呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る
第162話 懐かしい
防具屋に行き、それなりのサイズの盾を購入した俺たちはついに王都に向けて出発することにした。この王都に向かう森の中でロリ達とキャンプしたの懐かしいしフラフィー仲間にしたのもここだったな。
「懐かしいな」
「そうですね」
森は前と同じで魔物は非常に弱い。火を焚いておけば弱い魔物は寄ってこないので夜中の見張りは最低限で済むのがありがたいところだ。もしくはフラフィーがやってたみたいに木の上に登れば魔物に襲われない。
それをして寝たら落ちる危険性があるから絶対にやりたくはないが。木のぼりならもっとほのぼのした感じでやりたいよ、例えばおてんばな幼女が先生とか侍女の静止を振り切って登ってとか。
そんで落ちて前世の記憶取り戻すまでがテンプレかな。
そんなこんなで何かあるんじゃないかと少しビビりながらも王都に到着した。警戒しながら進んでいたので五日ほどかけて進み、女神様をいつでも呼んでいいような状態にもなっている。
魔王が活発化したっていうけどまだこっちにはほとんど影響が出ていないみたいで少し安心した。
「ぱっと見何も変わらんな」
「あかねさんが王城の兵士はほぼ死んだみたいな事言ってましたけど……平和ですね」
「もともと兵士なんて城の近くにしかいなかったからな。街の治安を守ってる連中はいなかったって事さ。冒険者たちが自主的に行ってることもあったし」
というか俺もそれをやっていた。街の人たちにいい顔するため、子どもたちに好かれるためにはそういった地味な活動が必要だったからだ。俺は弱いと言っても普通の冒険者にはそうそう負けはしない。
なので俺が街中でうろうろしてるのは若干の抑制にはなっていたようで感謝されたこともある。宿屋を中心にしてたからこの街全体ってわけじゃないけど、他の所では本当に正義感のある冒険者がなんとかしてくれていたんだろう。
よそ者の俺にも優しい街の人が多いってたぶんそういうこと。
しかしこの街は人間至上主義が強いのでフラフィーのような獣人は差別の対象になっている。なので俺も合わせてお互いフードを深くかぶってあまり人に見えないようにしている。街に入るときは冒険者だから問題なし。
顔を改められたとしても俺の事を知ってる人はそれなりに多いので俺が顔を出せばごまかしきれるだろう。それくらいの人付き合いはしてきたし、ギルドに行けばそれを証明も出来る。確認されることなんてそうそうないだろうが。
直接教会に向かいたいところだが、先に宿屋を予約しておこう。野宿は苦じゃないけどせっかく王都に入ったのにまた出るのはめんどくさい。ぱぱっと予約して教会へ向かう。
「……教会、でかいな」
俺はここに滞在していた間一度も教会へ向かうことは無かった。今でこそ女神様信仰をしているがそれまで信心深いなんてことは一度もなかった。なのでこの教会を訪れたのは初めてだし直接見たのも初めてだ。
当然人の行き来も多いし中に入ればさらに人も多くなっている。教会集合言われて来てみたけどこれどうやって目的の人物と会うんだよ。
「人多いですね」
フラフィーも疑問に思ったのかそう言ってくる。仕方ないので人が減るまでひたすら待ち続けるスタイルで行こうかな。たらい回しにされるRPGはたまに放置して時間置かないとイベント発生しないとかあったからそれで行こう。
というかよく考えたら俺に伝言を残してこんな速攻来るなんて思ってなかったとかかな。ケイブロットを俺が離れてる間に伝言を頼んだ様子だったし、数カ月以上どころか戻らない可能性だってあったわけなんだから。
あれ……もしかして教会で俺が何かしなきゃいけないとかなのかな。俺にだけわかるようなメッセージが隠されていてそのメッセージに従うと相手と連絡とれるとかそういう。
それだったらめんどくささの極致だな。とりあえず今日一日教会にずっといて何もアクション無かったら色々調べてみるか。
とりあえず暇なので教会に来ている人たちを観察することにした。
