転生 徳川慶勝 日露開戦 日米開戦

克全

第101話一八三一年、拠点確保

海外との交渉における身分制度を将軍や幕閣を含めて真剣に話し合い、細かな部分を修正して、ほぼ俺に案を採用してもらった。
今はまだ幕府が圧倒的に力を持っているので、皇室にも公家にも外様にも文句は言わせない。
期間がどれくらいかかるかは分からないが、どうせ最後は立憲君主制度にするのだから、貴族の地位がある程度強い過渡期があるのもしかたがない。
明治維新でも県判事を元大名にしている。

幕閣との信頼を確認して、海外の拠点を確保強化した。
離島だけではなく、大陸の沿岸部を内部侵攻のために確保強化した。
カムチャッカ半島と沿海州はほぼ確保したので、アラスカ、チュクチ、マガダン、ハバロフスク、アムールを完全確保するために、人材と資材を投入した。
その為にフリゲート艦以外の西洋帆船を活用した。

だがこれには大きな危険が伴い、簡単にはいかなかった。
極寒の地での寒冷対策はもちろん、食糧や飲料水の確保が大変だ。
猛獣から身を護るための準備も怠れない。
特に羆、ホッキョクグマ、グリズリー対策は万全の準備が必要だった。
俺の理想を実現するために、家臣を獣に喰い殺されるなど、あってはならない。

比較的安全な春から秋にかけて将兵を派遣するが、事前に現場で組み立てられる城砦の資材を作っておかなければいけない。
豊臣秀吉の墨俣城ではないが、できれば一日で休める場所を完成させられるだけの、完璧な事前準備をしておきたかった。
そういう意味では、遊牧民族の革製の家ゲルや、ネイティブアメリカンの革製の家ウィグワムを参考にして準備をした。

最初の住居を確保したら、運び込んだ資材と現地の資材を利用して、本格的な冬になる前に、恒久的使用できる堅固な城砦を完成させる。
とはいっても、初年度は駐屯兵が一冬無事に越冬できる最低限の設備だが。
極寒地帯では、非常時のために、イヌイットが狩猟移動している時に作る圧雪ブロックの家イグルーの建設方法を教えた。

だがこれだけでは、人間を食糧としようと襲いかかってくる羆、ホッキョクグマ、グリズリーから完全に身を護る事はできない。
当然撃退するために武器が必要になる。
ドライゼ銃と弾薬を優先的に回すのはもちろん、大鉄砲や大砲も配備した。
猟犬を上手に使う元猟師の若党を、各派遣部隊に配置するようにもした。

ホッキョクグマは肝臓には高濃度のビタミンAを含有していて、人間が食べると死ぬ事もあるといった、サバイバルに必要な知識も与えた。
羆、ホッキョクグマ、グリズリーが犬以上に嗅覚が鋭く、人間を餌として襲いかかる事は繰り返し教えた。
できれば、彼らには逆に羆、ホッキョクグマ、グリズリーを狩って、高価に売却できる商品として確保して欲しかった。

後の世で非難されるかもしれないが、大小のアザラシやトド、セイウチやトナカイ、ジャコウウシなどを狩って食糧と商品の両方を確保して欲しかった。
現地の獣を美味しく食べるために、各種の味噌を大量に持たせることにした。
味噌の好みは人それぞれだし、単調で楽しみのない駐屯地では、食べることが何よりの娯楽になる。
どうか、どうか生き残ってくれ。
生き残ってアメリカ侵攻の拠点を確保してくれ。

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