呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る
第274話 嬉しい所だがこっちも怖い
「キミヒト、私もちょっと本気を出すから離れていてね?」
「お、おう」
いつになく好戦的すぎるクロエに若干ビビりつつ後ろに下がっていく。めぐもいつの間にか眠っているしここは俺もしっかりしなくてはいけない。血が足りなくてフラフラするけどそんなこと言ってられないわ。
移動中にクロエが俺達に回復魔法をかけてくれたとはいえやはり万全にはならない。めぐは全てを出し切ったし俺は文字通り中身を出してしまったから魔法以外に物理的に休息が必要だ。
それを分かっているからクロエは俺達と共に戦う選択肢を放棄したのだろう。俺も同じ立場だったらそうするだろうね。前回それでボコられたけども。
「と言っても今すぐ戦うわけじゃあないんだけど」
「え?」
クロエはポケットからアクセサリーを取り出し呪文を唱え始める。
「闇の精霊、聖の精霊に命ずる。触媒を持って盾とし折って断てとするは空間。対象を滅せず徹するは束縛。過程を仮定し固定を肯定す。バインドシール!」
また詠唱を挟んでいる。詠唱をしている間に練り上げられている魔力は今までの比ではない。アクセサリーに込められた魔力は温かい安心するようなものだ。しかしそれと同時に触れてはならないという危険も感じる。
美しすぎるものには触れると怪我をするなんて言うけれど、まさにこのアクセサリーがその類。見ているだけで本当の意味で吸い込まれそうな輝きを放っている。
「おい、小娘。それはいささか卑怯じゃろ」
クロエの爆発に吹っ飛ばされて戻ってきたケイティが苦い顔をしながらクロエに文句を言う。その顔をにやにやしながら見ているクロエはどう見ても真っ当な感じには見えない。
なんか人質取って主人公側にマウント取ってる系のヤバイ奴みたいな。クロエ人質取られた主人公助ける方も敵役もどっちもこなせるスーパーロリータだな。救出されたい。最初に救出したのは俺だけど。
「まぁ卑怯だなんてそんなそんな。おばさんほどの実力を持っているのに怖いのかしら? まあそうよね、自分より弱い二人をイジメて悦に浸るようなチキンですものね」
オーッホッホと続きそうなほどの煽りっぷり。そうか、クロエがなんかやたらと煽ると思ったら俺達やられてキレてんのか。めちゃくちゃ嬉しい所だがこっちも怖いわ。
しかしそんなクロエをして搦手っぽい戦い方を余儀なくされるというこのケイティ、マジで強いな。たぶんさっきの打ち合いで仕留めきれなかったから戦法を切り替えたんだろう。
俺とめぐがいなければ何とかなるのかもしれないが、俺達をかばいながらこんな狭い所で戦うのは難しいだろう。クロエの魔法は閉所でかなり効果を発揮するから撤退戦ではかなり有利だな。
「ちっ、流石にわしでもそれは破るのに時間がかかる。お主も聞いてたよりずいぶん強いようじゃしまさかこんな術まで使えるとはの。全く面倒な事じゃ」
「私も安くはないってことよ。それで?」
クロエは挑発気味に問いかける。ケイティはやれやれと首を振り疲れたようなめんどくさそうな素振りを見せるが少し楽しそうにも見える。この一瞬だけを見ると幼女たちが遊んでいるようにしか見えない。
しかしその実態はそんなものからは極めて遠い。その証拠にケイティから放たれる空気は微塵も戦闘をやめるそれではない。
「その二人は帰してやるからお主だけ残れよ。それともわしらが出て行くか?」
「そうこなくちゃ。というわけでキミヒト」
「負けるなよ」
「もちろん」
短い言葉を交わして俺は撤退する。ああまで言うなら大丈夫だろう。不安が無いと言えば嘘になるが、クロエなら引き際をわきまえているし暴走して一帯に被害を及ぼすなんて馬鹿げた事はしないはず。しないよね?
さっきのアクセサリーに付与した魔法を鑑定で見た所こんな感じだった。
『封印の宝石:強力な封印が施された宝石。触るもの近づくもの全てを吸収しその中に収める。取り込まれたものは術者を上回る量の魔力を放出する必要があるが中は隔絶した空間であるため実質不可能』
アクセサリー鑑定したのに宝石しか判定されなかったわ。確かにこれならほとんどの人物が脱出不可能だろう。純粋な魔力だけなら拮抗していたようだし、ケイティはなんだかんだで俺とめぐとのダメージも受けている。
今封印出来ればクロエの封印魔法の方が強いだろう。というかクロエまじで敵の事拘束する魔法多すぎて怖いんですけど。しかもあれでしょ? 封印した奴の魔力とかエナジードレイン出来ちゃうんでしょ? 死しか感じない。
絶対に逆らわないようにしよう。
そんなこんなで外の光が見えてきて外に脱出することに成功する。そこは入って来た時と同じ場所で少し安心した。空間捻じ曲げられて脱出出来てなかったから街の外っていう線も充分あったからね。
「っておい」
振り返るとそこにモザイクがかった入口が無くなっていた。見渡せる範囲にはそれらしい入口はどこにも見当たらず、普通のダンジョンの入り口しかない。これは本格的にあかんのじゃないか?
