最優秀な双子の妹に婚約者を奪われました。
第19話:激怒
皇太子宮が静寂に包まれていた。
誰もが息をひそめていた。
だがそれも当然だろう。
皇太子の想い人が呪殺されかけたのだ。
皇太子の心が怒りの坩堝となっている事を知っているから。
「今回の呪術にはモーラ夫人とオリアンナ嬢が係わっているようです」
皇太子が信頼する密偵が報告した。
皇太子はあまりの事に怒りで眼の前が真っ赤になった。
怒りが強すぎて血が頭に上り過ぎて目が充血した影響かもしれない。
それにしても酷過ぎることだった。
オリアンナはマチルダ嬢が庇わなければ厳罰に処せられるはずだった妹だ。
モーラはマチルダ嬢の実の母親だ。
その二人がマチルダ嬢の呪殺に協力していたというのだ。
「証明する方法はあるのか。
それとも状況証拠だけなのか」
皇太子はできるだけ冷静な声をだそうと精神力の限りを尽くしていた。
だがその努力が成功しているとはとても言えなかった。
密偵の耳をうつ皇太子の声には疑いようのない殺意が籠っていた。
「残念ながら状況証拠だけでございます」
密偵は皇太子から放たれるあまりの殺意に内心震えあがっていた。
だが必死でその恐怖感を抑え込んで報告を続けた。
「どんな状況証拠なのだ。
些細な事でも構わない、全部報告しろ」
「はい、まずは呪術返しを受けて死んだ呪術師はディグビー王家の呪術師でした。
この点は呪術返しを行った宮の呪術師が間違いないと言っております。
ディグビー王家に入り込んでいる密偵から同じ報告が届いています。
ディグビー王家はフランドル王家と二重の縁を結んでおります。
マチルダ様を恨んでいるロバート王太子の母親であるマティルド王妃は、ディグビー王家の王女で現ディグビー国王の妹です。
ディグビー王国のアビゲイル王妃はフランドル王家の出身です。
フランドル王国のジェラルド王の姉に当たられます。
しかもモーラ夫人はディグビー王国の公爵家出身です」
密偵は恐怖を抑えて淡々と報告していた。
「状況証拠からは十分疑うことができるが、断罪できるほどの確定的な証拠ではないな、何か方法はないか」
実行犯は呪術返しで殺したが、命令した主犯と協力した卑劣漢を断罪できない事で、皇太子の怒りが更に膨らんでいる事に密偵は恐怖していた。
できれば嘘をついてでも怒りを抑えたかったが、そんな事をすれば後でもっと酷いことになるのは分かっていた。
分かっていても嘘をつきたくなるくらい皇太子から放たれる殺意は強すぎた。
一瞬の間を永遠の時のように感じながら迷った末に決断して話しだした。
「残念ながら私には思いつきません。
表からの断罪は難しいので、やるとすれば同じように呪殺になります。
それでよろしければ呪殺に使うモノを集めさせます」
誰もが息をひそめていた。
だがそれも当然だろう。
皇太子の想い人が呪殺されかけたのだ。
皇太子の心が怒りの坩堝となっている事を知っているから。
「今回の呪術にはモーラ夫人とオリアンナ嬢が係わっているようです」
皇太子が信頼する密偵が報告した。
皇太子はあまりの事に怒りで眼の前が真っ赤になった。
怒りが強すぎて血が頭に上り過ぎて目が充血した影響かもしれない。
それにしても酷過ぎることだった。
オリアンナはマチルダ嬢が庇わなければ厳罰に処せられるはずだった妹だ。
モーラはマチルダ嬢の実の母親だ。
その二人がマチルダ嬢の呪殺に協力していたというのだ。
「証明する方法はあるのか。
それとも状況証拠だけなのか」
皇太子はできるだけ冷静な声をだそうと精神力の限りを尽くしていた。
だがその努力が成功しているとはとても言えなかった。
密偵の耳をうつ皇太子の声には疑いようのない殺意が籠っていた。
「残念ながら状況証拠だけでございます」
密偵は皇太子から放たれるあまりの殺意に内心震えあがっていた。
だが必死でその恐怖感を抑え込んで報告を続けた。
「どんな状況証拠なのだ。
些細な事でも構わない、全部報告しろ」
「はい、まずは呪術返しを受けて死んだ呪術師はディグビー王家の呪術師でした。
この点は呪術返しを行った宮の呪術師が間違いないと言っております。
ディグビー王家に入り込んでいる密偵から同じ報告が届いています。
ディグビー王家はフランドル王家と二重の縁を結んでおります。
マチルダ様を恨んでいるロバート王太子の母親であるマティルド王妃は、ディグビー王家の王女で現ディグビー国王の妹です。
ディグビー王国のアビゲイル王妃はフランドル王家の出身です。
フランドル王国のジェラルド王の姉に当たられます。
しかもモーラ夫人はディグビー王国の公爵家出身です」
密偵は恐怖を抑えて淡々と報告していた。
「状況証拠からは十分疑うことができるが、断罪できるほどの確定的な証拠ではないな、何か方法はないか」
実行犯は呪術返しで殺したが、命令した主犯と協力した卑劣漢を断罪できない事で、皇太子の怒りが更に膨らんでいる事に密偵は恐怖していた。
できれば嘘をついてでも怒りを抑えたかったが、そんな事をすれば後でもっと酷いことになるのは分かっていた。
分かっていても嘘をつきたくなるくらい皇太子から放たれる殺意は強すぎた。
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「残念ながら私には思いつきません。
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