地味で器量の悪い公爵令嬢は政略結婚を拒んでいたのだが
第1話:婚約辞退
エヴァンズ公爵家令嬢アマーリエはできるだけ目立たないようにしていた。
ロバート王太子殿下との婚約を自ら辞退した身だ。
舞踏会で目立てるような立場ではない。
いや、そんな建前の問題ではなかった
双子の妹に比べてあまりにも地味で目立たない存在だった。
いや、もっとはっきり言えば、絶世の美女である妹と双子とは誰も信じないほどの不器量、誰もが目をひそめるほどのブスだった。
そんなブスなのに、エドワーディス王国一の名門公爵家の長女であったがために、容姿を無視して王太子との政略結婚が幼い頃から決められていたのだ。
2歳年上の王太子とは幼馴染だった。
将来の国王と王妃として共に帝王学を学ばされた。
乳幼児死亡率の高いこの世界だ、妹のアレグザンドラも予備として同じ教育を一緒に受けていた。
「なんでだ、なんでこんなブスの方が私の婚約者なのだ。
美しい方を私の婚約者にすればいいではないか」
「殿下、そんな事を口にしてはいけません。
礼儀を護れないようでは王位継承権を得られませんぞ」
子供はとても残酷な生き物だ。
見た目の印象をそのまま口にする。
普通子供の世界では大人とは違う美醜や好悪がある。
だがアマーリエの不器量とアレグザンドラの美しさは子供の世界でも同じだった。
ずっと純真な気持ちでいた3人だったが、ロバートとアレグザンドラが美醜に目覚めた時から関係がおかしくなってしまった。
2人よりも美醜や性の目覚めが遅かったアマーリエは、化粧や衣装で不器量を補う事もなく、素のままの自分で居過ぎてしまった。
天然の悪女であるアレグザンドラが、ロバート王子の心を掴めば、公爵家の次女で予備でしかない自分が、姉を押しのけて上の立場に成れると本能で悟ったのだ。
王子や国王、公爵令嬢や王妃の具体的な違いなど分からなくても、今よりもいいドレスを着られて美味しい料理が食べられ、誰にでも命令できると感じたのだ。
それからのアレグザンドラは自分磨きに努力した。
まだ幼いにもかかわらず、ロバート王子が好きな色のドレスを着た。
ロバート王子が好みそうな化粧を侍女に命じてやらせた。
ロバート王子が好む香水を身にまとった。
日々ロバート王子だけを見て、その好みを徹底的に理解した。
だがアマーリエはそんな事に気がつかなかった。
ブスといわれて傷ついていたが、一生懸命勉強していた。
父であるエヴァンズ公爵エドモンドの教えに従い、ひたすら帝王学を学んだ。
その不断の努力の結果が婚約辞退であり、壁の花だった。
傅役や侍従に窘められたロバート王子は、成長と共に「ブスや豚」などと言う悪口は言わなくなったが、眼と態度で雄弁に物語り続けたのだ。
「ブスの分際で私の婚約者に成るんじゃない。
さっさと婚約を辞退して妹のアレグザンドラに婚約者の座を譲れと」
ロバート王太子殿下との婚約を自ら辞退した身だ。
舞踏会で目立てるような立場ではない。
いや、そんな建前の問題ではなかった
双子の妹に比べてあまりにも地味で目立たない存在だった。
いや、もっとはっきり言えば、絶世の美女である妹と双子とは誰も信じないほどの不器量、誰もが目をひそめるほどのブスだった。
そんなブスなのに、エドワーディス王国一の名門公爵家の長女であったがために、容姿を無視して王太子との政略結婚が幼い頃から決められていたのだ。
2歳年上の王太子とは幼馴染だった。
将来の国王と王妃として共に帝王学を学ばされた。
乳幼児死亡率の高いこの世界だ、妹のアレグザンドラも予備として同じ教育を一緒に受けていた。
「なんでだ、なんでこんなブスの方が私の婚約者なのだ。
美しい方を私の婚約者にすればいいではないか」
「殿下、そんな事を口にしてはいけません。
礼儀を護れないようでは王位継承権を得られませんぞ」
子供はとても残酷な生き物だ。
見た目の印象をそのまま口にする。
普通子供の世界では大人とは違う美醜や好悪がある。
だがアマーリエの不器量とアレグザンドラの美しさは子供の世界でも同じだった。
ずっと純真な気持ちでいた3人だったが、ロバートとアレグザンドラが美醜に目覚めた時から関係がおかしくなってしまった。
2人よりも美醜や性の目覚めが遅かったアマーリエは、化粧や衣装で不器量を補う事もなく、素のままの自分で居過ぎてしまった。
天然の悪女であるアレグザンドラが、ロバート王子の心を掴めば、公爵家の次女で予備でしかない自分が、姉を押しのけて上の立場に成れると本能で悟ったのだ。
王子や国王、公爵令嬢や王妃の具体的な違いなど分からなくても、今よりもいいドレスを着られて美味しい料理が食べられ、誰にでも命令できると感じたのだ。
それからのアレグザンドラは自分磨きに努力した。
まだ幼いにもかかわらず、ロバート王子が好きな色のドレスを着た。
ロバート王子が好みそうな化粧を侍女に命じてやらせた。
ロバート王子が好む香水を身にまとった。
日々ロバート王子だけを見て、その好みを徹底的に理解した。
だがアマーリエはそんな事に気がつかなかった。
ブスといわれて傷ついていたが、一生懸命勉強していた。
父であるエヴァンズ公爵エドモンドの教えに従い、ひたすら帝王学を学んだ。
その不断の努力の結果が婚約辞退であり、壁の花だった。
傅役や侍従に窘められたロバート王子は、成長と共に「ブスや豚」などと言う悪口は言わなくなったが、眼と態度で雄弁に物語り続けたのだ。
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