まず目に着くのが主婦層というか女性が多いというところだろうか。年配の方から少女まで年代も幅広くなっているだけじゃなく、見た目や服装も色々あるから貧富の格差もここではほとんどないのだろう。
お布施とか寄付といった行為も行われているようで、そのかわりに聖水をもらっている。暇だし鑑定かけてみたが、寄付する料金によって聖水の中身が変わるという事も無いようだ。
異世界転生の教会だと貧乏な層はよく粗悪品とかつかまされるとかあるけど、そんなことしてばれたらつぶれるよな普通。いや、貧乏な所だと普通ばれないし鑑定持ってる人たちは富裕層だから気にしてないのか。
こうしてみるとやっぱこの王都の人たちってかなり良い人多いよな。誰が統治してるのかしらないけどこんだけ格差が無いのはどこから考えても珍しいというか。教会の中だから良い人しか来てないっていうのもあるかもしれないけど。
王様死んだって話なのにすげーなまじで。
「あら、あなたもしかしてキミヒトちゃん? やだ、久しぶりじゃない!」
「鍛冶屋のおかみさん。お久しぶりです」
フラフィーと二人でぼーっと教会で過ごしていたら王都の鍛冶屋のおっちゃんのおかみさんに声をかけられた。ここの鍛冶屋も名店ではあるが、腕前ではたぶんゴンズのが上だと思う。
ここのおっちゃんはエルフの出力に見合う装備を作って無かったけどゴンズは普通に作ったからな。王都ならケイブロットと違ってなんでも商人が運んでくるから素材不足なんてこともないし。
作る必要が無いから作ってないだけって事もあるけど。こっちのおっちゃんは人間だけどゴンズはドワーフという差もあるからその辺も関係ありそう。
「もー、急にいなくなるから心配したのよ? なんだか他の街から色んな人が流れてくるし怖いったらないわ」
「何か困った事でも起きたんですか? 聞かせてください」
俺がそう答えるとおかみさんは気前よく色々な話をしてくれた。流石に教会の中で話し込むのはマナー違反なので当然外に出て話をする。孫に会えたおばちゃんの如くテンション上がったおかみさんは、近くの食堂に俺達を無理やり連れていきご飯を奢ってくれた。
久々に食べる王都のご飯もやはり美味しい。ロリ達は屋台でしか食べてなかったけどこういう所でもちゃんと食事してから行けばよかったかな。突発的に街をでたからしょうがなかったけど。
「それでね、あれがこうなって、それがこうで、大変だったのよー。ところでその子はお嫁さんかしら?」
話に満足したのか、流れで連れてこられてしまったフラフィーにようやく突っ込みが入る。
「ええと、そのあの」
フラフィーはいつものようにテンパっているのでこっちが答えてやろう。
「はい、そうです。大切な人です」
「キ、キミヒトさん……」
「あらー、キミヒトちゃんたら隅におけないわね。今度会えたら二人のなれそめを聞かせてもらおうかしら? おばちゃんの話に付き合ってくれてありがとね。ふふ、キミヒトちゃん知ってるお友達に伝えてこなくちゃ」
おかみさんはそう言ってその場を後にしてしまった。なんというかどの世界にいたとしてもおばちゃんパワーには勝てないなとそう思う。
しかしおばちゃんは雑談以外にもちゃんとした情報もくれるからありがたい存在だったりする。今回教えてもらえたのは、居なくなった王様の代わりに王女が街について色々改革しているという点。
というか人の感じが変わってないから元々王女が街を統治してたんじゃなかろうか。王様なんて見たことないしな俺。召還直後の挨拶も王女がちょっとだけ出て来てたし今考えると王女のほうが誠実そう。
それで兵士長みたいな人と共に人材の募集やらなにやら、冒険者から募っていたり、他の街からスカウトしたりと活動しているようだ。
しかし気になったのがリーベンとの交易を断ったことだろうか。俺がいた時は奴隷解放運動みたいな事してるやついたけど、リーベンとの交易は普通に行われていた。
だからギルド長からリーベンの奴隷うんぬんで街を出ておいた方が良いと言われたのだから。
「キミヒトさん、宿屋に戻ってから色々考えましょう?」
「え? ああそうだな」
