転生 徳川慶勝 日露開戦 日米開戦
第237話:一八四七年、公卿
「陛下に公卿達の引き渡しをお願い致したい」
「不敬でございますぞ、内裏を武士で取り囲むなど、帝に弓引く反逆の行為でございますぞ。
この事、征夷大将軍は御存じなのでしょうな」
「もちろんでございます。
偽勅を発して帝の名を辱め、私利私欲を測る輩を捕縛せよと命じられております」
「何という事を、征夷大将軍が帝に反逆するとは」
「おや、お前も君側の奸、佞臣であったか」
「なに、穢れた人殺しの分際で卿を侮辱するか」
「ほう、我ら武人を人殺しと罵る公卿達のどこが誇り高く立派なのでしょうな。
本来陛下がだされる勅を偽造する。
官職を与えると嘘を言って金を騙し取る。
罰を与えようとすると、陛下が悪事に加担していると疑われるのを知りながら、内裏に逃げ込みでてこない。
まして今回は家慶公と池田恕祥殿に上様弑逆を唆した罪ですぞ!
これを内裏で庇うとなると、陛下の加担を上様が疑われないと思っているのか!」
「な、なにを申される。
帝が征夷大将軍の暗殺を命じるなどありえぬ。
そんな事は絶対にない」
「誰がそのような戯言を信じるのだ。
実際に上様の暗殺を唆した連中が陛下の袖に匿われているではないか。
あの者たちの影に陛下がいた、そう思うのが普通だ。
卿も一味同心であろう」
「違う、我はそのような悪事には加担しておらん。
帝もなにの関係されておらん」
「信じられんな、まあもう構わん。
日ノ本の皇室もこれで絶えるだけよ」
「な、ま、まさか、帝を弑逆しようというのか、この不忠者、反逆者が。
帝を弑逆して自らが皇帝に成るというのが征夷大将軍の本心か!?」
「馬鹿な事を言うな、上様がそのような事を考えられるはずがなかろう。
我ら日ノ本の者も帝を弑逆するなど、公卿以外は考えもせぬよ」
「な、おのれ、我らが帝を弑逆すると申すか」
「実際にやっているではないか。
陛下に刃が迫ると分かっていて、陛下を盾にしているではないか。
これは陛下を殺そうとしている以外の何物でもないわ!」
「だが、まあ、それでも、上様や日ノ本に武人は陛下を弑逆する事はない。
精々後醍醐帝のように幽閉するくらいであろう。
おい、何を安心しておる。
今の徳川家に仕えているのは日ノ本の武人だけではないぞ。
皇帝の歓心を買うためなら、自らの子を蒸し焼きにして差し出す漢人や、蒙古の騎馬民族に、南蛮伴天連まで仕えているのだぞ。
上様を皇帝の位に就かせて、王に封じてもらおうと考える輩は吐いて捨てるほどいるのだぞ、それが分かっているのか。
今直ぐ佞臣共を差し出さねば、陛下の命は、いや、皇統は一年と持たぬぞ」
「お待ちよ、今しばらくお待ちを」
「いや、待たぬ。
我らはもう岡山に帰る。
この度の謀叛は陛下がやらせたものと上様に伝えに戻る」
「不敬でございますぞ、内裏を武士で取り囲むなど、帝に弓引く反逆の行為でございますぞ。
この事、征夷大将軍は御存じなのでしょうな」
「もちろんでございます。
偽勅を発して帝の名を辱め、私利私欲を測る輩を捕縛せよと命じられております」
「何という事を、征夷大将軍が帝に反逆するとは」
「おや、お前も君側の奸、佞臣であったか」
「なに、穢れた人殺しの分際で卿を侮辱するか」
「ほう、我ら武人を人殺しと罵る公卿達のどこが誇り高く立派なのでしょうな。
本来陛下がだされる勅を偽造する。
官職を与えると嘘を言って金を騙し取る。
罰を与えようとすると、陛下が悪事に加担していると疑われるのを知りながら、内裏に逃げ込みでてこない。
まして今回は家慶公と池田恕祥殿に上様弑逆を唆した罪ですぞ!
これを内裏で庇うとなると、陛下の加担を上様が疑われないと思っているのか!」
「な、なにを申される。
帝が征夷大将軍の暗殺を命じるなどありえぬ。
そんな事は絶対にない」
「誰がそのような戯言を信じるのだ。
実際に上様の暗殺を唆した連中が陛下の袖に匿われているではないか。
あの者たちの影に陛下がいた、そう思うのが普通だ。
卿も一味同心であろう」
「違う、我はそのような悪事には加担しておらん。
帝もなにの関係されておらん」
「信じられんな、まあもう構わん。
日ノ本の皇室もこれで絶えるだけよ」
「な、ま、まさか、帝を弑逆しようというのか、この不忠者、反逆者が。
帝を弑逆して自らが皇帝に成るというのが征夷大将軍の本心か!?」
「馬鹿な事を言うな、上様がそのような事を考えられるはずがなかろう。
我ら日ノ本の者も帝を弑逆するなど、公卿以外は考えもせぬよ」
「な、おのれ、我らが帝を弑逆すると申すか」
「実際にやっているではないか。
陛下に刃が迫ると分かっていて、陛下を盾にしているではないか。
これは陛下を殺そうとしている以外の何物でもないわ!」
「だが、まあ、それでも、上様や日ノ本に武人は陛下を弑逆する事はない。
精々後醍醐帝のように幽閉するくらいであろう。
おい、何を安心しておる。
今の徳川家に仕えているのは日ノ本の武人だけではないぞ。
皇帝の歓心を買うためなら、自らの子を蒸し焼きにして差し出す漢人や、蒙古の騎馬民族に、南蛮伴天連まで仕えているのだぞ。
上様を皇帝の位に就かせて、王に封じてもらおうと考える輩は吐いて捨てるほどいるのだぞ、それが分かっているのか。
今直ぐ佞臣共を差し出さねば、陛下の命は、いや、皇統は一年と持たぬぞ」
「お待ちよ、今しばらくお待ちを」
「いや、待たぬ。
我らはもう岡山に帰る。
この度の謀叛は陛下がやらせたものと上様に伝えに戻る」
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