転生 徳川慶勝 日露開戦 日米開戦

克全

第186話:一八三九年、アヘン戦争開戦前2

アヘン戦争はほぼ史実通りに推移していた。
清国貿易監督官としてチャールズ・エリオットが派遣されていた。
エリオットが九竜半島で発生したイギリス船員による現地住民殺害事件の捜査を拒否したのまでは史実通りだった。

だがここからが史実と違う行動になる。
アヘンを確保した俺に現地将兵を止める理由などない。
悪辣非道なアヘン商人に情けをかける必要など全くない。
林則徐の私兵となっていた将兵がマカオに突入してイギリス人を皆殺しにした。
アヘン戦争を勃発させる事が俺の目的だった。

マカオは清国が英国から取り戻すことになった。
マカオにいなくて生き残った英国商人も、清国と貿易できなくなった。
どうしても貿易したければ、足元を見た他国の商人にとても高額な中継運賃を支払わなければいけなくなった。

ここで俺の商船団が活躍することになる。
林則徐と密約を交わして私兵を送り込んでいる俺だけは安全に貿易ができる。
アメリカ合衆国の商船は本国の支援が無くなり既に俺に拿捕されている。
フランス商船も本国を通じての情報で危険を察して逃げている。
他の欧州各国の商船は正体不明の海賊に襲われて船も積み荷も失っている。
そう、正体不明の海賊だ。
安全に交易できるのは俺の商船団だけだった。

こんな状態でイギリス東インド艦隊の六等フリゲート艦、ボレージ号とヒヤシンス号が清国マカオ海上に到着した。
わざと見逃してやったエリオット。
海上に避難していたエリオットと二艦は合流した。

六等フリゲート艦は等級が付く艦艇の中ではもっとも小さくて非力だ。
トン数で言えば四五〇トンから五五〇トン。
兵員数で言えば一五〇名から二五〇名。
艦長が指揮して士官である二人の海尉がそれを助ける。
四人の士官候補生と航海長、船医、主計長、掌砲長、掌帆長といった准士官十一名が搭乗して水兵を束ねている。

武器としては九ポンド砲を二〇門から二八門搭載しているから、我が軍の五十トン快速丸や百トン迅速丸では歯が立たない。
だが三百五十トンの三十六門フリゲート艦ならば互角以上で戦えると思う。
五十二門フリゲート艦なら圧勝できると思う。
それに我が海軍の快速丸と迅速丸は小さくて武装も貧弱だが、スクリュープロペラ式の推進力を持つから、上手く立ち回れば勝てる可能性もある。

排水量に関しては俺の記憶に残っている日本と欧州の資料が交錯しており、軽荷排水量、基準排水量、常備排水量、満載排水量の違いがあって正確ではない。
ただ気をつけないといけないのは砲門の積み過ぎによる艦の復原性が不足だ。
トップヘビーで転覆沈没してしまっては何にもならない。
ただ今の所は交易でも戦闘訓練でも何の問題も起こっていない。
幕末のトン数記載が間違っていて、俺がそのまま使ってしまったのだろう。

まあそんな事は清国をどうするかに比べれば些細な事だ。
いずれイギリスを叩くのは絶対に変えない基本方針だ。
問題はアヘン戦争でどこまで清国を追い込み、国境を日本に有利にさせるか。
中華大陸を内乱で何カ国に割って力を失わさせるかだ。

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