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克全

第192話:一八四〇年、アヘン戦争3

イギリスは一度ならず二度も国民が虐殺されたことに激怒している。
自分達がネイティブにした事を棚に上げてだ。
だがアングロサクソンの性質ならそんなモノだろう。
王室も議会も軍も、清国を滅ぼす勢いで戦争準備をしている。
問題はイギリスがどれだけの戦力を清国に投入するかだった。

アングロサクソンは決して馬鹿ではない。
特に侵略や支配はずる賢く行い利を手に入れる。
今回も第一次東洋艦隊の全滅を考慮して戦力を整えている。
軍艦十六艦、輸送船が二十七隻、武装汽船が四隻の五倍は編制するだろう。
もしくは陸軍兵と輸送船は省いて、海戦特化の数個艦隊を編成するかだ。
まずこちらの海軍力を無力化するのが常道だろうな。

だが第二次イギリス東洋艦隊が清国に到着するまでには一年近く時間がある。
その間にこちらもやるべき事をやる。
日本中を戦時体制にして艦艇の増産をおこなう。
火縄銃や刀剣の量産をおこなう。
兵糧となる食糧の増産と軍用携帯食も増産する。

戦時体制は日本本土だけで行うわけではない。
北米でもシベリアでも中東でも欧州でも行うのだ。
北米では予定通りハドソン湾とフロリダとカルフォルニアで艦艇を建造している。
特にフロリダで力を入れて艦艇建造を行っている。
ここで英本土を狙う大西洋艦隊を編成するのだ。

シベリアでは食糧増産と軍用皮革の生産だが、中東と欧州では艦艇建造だ。
中東とはいっても黒海沿岸とエジプトの地中海沿岸での艦艇建造だ。
ここで建造した艦艇は地中海艦隊か大西洋艦隊として編制できる。
艦艇を大量建造する事で地域経済を活性化することができる。
失業者をなくし貧民対策にもなる。

以前から行っているポーランド・リトアニア王国のバルト海沿岸での艦艇建造や、フランス太西洋沿岸での艦艇建造も造船数を増やしている。
大量の資金が必要になるが、清国から得た莫大な謝礼金がある。
拿捕したイギリス東洋艦隊の価値を考えれば、少々の軍事費は仕方がない。
清国との交易量が急増しているから、その利益で全て補えるかもしれない。
問題があるとしたら、清国で生産させていた汎用の二線級武器が手に入らなくなる事だが、その分は欧州で購入するしかない。

我が軍の問題よりは、イギリスが抱えている問題の方が大きいだろう。
本土の叛乱で生産力が激減している事と、治安が悪化している事。
強制徴募できる成人男子が叛乱で多数死傷している事。
非アングロサクソンの再叛乱に備えなければいけない事。
イギリス本土は万全ではない。

特に大量の海軍艦艇建造と兵力増強に頭を痛めていた。
叛乱を恐れてアングロサクソンを本土外に出すのが不安なのだ。
それが理由で水兵増員のための強制徴募が非アングロサクソン中心に行われた。
ますます国内でアングロサクソンと非アングロサクソンの対立が深まっている。
後はこれをどう利用するかだな。

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