そういえばもう夜になる。昼過ぎに着いてずっと教会にいて何もなかったしおかみさんの話を延々と聞いていたら一日が終わってしまった。これからどうするか考えるのはここじゃなくて宿屋の方が良いよな。
お腹もだいぶ膨れたし。
「懐かしいな」
「そうですね」
森は前と同じで魔物は非常に弱い。火を焚いておけば弱い魔物は寄ってこないので夜中の見張りは最低限で済むのがありがたいところだ。もしくはフラフィーがやってたみたいに木の上に登れば魔物に襲われない。
それをして寝たら落ちる危険性があるから絶対にやりたくはないが。木のぼりならもっとほのぼのした感じでやりたいよ、例えばおてんばな幼女が先生とか侍女の静止を振り切って登ってとか。
そんで落ちて前世の記憶取り戻すまでがテンプレかな。
そんなこんなで何かあるんじゃないかと少しビビりながらも王都に到着した。警戒しながら進んでいたので五日ほどかけて進み、女神様をいつでも呼んでいいような状態にもなっている。
魔王が活発化したっていうけどまだこっちにはほとんど影響が出ていないみたいで少し安心した。
「ぱっと見何も変わらんな」
「あかねさんが王城の兵士はほぼ死んだみたいな事言ってましたけど……平和ですね」
「もともと兵士なんて城の近くにしかいなかったからな。街の治安を守ってる連中はいなかったって事さ。冒険者たちが自主的に行ってることもあったし」
というか俺もそれをやっていた。街の人たちにいい顔するため、子どもたちに好かれるためにはそういった地味な活動が必要だったからだ。俺は弱いと言っても普通の冒険者にはそうそう負けはしない。
なので俺が街中でうろうろしてるのは若干の抑制にはなっていたようで感謝されたこともある。宿屋を中心にしてたからこの街全体ってわけじゃないけど、他の所では本当に正義感のある冒険者がなんとかしてくれていたんだろう。
よそ者の俺にも優しい街の人が多いってたぶんそういうこと。
しかしこの街は人間至上主義が強いのでフラフィーのような獣人は差別の対象になっている。なので俺も合わせてお互いフードを深くかぶってあまり人に見えないようにしている。街に入るときは冒険者だから問題なし。
顔を改められたとしても俺の事を知ってる人はそれなりに多いので俺が顔を出せばごまかしきれるだろう。それくらいの人付き合いはしてきたし、ギルドに行けばそれを証明も出来る。確認されることなんてそうそうないだろうが。
直接教会に向かいたいところだが、先に宿屋を予約しておこう。野宿は苦じゃないけどせっかく王都に入ったのにまた出るのはめんどくさい。ぱぱっと予約して教会へ向かう。
「……教会、でかいな」
俺はここに滞在していた間一度も教会へ向かうことは無かった。今でこそ女神様信仰をしているがそれまで信心深いなんてことは一度もなかった。なのでこの教会を訪れたのは初めてだし直接見たのも初めてだ。
当然人の行き来も多いし中に入ればさらに人も多くなっている。教会集合言われて来てみたけどこれどうやって目的の人物と会うんだよ。
「人多いですね」
フラフィーも疑問に思ったのかそう言ってくる。仕方ないので人が減るまでひたすら待ち続けるスタイルで行こうかな。たらい回しにされるRPGはたまに放置して時間置かないとイベント発生しないとかあったからそれで行こう。
というかよく考えたら俺に伝言を残してこんな速攻来るなんて思ってなかったとかかな。ケイブロットを俺が離れてる間に伝言を頼んだ様子だったし、数カ月以上どころか戻らない可能性だってあったわけなんだから。
あれ……もしかして教会で俺が何かしなきゃいけないとかなのかな。俺にだけわかるようなメッセージが隠されていてそのメッセージに従うと相手と連絡とれるとかそういう。
それだったらめんどくささの極致だな。とりあえず今日一日教会にずっといて何もアクション無かったら色々調べてみるか。
とりあえず暇なので教会に来ている人たちを観察することにした。
まず目に着くのが主婦層というか女性が多いというところだろうか。年配の方から少女まで年代も幅広くなっているだけじゃなく、見た目や服装も色々あるから貧富の格差もここではほとんどないのだろう。
