アイドルに救われた男は、二度目の人生でアイドルを救うために芸能界を目指す。〜気づいたら国民的俳優に〜
第一話 絶望のどん底
俺ーー赤司誠ーーは、平凡だが、温かい家庭で生まれた。嬉しいことに、俺が2歳の時には妹が生まれた。
しかし、我が家の幸せは一瞬にして消し飛んだ、、、。
父の死。
それは、妹が生まれて三ヶ月ほどたった頃だった。
一家の経済的な大黒柱でもあり、精神的にも依存度の高かった父が他界した。そのショックは、母には相当来ていたと思う。当然のことだ。まだ30代になったばかりの二人はこれから人生を家族と共に歩んでいくはずだったのだ、、、。
2歳だった俺は、幼いながらにも覚えている。毎晩、俺や妹の世話を終えて一人になると、シクシクと泣いている姿を。
その頃の俺は、まだ死というものを理解していなかった。ただ、悲しんでいる母を見て、帰ってこない父のことを考えると、不安な気持ちにいっぱいになって、終いには泣いてしまったそうだ。
母子家庭となったうちは、子供二人を母が懸命に育ててくれた。母は仕事をしながらも、俺たちを常に気にかけてくれていた。俺もそんな母を見てか、妹の世話をよくするようになっていた。
保育園、近所の小学校、中学校と順調に住むことができたのは、ボロボロになるまで働いてくれた母のおかげだった。
高校は行かずに働こうとしていた俺を、母はこう言ってくれた。
「ありがとう。でもね、私はあなた達には頑張って勉強して欲しいの。そのために私は今働いているんだよ。」
母は高校に通っても良いと言い出したのだ。俺は母の意思を汲み、なんとか公立の高校に入れるように勉強し、無事それは叶った。
高校生になったことで俺がバイトを始めると、少し生活が楽になり始めた。楽と言っても贅沢は全くできず、今までマイナスだったのが、ようやくプラマイ0にできたようなものだった。
俺が高3、妹が高1になると、妹もバイトを始めた。すると、少し余裕ができるようになった。母もだいぶ顔色が良くなり俺も妹も安心していた。
このまま俺が就職すればもっと楽になれる。そう夢を描いていた。
ーーーーが。
忘れもしない高3の冬。珍しく雪の降った日だった。
母と妹が交通事故で死んだ。
二人は仲良く買い物をした帰りだったらしい。レジ袋と野菜が事故現場に飛び散っていたらしい。赤い血に染まった雪と共に。
その日の夜、俺は歩道橋の上にいた。
死んで楽になりたかった。この不幸の連続の人生を早く終わらせたかった。俺の心はすでに空っぽだったのだ。
今まで頑張ってこれたのは、母と妹のためだった。あの二人と一緒に幸せになって、父の代わりに立派になりたかった。
だが、それはもう叶わなくなった。もう二人はいない。俺の生きる意味もない。
そして、俺は歩道橋の上から飛び降りた。
しかし、またもや不運なことに俺は死ななかった。目覚めたのは、近くの市民病院。奇跡的に一命を取り止めたらしい。
もちろん包帯でぐるぐるまきな体ではあるが。
自殺未遂をした俺は特に警戒された。次に似たようなことをさせないためだ。精神科医などが俺に話を聞きに来て、慰めの言葉をもらったりもしたけど、全く俺の耳、いや、心には届かなかった。
すでに無気力となった俺だが、退院はすることができた。体はすでにボロボロだったが、障害などは残らなかった。言われるままにリハビリを行ったのがいけなかった。
俺は早く死にたいのに、体は死を恐れているようだった。
家に帰った俺は何もすることのない日々が続いた。飯も2日に一回ほどしか食べなかった。
だが、それは急激に起こった。
退院から二週間ほど経過した日のことだった。
その日、軽くつまづいて転んだ俺はテレビのリモコンを押してしまった。
「続いてのコーナーはこちらです。えー、今絶賛人気急上昇中の大人気グループ"メモリーズZ"のモモッチこと、姫城桃奈さんに本日はゲストとして来ていただきました。本日はよろしくお願いします〜。」
「姫城桃奈です。よろしくお願いします!」
「はい。では、まずは、メモリーズZの紹介VTRからどうぞ!」
そこから、メモリーズZの下積み時代から、武道館ライブまでの急成長を描いたストリーが放送された。
