拶はこれで終わりだ、後は好きに飲み食いしてくれ」

「「「「「おぉ!!!!」」」」」

おいおいおい、勝鬨より最後の返事の方が声がでかいし嬉しそうだぞ!

まあ仕方がない、今回の正月の宴会は、俺が全力を持って食材を集めた贅を極めたものだ!

会場にいる皆にして見れば、御馳走を前にマテをさせられている犬と同じ状態とさえいえるのだ。それこそ欠食児童や食うや食わずの貧民のように料理に喰らい付いているいる。

今回の食材は、俺が転生を重ねて知った加賀前田家3代藩主・前田利常が食したという正月料理を極力真似た物にしている。

初献:長アワビ・かち栗・昆布
二献:鳥盛り(うずら)
五種盛り:カツオ・スルメ・干タラ・いりこ・海苔
雑煮:わらび・くしこ・豆腐・串アワビ・結び昆布・青菜
三献:数の子・梅干・フナずし

本膳
生鮭の塩焼き
あえまぜ和交:鯛・きんかん
香の物:大根
かまぼこ
小桶:秋刀魚なれずし
汁:銀杏の潮汁
高盛御食(ご飯)

二の膳
鮎なれずし
ぼう鱈の酒浸し
くらげ
鰤の塩焼き
貝盛:鱈・鶏・里芋・人参・椎茸・クワイ
汁・白鳥の白味噌汁

三の膳
羽盛・鴨の塩焼き
舟盛:蛸・鰯・鯵・鯖・鰤・
サザエの醤油つぼ焼き
汁:鯛の赤味噌汁

四の膳
鯛塩焼き

五の膳
鯉刺身

敵に打ち、勝ち、喜ぶと、しっかり縁起ものを噛み締めながら気持ちを引き締め、精神の統一を図った後でここにいる皆と揃って鬨の声をあげて一体感を持つつもりだったのだが……

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