お布施とか寄付といった行為も行われているようで、そのかわりに聖水をもらっている。暇だし鑑定かけてみたが、寄付する料金によって聖水の中身が変わるという事も無いようだ。
異世界転生の教会だと貧乏な層はよく粗悪品とかつかまされるとかあるけど、そんなことしてばれたらつぶれるよな普通。いや、貧乏な所だと普通ばれないし鑑定持ってる人たちは富裕層だから気にしてないのか。
こうしてみるとやっぱこの王都の人たちってかなり良い人多いよな。誰が統治してるのかしらないけどこんだけ格差が無いのはどこから考えても珍しいというか。教会の中だから良い人しか来てないっていうのもあるかもしれないけど。
王様死んだって話なのにすげーなまじで。
「あら、あなたもしかしてキミヒトちゃん? やだ、久しぶりじゃない!」
「鍛冶屋のおかみさん。お久しぶりです」
フラフィーと二人でぼーっと教会で過ごしていたら王都の鍛冶屋のおっちゃんのおかみさんに声をかけられた。ここの鍛冶屋も名店ではあるが、腕前ではたぶんゴンズのが上だと思う。
ここのおっちゃんはエルフの出力に見合う装備を作って無かったけどゴンズは普通に作ったからな。王都ならケイブロットと違ってなんでも商人が運んでくるから素材不足なんてこともないし。
作る必要が無いから作ってないだけって事もあるけど。こっちのおっちゃんは人間だけどゴンズはドワーフという差もあるからその辺も関係ありそう。
「もー、急にいなくなるから心配したのよ? なんだか他の街から色んな人が流れてくるし怖いったらないわ」
「何か困った事でも起きたんですか? 聞かせてください」
俺がそう答えるとおかみさんは気前よく色々な話をしてくれた。流石に教会の中で話し込むのはマナー違反なので当然外に出て話をする。孫に会えたおばちゃんの如くテンション上がったおかみさんは、近くの食堂に俺達を無理やり連れていきご飯を奢ってくれた。
久々に食べる王都のご飯もやはり美味しい。ロリ達は屋台でしか食べてなかったけどこういう所でもちゃんと食事してから行けばよかったかな。突発的に街をでたからしょうがなかったけど。
「それでね、あれがこうなって、それがこうで、大変だったのよー。ところでその子はお嫁さんかしら?」
話に満足したのか、流れで連れてこられてしまったフラフィーにようやく突っ込みが入る。
「ええと、そのあの」
フラフィーはいつものようにテンパっているのでこっちが答えてやろう。
「はい、そうです。大切な人です」
「キ、キミヒトさん……」
「あらー、キミヒトちゃんたら隅におけないわね。今度会えたら二人のなれそめを聞かせてもらおうかしら? おばちゃんの話に付き合ってくれてありがとね。ふふ、キミヒトちゃん知ってるお友達に伝えてこなくちゃ」
おかみさんはそう言ってその場を後にしてしまった。なんというかどの世界にいたとしてもおばちゃんパワーには勝てないなとそう思う。
しかしおばちゃんは雑談以外にもちゃんとした情報もくれるからありがたい存在だったりする。今回教えてもらえたのは、居なくなった王様の代わりに王女が街について色々改革しているという点。
というか人の感じが変わってないから元々王女が街を統治してたんじゃなかろうか。王様なんて見たことないしな俺。召還直後の挨拶も王女がちょっとだけ出て来てたし今考えると王女のほうが誠実そう。
それで兵士長みたいな人と共に人材の募集やらなにやら、冒険者から募っていたり、他の街からスカウトしたりと活動しているようだ。
しかし気になったのがリーベンとの交易を断ったことだろうか。俺がいた時は奴隷解放運動みたいな事してるやついたけど、リーベンとの交易は普通に行われていた。
だからギルド長からリーベンの奴隷うんぬんで街を出ておいた方が良いと言われたのだから。
「キミヒトさん、宿屋に戻ってから色々考えましょう?」
「え? ああそうだな」
そういえばもう夜になる。昼過ぎに着いてずっと教会にいて何もなかったしおかみさんの話を延々と聞いていたら一日が終わってしまった。これからどうするか考えるのはここじゃなくて宿屋の方が良いよな。
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