「どうやって出てくる気だよクロエ」
「お、おう」
いつになく好戦的すぎるクロエに若干ビビりつつ後ろに下がっていく。めぐもいつの間にか眠っているしここは俺もしっかりしなくてはいけない。血が足りなくてフラフラするけどそんなこと言ってられないわ。
移動中にクロエが俺達に回復魔法をかけてくれたとはいえやはり万全にはならない。めぐは全てを出し切ったし俺は文字通り中身を出してしまったから魔法以外に物理的に休息が必要だ。
それを分かっているからクロエは俺達と共に戦う選択肢を放棄したのだろう。俺も同じ立場だったらそうするだろうね。前回それでボコられたけども。
「と言っても今すぐ戦うわけじゃあないんだけど」
「え?」
クロエはポケットからアクセサリーを取り出し呪文を唱え始める。
「闇の精霊、聖の精霊に命ずる。触媒を持って盾とし折って断てとするは空間。対象を滅せず徹するは束縛。過程を仮定し固定を肯定す。バインドシール!」
また詠唱を挟んでいる。詠唱をしている間に練り上げられている魔力は今までの比ではない。アクセサリーに込められた魔力は温かい安心するようなものだ。しかしそれと同時に触れてはならないという危険も感じる。
美しすぎるものには触れると怪我をするなんて言うけれど、まさにこのアクセサリーがその類。見ているだけで本当の意味で吸い込まれそうな輝きを放っている。
「おい、小娘。それはいささか卑怯じゃろ」
クロエの爆発に吹っ飛ばされて戻ってきたケイティが苦い顔をしながらクロエに文句を言う。その顔をにやにやしながら見ているクロエはどう見ても真っ当な感じには見えない。
なんか人質取って主人公側にマウント取ってる系のヤバイ奴みたいな。クロエ人質取られた主人公助ける方も敵役もどっちもこなせるスーパーロリータだな。救出されたい。最初に救出したのは俺だけど。
「まぁ卑怯だなんてそんなそんな。おばさんほどの実力を持っているのに怖いのかしら? まあそうよね、自分より弱い二人をイジメて悦に浸るようなチキンですものね」
オーッホッホと続きそうなほどの煽りっぷり。そうか、クロエがなんかやたらと煽ると思ったら俺達やられてキレてんのか。めちゃくちゃ嬉しい所だがこっちも怖いわ。
しかしそんなクロエをして搦手っぽい戦い方を余儀なくされるというこのケイティ、マジで強いな。たぶんさっきの打ち合いで仕留めきれなかったから戦法を切り替えたんだろう。
俺とめぐがいなければ何とかなるのかもしれないが、俺達をかばいながらこんな狭い所で戦うのは難しいだろう。クロエの魔法は閉所でかなり効果を発揮するから撤退戦ではかなり有利だな。
「ちっ、流石にわしでもそれは破るのに時間がかかる。お主も聞いてたよりずいぶん強いようじゃしまさかこんな術まで使えるとはの。全く面倒な事じゃ」
「私も安くはないってことよ。それで?」
クロエは挑発気味に問いかける。ケイティはやれやれと首を振り疲れたようなめんどくさそうな素振りを見せるが少し楽しそうにも見える。この一瞬だけを見ると幼女たちが遊んでいるようにしか見えない。
しかしその実態はそんなものからは極めて遠い。その証拠にケイティから放たれる空気は微塵も戦闘をやめるそれではない。
「その二人は帰してやるからお主だけ残れよ。それともわしらが出て行くか?」
「そうこなくちゃ。というわけでキミヒト」
「負けるなよ」
「もちろん」
短い言葉を交わして俺は撤退する。ああまで言うなら大丈夫だろう。不安が無いと言えば嘘になるが、クロエなら引き際をわきまえているし暴走して一帯に被害を及ぼすなんて馬鹿げた事はしないはず。しないよね?
さっきのアクセサリーに付与した魔法を鑑定で見た所こんな感じだった。
『封印の宝石:強力な封印が施された宝石。触るもの近づくもの全てを吸収しその中に収める。取り込まれたものは術者を上回る量の魔力を放出する必要があるが中は隔絶した空間であるため実質不可能』
アクセサリー鑑定したのに宝石しか判定されなかったわ。確かにこれならほとんどの人物が脱出不可能だろう。純粋な魔力だけなら拮抗していたようだし、ケイティはなんだかんだで俺とめぐとのダメージも受けている。
今封印出来ればクロエの封印魔法の方が強いだろう。というかクロエまじで敵の事拘束する魔法多すぎて怖いんですけど。しかもあれでしょ? 封印した奴の魔力とかエナジードレイン出来ちゃうんでしょ? 死しか感じない。
絶対に逆らわないようにしよう。
そんなこんなで外の光が見えてきて外に脱出することに成功する。そこは入って来た時と同じ場所で少し安心した。空間捻じ曲げられて脱出出来てなかったから街の外っていう線も充分あったからね。
「っておい」
振り返るとそこにモザイクがかった入口が無くなっていた。見渡せる範囲にはそれらしい入口はどこにも見当たらず、普通のダンジョンの入り口しかない。これは本格的にあかんのじゃないか?
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