苦しい練習、泣いているメンバー。客の前では切り替えてとびきりの笑顔を見せるアイドル達。下積み時代は、ガラ空きのライブもあったそうで。
俺はそれを見て自然と涙が出ていた。
母と妹の死の時にすら出なかった涙が。あの時は、現実が受け止められなかったんだ。死を聞いた時、足元がぐらついて、その足で歩道橋まで行ったんだ。頭は理解できなくても、体は自然に死へと向かっていた。
しかし、俺はようやく涙を流すことができた。レベルは違うかもしれないが、辛い思いをしているのにもかかわらず、目の力は失っていないアイドル達、いや、姫城桃奈を見て。
俺はようやく生気を取り戻したのだった。ある日から動いていない時計が動き出した瞬間だった。
その日は一晩中泣いた。
栄養失調気味の俺がぶっ倒れたのも想像に難くない。
起きたら、俺はまず飯を食った。ちょっとずつ。体調が戻るように。
そして、すかさず、姫城桃奈の動画を見た。
あの時は彼女の一片しか見れなかったがーーー俺を変えるには十分すぎたがーーー、さらに全貌を知ることができた。
彼女の真っ直ぐな性格に俺はだんだんと惹かれていったんだ。打ち砕かれてもひたむきに頑張ってる姿を見て、、、
「俺も頑張らなくちゃ。」
そう思えるようになったんだ。
それからの俺は早かった。彼女、姫城桃奈ことモモッチに俺の生きがいを見つけた俺は、バイトを探し始めた。
バイトを掛け持ちでも始めた俺はモモッチのライブにも行くようになっていた。
そんな、充実した、心が満たされていった一年だった。
だが、神はやはり俺の味方ではなかったようだ。いや、はっきりと言ったほうがいいな。奴は俺の敵だった。それて、子供にも分かるように俺には神になど勝てるわけがなかった。
ある日、すでに見ることが日課となっていた朝のニュースがモモッチの死を告げたのだった。
俺はそのニュースを見た瞬間に、意識を失ったんだ。
まるで、ショック死したかのように。
でも、今の俺はあの出来事をこう思う。
生きる意味がなくなっから、俺の心と体が生きることをやめたのだと、、、、。
しかし、我が家の幸せは一瞬にして消し飛んだ、、、。
父の死。
それは、妹が生まれて三ヶ月ほどたった頃だった。
一家の経済的な大黒柱でもあり、精神的にも依存度の高かった父が他界した。そのショックは、母には相当来ていたと思う。当然のことだ。まだ30代になったばかりの二人はこれから人生を家族と共に歩んでいくはずだったのだ、、、。
2歳だった俺は、幼いながらにも覚えている。毎晩、俺や妹の世話を終えて一人になると、シクシクと泣いている姿を。
その頃の俺は、まだ死というものを理解していなかった。ただ、悲しんでいる母を見て、帰ってこない父のことを考えると、不安な気持ちにいっぱいになって、終いには泣いてしまったそうだ。
母子家庭となったうちは、子供二人を母が懸命に育ててくれた。母は仕事をしながらも、俺たちを常に気にかけてくれていた。俺もそんな母を見てか、妹の世話をよくするようになっていた。
保育園、近所の小学校、中学校と順調に住むことができたのは、ボロボロになるまで働いてくれた母のおかげだった。
高校は行かずに働こうとしていた俺を、母はこう言ってくれた。
「ありがとう。でもね、私はあなた達には頑張って勉強して欲しいの。そのために私は今働いているんだよ。」
母は高校に通っても良いと言い出したのだ。俺は母の意思を汲み、なんとか公立の高校に入れるように勉強し、無事それは叶った。
高校生になったことで俺がバイトを始めると、少し生活が楽になり始めた。楽と言っても贅沢は全くできず、今までマイナスだったのが、ようやくプラマイ0にできたようなものだった。
俺が高3、妹が高1になると、妹もバイトを始めた。すると、少し余裕ができるようになった。母もだいぶ顔色が良くなり俺も妹も安心していた。
このまま俺が就職すればもっと楽になれる。そう夢を描いていた。
ーーーーが。
忘れもしない高3の冬。珍しく雪の降った日だった。
母と妹が交通事故で死んだ。
