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克全

第173話:一八三八年、地固め

着々と全てが順調に進んでいた。
正直に言おう、ここまで来たらもうよほどの失敗をしない限りロシアにもアメリカにもイギリスにも負けないと思う。
問題になるのは後継問題と内乱だけだ。
一番大切な事は俺が死なない事だ。

織田信長のように本拠地を離れて殺される事は許されない。
寵臣や愛人に殺されるなんてもってのほかだ。
家の充実を図ること、これが一番大切だった。
だから家督の継承順位を今から決めておく。
尾張徳川家の男系を引き継ぐ井上家から側室を迎えたのもそのためだ。

幸い長女の幸は男二人と女一人を生んでくれた。
次女の雪も同じように男二人と女一人を生んでくれた。
問題は正室に迎えた光格天皇の第七皇女・欽宮・蓁子内親王だ。
この人との間に子供をもうけるかどうか、真剣に悩む。
ただ側室を増やしてもっと子供をもうけようとは思う。

井上家からの側室を優先したが、大名同士だと近親婚の恐れがある。
そもそも俺自体が血が濃いという遺伝的な欠点がある。
ここはアウトブリードの考えで近親婚のない女を探すべきだ。
何とも愛も情もない考えだが、俺が近親婚の弊害を無視するわけにはいかない。
士族や地域によっては従兄妹結婚を貴ぶ家が多い。
その辺を徹底的に調査させて側室候補を選ぼう。

徳川本家と皇室については、どれほど気をつけても夭折する者が出てくる。
俺が気をつけても指導しようとも近親婚の弊害はどうしようもない。
同時に医療の遅れも前世のようにはいかない。
やれることは精一杯やっているが、できない事の方が多いのだ。
ただ近親婚の弊害だけはもっと言い聞かせておこう。

後は高直しの問題だ。
家臣や寄騎大名に領地を与えるようにしたから、各地の石高を正確に検知しなければいけない。
そのお陰で寄騎を申し出る大名家が続出している。
明治維新で割を食った大名家を優先するが、兵力が欲しいのは確かだ。

尾張藩と会津藩に続いて紀州にも加わってもらおう。
水戸は既に召し放ち幕臣組み入れで改革している。
そもそも俺自身が水戸系なのだから、これ水戸系を増やす気はない
紀州徳川家だけはまだ手つかずだ。
半数でも動員出来れば一万の兵力を確保できる。
それと奥羽越列藩同盟で頑張った諸藩にも機会を与えよう

後は徳川家斉の子供達を養子に迎えた藩だな。
黒田斉温を養嗣子に迎えた福岡黒田家。
松平斉民を養嗣子に迎えた津山松平家。
蜂須賀斉裕を養嗣子に迎えた徳島蜂須賀家。
松平斉省を養嗣子に迎えた川越松平家。
これで少しは兵力不足を補えるだろう。

「松平斉恕の正室と側室」
光格天皇の第七皇女・欽宮・蓁子内親王(一八二四)
井上正紀の長女幸
:太郎(一八三三年)
:三郎(一八三五年)
:愛華(一八三七年)
井上正紀の次女雪
:次郎(一八三四年)
:四郎(一八三六年)
:静奈(一八三八年)

「高須松平家の役職と血統」
松平義建 :尾張徳川家六十一万九千石当主
松平斉恕 :松前松平家二九万五千余石
松平太郎(一八三三年)
松平次郎(一八三四年)
松平三郎(一八三五年)
松平四郎(一八三六年)
徳川秀之助:尾張徳川家世子(史実の徳川慶勝)
松平寧四郎:美濃国高須藩十二代藩主
松平整三郎:尾張徳川家・高須松平家・松前松平家の予備(史実では夭折)
松平鎮三郎:(史実の松平義比から徳川茂徳から一橋茂栄)
松平重六郎:(史実では戊辰戦争での不名誉な行いにより戸籍から抹消)
松平銈之丞:(史実の松平容保)
松平容敬 :会津松平家二十三万石当主
松平胤昌 :蝦夷新田藩五万石藩主
松平角太朗(一八三六年)
(遠藤鎮三郎:三上遠藤家養嗣子・蝦夷新田藩五万石藩主・松平胤昌)

「松前松平家の石高」
阿羅斯加:四十万石格
エジプト:二十万石
コーカサス:二十万石
カザフ :四十万石
トルクメン:四十万石
アルタイ:二十万石
サヤン :二十万石
ヤルスク:二十万石
益鳥兎 :四十万石格
巴児忽惕:四十万石格
知多  :四十万石格
黒竜江 :八十万石格
勘察加 :八十万石格
沿海  :百二十万石格
千島  :二十万石格
樺太  :百二十万石格
蝦夷地 :百二十万石格
琉球  :十二万石
対馬国 :六二六九石
多禰国 :大隅諸島(種子島と屋久島)六二八五石
:奄美諸島(鬼界島・大島・徳之島・沖良部島・与論島)三万二八二八石
:沖大東島、南大東島、北大東島・尖閣諸島(無高)
:小計四二三万石九一一三石
小笠原国:小笠原諸島三万石
:南鳥島、ミッドウェー諸島、ウェーク島、ジョンストン島(無高)
:小計三万石
合計  :四二六万石九一一三石

「将軍家」
大御所:徳川家斉:二ノ丸
将軍 :徳川家慶:本丸
世子 :徳川家祥:西ノ丸
家慶五男:初之丞
「一橋徳川家」
当主 :徳川斉礼
養子 :徳川民之助(家斉二十二男)
「田安徳川家」
当主 :徳川斉匡:
次男 :徳川匡時:四代目当主となり伏見宮の隆子女王を正室に
四男 :徳川斉位:
五男 :徳川房之助:
養子 :徳川斉荘(家斉十二男)
「清水徳川家」
前当主:徳川斉明(徳川家斉十一男十九歳で夭折)
当主 :徳川斉宣(徳川家斉二十六男)
「尾張徳川家」
隠居 :徳川斉朝:尾張城
当主 :徳川斉義:江戸上屋敷
長男 :松平斉恕:松前藩当主(史実では夭折した転生者)
世子 :徳川秀之助
三男 :松平寧四郎(史実の松平武成)
四男 :松平整三郎(史実では夭折)
「紀伊徳川家」
大隠居:徳川治寶
隠居 :徳川斉順
当主 :徳川慶学(松平頼学・西条藩八代藩主・松平頼啓の長男)
「水戸徳川家」
当主 :徳川斉脩
養嗣子:徳川慶彊(徳川家斉の第二十一男)
長弟 :松平頼恕(讃岐国高松藩九代藩主)
三弟 :松平頼筠(常陸国宍戸藩七代藩主)
「福岡黒田家」
当主 :黒田斉清
養嗣子:黒田斉温(徳川斉温・元尾張徳川家の養嗣子)
「津山松平家」
当主 :松平斉孝
養嗣子:松平斉民(徳川家斉の二十男)
「徳島蜂須賀家」
当主 :蜂須賀斉昌
養嗣子:蜂須賀斉裕(徳川家斉の二十三男)
「川越松平家」
当主 :松平斉典
養嗣子:松平斉省(徳川家斉の二十五男)

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