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克全

第165話:一八三七年、高直しと移籍転封

戦力を増やすためにあえて高直しを行った。
なんの役目もなく徒食している武士層を欲で釣って戦力化するためだ。
この戦いに参加すれば豊かになれると思わせるための詐術だ。
昨年四百万石にした事も大きかった。
そのお陰で貧しい下級旗本と御家人は数多く仕官してくれた。
徳川幕府も無役の旗本御家人を整理できて財政が少し楽になった。

それに加えて今年六百万石に高直しをした事も大きな反響があった。
島津斉彬の島津家を、戦功を評価して征夷大将軍の徳川幕府一万石から、征東大将軍の松平幕府十万石に移籍させて封じたのも大きかった。

島津斉彬の島津家に加えて、島津久寧の島津家も十万石に封じた。
とはいって久寧の島津家は一万石が家臣達が寄贈した蔵入地で、残り九万石は実際に戦った元薩摩藩士の領地になる。

功名で領地を得た元薩摩藩士全員を、斉彬の島津家や久寧の島津家の家臣にすれば、もっと多くの石高になる。

だが元薩摩藩士は陪臣になるよりは直臣になりたい者が多かった。
特に万石以上の領地を得ている者は、一国一城の主になりたいと思ったのだ。
彼らは島津家から離れて俺に忠誠を誓った。
状況が変われば島津家に帰参して身の安泰を図るだろう
だが俺が強力な間は俺に忠誠を尽くしてくれる。

他にも徳川幕府の旗本から松平幕府の万石陪臣に転身してくれた者達が、ようやくエジプトの最前線で戦ってくれるようになった。
彼らの活躍次第で、もっと多くの無役大身旗本が転身するだろう。

板倉小次郎が一万六千石。
横田筑後守が一万九千石。
本多寛司が一万四千石。
菅沼左近将監が一万四千石。
三枝勘解由が一万三千石。
平野権平が一万石。

それと俺は子供をたくさん産んだ女性を表彰した。
いや、産むだけでは弊害があるので、同時に無事にたくさんの子供を育て上げた一家には男女の別なく表彰した。
報奨金を与えると費用がかかるので、武士と同じように感状を与えた。
平民にとって武士同然に感状を与えられる事はとても名誉な事のようで、たくさん子供を産み無事に育てようとする女性がとても増えた。

産めよ増やせよではないが、人口の多さは一つの力になる。
養えるだけの生産力があるのなら、人口が多い分兵力を増やせるからだ。
だが松前藩の生産力が軌道に乗ってから表彰して出産を増やしても、直ぐに兵士として活用できるわけではない。

だから傭兵を活用して来たのだし、清国の奴隷や貧民を利用したのだ。
もっと清国の奴隷や貧民を利用しなければいけないくらい兵力が不足している。
彼らを盾役や鉄砲役として活用しなければ勝てない。
だがドライゼ銃や後装火縄銃を持って逃げられたら一大事だ。
旧式の火縄銃を大量購入して、不利な装備で戦わせることになる。
俺は極悪非道の鬼畜だな。

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