二人は仲良く買い物をした帰りだったらしい。レジ袋と野菜が事故現場に飛び散っていたらしい。赤い血に染まった雪と共に。
その日の夜、俺は歩道橋の上にいた。
死んで楽になりたかった。この不幸の連続の人生を早く終わらせたかった。俺の心はすでに空っぽだったのだ。
今まで頑張ってこれたのは、母と妹のためだった。あの二人と一緒に幸せになって、父の代わりに立派になりたかった。
だが、それはもう叶わなくなった。もう二人はいない。俺の生きる意味もない。
そして、俺は歩道橋の上から飛び降りた。
しかし、またもや不運なことに俺は死ななかった。目覚めたのは、近くの市民病院。奇跡的に一命を取り止めたらしい。
もちろん包帯でぐるぐるまきな体ではあるが。
自殺未遂をした俺は特に警戒された。次に似たようなことをさせないためだ。精神科医などが俺に話を聞きに来て、慰めの言葉をもらったりもしたけど、全く俺の耳、いや、心には届かなかった。
すでに無気力となった俺だが、退院はすることができた。体はすでにボロボロだったが、障害などは残らなかった。言われるままにリハビリを行ったのがいけなかった。
俺は早く死にたいのに、体は死を恐れているようだった。
家に帰った俺は何もすることのない日々が続いた。飯も2日に一回ほどしか食べなかった。
だが、それは急激に起こった。
退院から二週間ほど経過した日のことだった。
その日、軽くつまづいて転んだ俺はテレビのリモコンを押してしまった。
「続いてのコーナーはこちらです。えー、今絶賛人気急上昇中の大人気グループ"メモリーズZ"のモモッチこと、姫城桃奈さんに本日はゲストとして来ていただきました。本日はよろしくお願いします〜。」
「姫城桃奈です。よろしくお願いします!」
「はい。では、まずは、メモリーズZの紹介VTRからどうぞ!」
そこから、メモリーズZの下積み時代から、武道館ライブまでの急成長を描いたストリーが放送された。
苦しい練習、泣いているメンバー。客の前では切り替えてとびきりの笑顔を見せるアイドル達。下積み時代は、ガラ空きのライブもあったそうで。
俺はそれを見て自然と涙が出ていた。
母と妹の死の時にすら出なかった涙が。あの時は、現実が受け止められなかったんだ。死を聞いた時、足元がぐらついて、その足で歩道橋まで行ったんだ。頭は理解できなくても、体は自然に死へと向かっていた。
しかし、俺はようやく涙を流すことができた。レベルは違うかもしれないが、辛い思いをしているのにもかかわらず、目の力は失っていないアイドル達、いや、姫城桃奈を見て。
俺はようやく生気を取り戻したのだった。ある日から動いていない時計が動き出した瞬間だった。
その日は一晩中泣いた。
栄養失調気味の俺がぶっ倒れたのも想像に難くない。
起きたら、俺はまず飯を食った。ちょっとずつ。体調が戻るように。
そして、すかさず、姫城桃奈の動画を見た。
あの時は彼女の一片しか見れなかったがーーー俺を変えるには十分すぎたがーーー、さらに全貌を知ることができた。
彼女の真っ直ぐな性格に俺はだんだんと惹かれていったんだ。打ち砕かれてもひたむきに頑張ってる姿を見て、、、
「俺も頑張らなくちゃ。」
そう思えるようになったんだ。
それからの俺は早かった。彼女、姫城桃奈ことモモッチに俺の生きがいを見つけた俺は、バイトを探し始めた。
バイトを掛け持ちでも始めた俺はモモッチのライブにも行くようになっていた。
そんな、充実した、心が満たされていった一年だった。
だが、神はやはり俺の味方ではなかったようだ。いや、はっきりと言ったほうがいいな。奴は俺の敵だった。それて、子供にも分かるように俺には神になど勝てるわけがなかった。
ある日、すでに見ることが日課となっていた朝のニュースがモモッチの死を告げたのだった。
俺はそのニュースを見た瞬間に、意識を失ったんだ。
まるで、ショック死したかのように。
でも、今の俺はあの出来事をこう思う。
生きる意味がなくなっから、俺の心と体が生きることをやめたのだと、、、、。
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