呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第176話 ここで聞く

二人が楽しくお話を始めそうだったけど状況の説明をすることにした。俺が女神の使いだと言うことはローラが保証してくれたのでそれなりに話を聞いてもらえた。あかねが脅したとも言えるけどそれはそれ。

「というわけなんですよ」

俺がまず説明したのは魔王が近々復活すること。これは勇者召喚を行っていることから察することも出来るけど実際にどういう被害が出るのか、どこから攻め込まれるかなどの話もした。

俺も詳しいわけではないけど敵の強さだったり規模だったりは話が出来る。街が簡単に落ちたからな。魔族っぽいのもやばかったし。それを女神様が憂いてどうにかするために俺をここまで戻したことも同時に話した。

「未来から来たって、本気でいってるんです? いくら女神様の使いでもそんなことは……」

「それなら……これは推測なんだけど王女様呪いを解く方法に心当たりあるんじゃないですか?」

俺がそういうと王女様は少しだけ反応する。一人で呪いを解く方法を探していた王女様、スキルによって呪いを解くことが出来ると知っていた。それはスキルに心当たりがあるからなんじゃないだろうか。

たとえば過去にいた勇者がそういうスキルを持っていたことを何かで調べて知ってしまったからとか。

「例えばリーベンの老人が元勇者、とか」

「な、なんでそれを!? 誰にも、言ってないのに……」

「本当なのです?」

やっぱそうか。王都は腐っているから勇者をリーベンに貢いだとシオリは言っていた。でも実際に完全に腐っているなら勇者を送るよりも武力で制圧してしまったほうが明らかに手っ取り早い。

何せ大量の勇者を抱えている以上軍事力はこっちの方が圧倒的に高いのだから。嫉妬していると言って簡単に力をもらえるほど政治は甘くはないだろう。戦争を起こさないまでも、どちらかというとリーベン側が王都側に何かをするはずなんだよね。

協定が結ばれてて勇者召喚が持ち回りとかで勝手にやったとかなら話は変わってくるけど、実際に話を聞いていると王都でしか勇者召喚してないみたいだし、リーベンに勇者を送ったなら他の国にも送らなければ明らかに火種が広がる。

しかしほかの国に勇者を派遣したなんて話はシオリからも女神様からも聞いていない。シオリは何度も世界をやりなおしたし、第一グループの連中の行動は全部見ていたのにだ。

それならどうしてシオリはリーベンに送られたのか。

簡単だ、誰かが送るように画策した。それも立場があって色々出来る人物。

勇者をリーベンに派遣する理由。そして丁度そこに呪いを解ける力を持っている人物がいる。そんな偶然ありえないだろ。

「これを知っていると言うことで、俺を信用してもらうことは出来ませんか?」

「……どうやら、嘘をついているわけではないみたいですね。それにさっきまでの話が本当なら確かに私たちは協力し合えるでしょう」

王女様はようやく警戒心を少し緩めることにしたようだ。しかしどうやって知ったんだろうな、本来は死んだって事にされているはずの元勇者の存在を。

シオリの話からおじいちゃんとやらはたぶん、屑鉄のダンジョンにメモを残した人物なんじゃないかと思われる。実際には違うかもしれないけど王女様の反応を見るに何かしら裏がとれたのだろう。

「他に何か気になることでもあるんですか?」

王女様の言い方は若干含み気味なところがある。俺達を信じろというのは結構無理な話かもしれないけど、ただのやべー連中という疑いは晴れたと思う。でもまだ何か言いたそう。

「私の考えを読めるなら、今の話も私に都合の良いように話したとかんがえられるからです。元から突拍子もない話ですから作り話をするなら簡単でしょう?」

女神の使いって言うところで信用しているローラとは違い王女様はまだ気にしている様子。警戒心が緩んで本音で話してくれているのはいいけど、確かにそれを証明するのは難しいかもしれない。

「それにそっちの女性は最初から無礼ですし……」

あかねはベッドでごろごろしている。うん、あいつのせいだな。

「ねぇ王女様。人の心の声聞くのって結構疲れるんだよ? 王女様みたいな発情している妄想聴かせられるの辛いんだからね? だから今はオフにしてるしキミヒト君に王女様の事を話してもいないよ。人の心の声は他人に言わないよ、流石にそこまで道を踏み外したつもりはない」

あかねから思ったよりも強い言葉が返ってきた。そういえばあかねからその人の性癖とかの話をされても本人が目の前にいたな。王女様のも本人の目の前で暴露だし、ロンドの時は自分たちからカミングアウトされてたし。

まじかよ何も考えてないと思ってたわすまんなあかね。ただのド畜生とか思ってて本当ごめん。全く反省してないけど。というか本人目の前にしても結局俺に聞かれてるじゃねえかよ。

「エリーちゃんの疑いすぎるのは悪い癖なのです。立場があるのはわかるですけど、女神の使いである彼らには嘘をつくメリットもないのです。本当はわかってるですよね?」

「そうね……。あかねさん、ごめんなさい」

王女様はローラに諭されて素直に謝った。そういったプレイの一環でしたか。変な意味じゃなく王女であるためにずっと疑ってかかる必要があったんだろうな。立場が似たようなローラには頭が上がらないのもあってそれで好意を抱いたのかな。

「うんうん、じゃあ私はごろごろしてるからキミヒト君の事信用してあげてね」

「いやお前も聞けや」

「ここで聞くよ」

もういいか。あかねはベッドの住人と化した。それが真実だ。

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