アイドルに救われた男は、二度目の人生でアイドルを救うために芸能界を目指す。〜気づいたら国民的俳優に〜

ドラ猫

第七話 天才子役と呼ばれるまで

小学三年生の時、俺にとんでもない役をオーディションにて勝ち取った。


国民的漫画の"名探偵ユナン"の実写ドラマ化を行うとのことで、1000人ほどの子役たちが集まりオーディションが行われた。

ちなみに、名探偵ユナンとは、高校生探偵だった主人公がある薬によって小学生に戻ってしまい、小学生の姿で難事件を解決していくという話。

ある意味、この主人公は俺と境遇が似ていた。よって、オーディションで俺が圧倒的な演技を見せたのはいうまでもない。

この作品は、大人の頭脳を持ち合わせて推理していくというのがミソなので、主演子役は大人顔負けの演技をしなければならなかった。さらには漫画の実写化は失敗しやすいということもあって、実写化に反対する人はかなり多かった。

「子供にユナン役は無理だろww」
「ユナンファンとしては実写化やめてほしい、、、」

なんて意見がネット上で騒がれたりした。

主人公のナレーションや心の声などをアフレコする必要があったので、声優みたいな仕事もした。こちらもかなり訓練されていたので、本物の声優さんレベルで行うことができた。努力ももちろんあるけど、もしかしたら俺は結構多才なのかもしれない。


結構話題作ということで、一応見ておこうという人が多く、全国的に視聴率が高かった。俺の演技を見た監督やプロデューサーが大々的にCMなどで売り出してくれたし、名探偵ユナンの作者がTwitterにて、「ユナンの実写ドラマ、作者ということで地上波よりも先に見させていただきました!ストーリー構成は僕自身が行ったのですが、そんなことを忘れてドラマに引き込まれてしまいましたよ。なんと言ってもユナン役の赤城司くんの演技がすごすぎましたねぇ。本当に9歳?もしかして黒ずくめの男たちに怪しげな薬飲まされたりしてない?」というなんともユーモアあふれる発言をしてくれたこともあって視聴率はうなぎ上り。

放送中には、"名探偵ユナン""赤城司"などがTwitterのトレンドに入り、実写化に反対していた人たちも、俺の演技をかなり評価してくれたみたい。


それからというもの、俺は一躍大ブレイクを果たした。CM出演も増え、5件ほど引き受けることになった。バラエティ番組にも出演することとなった。

バラエティ番組では、俺は天才子役として銘打たれ、共演者の人たちも俺の大人ぶりに舌を巻いていた、らしい(明美さん曰く)。

ここまで来ると、さすがに周りの同級生たちにはバレ始める。俺が巷で"天才子役"と呼ばれている赤城司なのだと。

しかし、まだ純粋な小学三年生。妬みとかは一切なく、純粋に「すげー」「お前って赤城司だったのか!」「高沢くんに会ったことあるって本当!?」などなど、一躍小学校の人気者だ。

もともと、眼鏡をかけて地味な感じを醸し出し、クラスでも大人しくしていたので友達と呼べる人は少なかった。まあ、有名になった今、友達は増えたと言えるけど、その関係性は薄い。元は大学生の俺に小学生と友達になるってのは難しいもんだ。

まあ、俺にとって親しい友達なんて必要ないし、今は母と妹、明美さんさえ元気でいてくれればいいから、、、。もちろんモモッチもだけど、、、今どこにいるのか俺にはわからない。小学校も中学校も出身地域もプロフィールには書いていなかったから。ももっちの初ライブは、中1の時。それまで、このモモッチ欲求をなんとか我慢しなければ、、、。


話は変わるが、今回の実写ドラマここまで好評だったのだ。もちろん続編も計画され、撮影が始まった。

しかし、前回と違ったことがあった。それは続編が2時間ドラマではなく、連続ドラマへと変わったことだった。さらには、監督が俺に歌を歌えと言ってきた、、。正直、それを言われた時、は?、と思った。俺はこれまで歌というものを歌ったことがない。そもそも、俺の歌に需要なんてあるのか、、、?

監督曰く、「アニメ版ユナンの主題歌をよく歌っている歌手、倉原亜衣さんがいるだろう。その人がね、君とデュエットを組みたいと言ってきたんだ。なんでも、君はいい声してる、だそうだ。」

ちなみに、需要に関して俺は勘違いをしていた。外見もよく演技力のある俺はかなり主婦に注目されてたらしいし、同い年くらいの子にも人気だったらしい。

それからというもの、歌を練習しまくったよ。子供らしく可愛く歌うんじゃなくて、ガチで歌う。大人気歌手、倉原亜衣の隣に立つんだから、それぐらいやんなきゃ。後は、倉原さんに俺の歌を見てもらって、さらに磨いていった。まあ結果的にはここでも俺の多才ぶりが発揮され、まあカラオケなら95点くらい取れるレベルにはなったよ。

そして、俺と倉原さんのデュエット曲はドラマのエンディングに使われ、大反響となった。さらには、倉原さんと歌番組にも呼ばれるようになり、デュエット曲"トルゥース"を熱唱した。



10歳になったときには、日本人で俺を知らない人はいないと言われるレベルに俺は有名になっていた。

CMは7本。ドラマも数多く出演し、バラエティも出るようになった。もう小学校なんて通ってる場合じゃなくなったので、かなりの量で休むようになった。まあ休んでも小学校の勉強なんて余裕すぎるので、、問題はないが。

おかげで俺の年収は1億に近づいていた、、、。







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