呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第173話 聖女と言えば

存在がばれてしまっているなら解除してしまおう。少しはったりを利かせる必要も出てくるかもしれないがこちらには秘策もあるにはある。一応女神様公認で世界戻ってきたからね。なんか勘違いしてくれるでしょう。

王女と言えば大概信心深いと相場は決まっている。じゃなきゃあ異世界召喚して世界を救おうなんて考えないだろうし。

というわけでそのまま姿を表して王女様に挨拶をする。

「私はけっして怪しいものではありません」

「女の子おんぶして扉も開けずに人の部屋に入ってどうどうとしている人が怪しくないって本気で言っているんですか? 通報します」

王女は手に握っている宝石に魔力を込めて通報しようとしているが全く反応しない。なんだろうか、魔力を動かそうと努力しているのは見て取れるけど魔力を発することが出来ないみたいな感じ。

魔法使えない系の王女様か。これはありがてぇ。

「王女様焦ってるねぇ。大丈夫だよ、本当に私たちは危害加えようとか思ってないから」

「とりあえずあかね降りてくれる?」

真面目な顔で王女様を諭そうとしているがあかねは俺の背中にのしかかったままだった。降ろそうとしてるが意地でもしがみついて降りようとしない。絶対そっちのほうが疲れるだろうが。

仕方ないので王女様の部屋にある椅子を一脚あかねのために使わせてもらおう。流石にこんなふかふかな椅子があればあかねも満足するだろ。

「……何が目的ですか。いえ、その黒髪……術の影響をどうやって解いたのですか」

「その辺は色々ありまして。目的はなんでそんな術を使って縛っているのか聞きに来たってところですね」

影響を解いた方法はまだ言わない。女神様の力に関してはもうちょっと引っ張ってからの方がよさそうな気配を感じる。今ぶっちゃけてしまって関心を得られるならそれでもいいけど切れるカードは手元に出来るだけ残しておきたい。

女神様効果があるなら警戒心が一気に解かれるところも見てみたいし。

「素直に話すと思いますか?」

「お父様の命令だから仕方なく行ってるだけで本当はやりたくないんだって。王女様は止めようとしてくれてるけど出来ないみたい。でも止める方法探してる最中みたいだよ」

「なっ!? 何故それを!」

あかね便利すぎるだろ。交渉する必要がない。一方的に情報を搾取出来るのは少し申し訳ないけども。

しかしなるほどね、王女様は結構まともな部類の方って事か。どうやら王都の人たちの平和を願っているだけじゃなくどんな人々も出来るだけ救っておきたい理想も持っているようだ。

「ねえ王女様、いつから魔法使えないの?」

あかねは王女に唐突な質問をする。確かにこの世界に来てから完全に魔法を使えない人は見たことがない。フラフィーもなんだかんだでスキルが無いけど魔力の恩恵は受けている。

というかスキルを発動するときに勝手に魔力が補助するので誰しもが魔法を何かしらの形で使っている。なのでああいった補助具とか通信機みたいなものは誰でも使えるはず。

「……」

「ふーんなるほどね。キミヒト君王女様鑑定してみてよ」

「あいよ」

「無礼ですよ!」

「不法侵入してるから今更だよね。やるならとことん無礼を働くよー。ベッド最高にきもちー」

あかねがベッドに移動してごろごろしだす。王女様に対してもため口だしこんなタイミングでベッドに行けるとか流石あかねとしか言いようがない。緊張感が失われるから王女もちょっと混乱してるわ。

その間に鑑定させてもらおう。

『エリザベス・グラン:人族の王女。状態異常により魔法の発動不可。男の娘ではない』

鑑定さん? 王女って言ってるんだから最後の一言いらないよね? 王女なのに男なわけないでしょ? 彼女は男ですみたいな言い回しはしなくていいですよ。とりあえず状態異常をさらにチェック。

『状態異常:魔力封じ。魔力を練る行為を禁止されている』

ほう、これは俺の看病でどうにか出来そうだな。信頼関係全くないから使えないけど。それにしても魔力封じをされているとは一体どんなことをしたのか。

もしくはこの王女様に魔法を使われると困る誰かがいたりするのだろうか。どっちかっていうと王女様が魔法使えない方が不便なこと多そうだけどね。

「魔力封じねえ」

「……あなた達は一体何者なんですか。心を読むし私の状態まで……」

何者なのかと問われたらこれを言うしかないでしょう。というかそのためにここまでこっちの正体を明かさずいたまである。

「俺は女神様の使いです」

「うわ……」

あかねが軽く引いてるが王女様には少し効果があった模様。その証拠に結構驚いた顔してるし少し後ずさってる。引いてるんですかねこれ。

そもそもこの国では女神の使徒として一応聖女がいるはずだ。前の世界でユウキの仲間にいた気がするしそんなことを言っていたはず。

王都で色々してたときは基本的に恩を売る行為以外には孤児院に行って遊んでただけだからな。聖女に全く興味がなかった。

聖女と言えば色んな所に出向いて地域の浄化をしたりもしているなんて話をラノベで読んだ。もしくは来るべき時に備えて何処かに閉じ込められてるとかそんな感じ。

この世界でどうなのかは知らないがユウキと共に行動していた以上は世界を救うという使命に基づいて行動していたはず。

そんな聖女を差し置いて女神の使徒とか名乗るのは王女的に駄目なのかな?

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