転生 徳川慶勝 日露開戦 日米開戦

克全

第135話:一八三五年、北米侵攻

俺には前世の知識があるだけで、有能なわけではない。
この時代の優秀な幕府役人の能力にははるかに及ばない。
当然俺が集めた優秀な家臣にも及ばない。
だから、俺がやりたい、必要だと思った事だけ示して、現場の細やかな調整や指揮は家臣に任せている。
俺がやる事は、ビジョンを示す事と、こうやれば日本と幕府と松前藩が繁栄するという大筋を示す事だけだ。

今回の北米二万騎十万頭派兵に関しても、西欧列強の日本侵攻を防ぐために、攻勢防御を仕掛けるから万全の補給体制整えろと命じた。
不可能だと反対する者は誰もいなかった。
松前藩は俺の独裁体制になっていると思うが、集めた家臣の顔ぶれを見れば、罰を恐れて諫言を躊躇う連中ではない。
不可能だと思ったら、死を恐れず諫言してくれる硬骨漢がそろっていると思う。

俺が大戦略を考え、軍師役が戦略と戦術を纏め、現場の将兵が労力を惜しまずに働いてくれたお陰で、危険なベーリング海峡の渡海が成功した。
最も安全な八月から九月に一気に渡海させることができた。

俺は危険な冬季に凍り付いたベーリング海峡を渡らせようとは思っていなかったが、ベーリング海峡をが完全に結氷状態になっている十二月から五月の間に、犬ぞりやトナカイのそりを使って、最低限の移動と交易を現場判断でやってくれていた。
大麻樹脂や大麻チンキを北米に送る事で、北米戦線に必要な軍資金を確保し、食糧や武器を準備してくれていた。

横一列に二万騎十万頭を北米に送る事などできないから、縦に長い隊列になる。
この時代のアラスカは大丈夫だが、カナダで白人に発見されるわけにはいかない。
事前に親交を深めていたネイティブアメリカンの居住区をだけを利用して、チェロキー族の土地があるジョージア州にまで移動しなければいけない。
鉄道も車も船も使わず、馬だけを利用して、戦闘力を保った状態で移動しなければいけないのだ。

最短の期限はアメリカ合衆国議会が偽造された書類を認めた一八三六年五月二三日だが、最長の期限はヴァン・ビューレン大統領がウィンフィールド・スコット将軍に約七千の将兵を率いさせて強制移動させようとした一八三八年五月一七日になる。

だが俺としては、ネイティブアメリカンを虐殺した腐れ外道のアンドリュー・ジャクソンが大統領のうちに、大統領暗殺によるアングロサクソン系とそれ以外の白人が、内戦を勃発させる状況作り出したい。
スコットランド系移民のアンドリュー・ジャクソンには重婚の汚点があり、妻との関係でキリスト教のプロテスタント、カルヴァン派の中の長老派と関係があると思われているから、アイルランド系カトリック信徒に暗殺されたらどうなるのか。
想像するだけで面白いが、現実でも着々と準備は進んでいる。

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