呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る
第148話 こっちの狙いは
「それで君たちは何かを知っているようだね? このあたりにいる勇者は一人って言われていたから来たのに二人いるし、その反応からまさかしらばっくれられるとは思ってないよね?」
薄まって来ていた殺意が刺激されまた頭痛がするほどの衝動に襲われ始めている。これは相手の感情に反応して強くなる類のものかもしれない。
もし呪いの事を知らずに勇者に襲われたらこちらとしても敵対意志を持つほかない。ショウの時に……いやあれは街襲ったって言うのもあるけどこっちからしてもかなりの敵意を持って対峙したからな。
それに刺激されてショウがスキルを発動してまで暴れまわったのなら納得できなくもない。
分かった所で俺にはもうこの消せない呪いがあるので対処の仕様がないが。不屈の力でも完全に消しきれないとはどういう了見だよ。
「知らないって言ったら?」
「無理やり聞き出すよ」
「無理やりとか勇者らしくないな。笑わせてくれる」
俺はもう一度剣を構え今度はあかねと共にユウキを挟むように移動する。ユウキは俺たちの行動をその場から動かず見守っている。というかたぶん動く必要すらないんだろうな、こっちより後に動いてこっちより先に攻撃できるだろうし。
しかしこっちの狙いはユウキじゃない。
「すまんな」
「なっ!」
そのまま俺は一気にアマンダの元へ駆け出す。驚いたアマンダが声を上げるが抜剣させる暇は与える気はない。後ろからユウキが攻撃してくるがそれは透過を使って無理やり回避。
ユウキが驚いている気配を感じるがそれは置いていく。そしてユウキにはあかねが攻撃をしかけほんの数秒の足止めをしてくれる。
「貴様……それでも元勇者か!」
「元だからな。それに俺達じゃお前に勝てないしこうやって逃がしてもらおうかなって」
ユウキから純粋な殺意を向けられて結構びびるが、こっちがやっていることは完全に悪側なのでもう引けない。やると決めたらやりきる。勇者らしくないのは俺もなんだよ。
俺の目的は勇者を助ける事だが、それ以上に仲間の方が大事だ。俺とあかねが死ぬような事態になればロリ達は悲しむだろうしそれだけは絶対に避けたい。たとえ人として間違っていたとしてもだ。
「キミヒト、お前良い奴だと思っていたのに」
「すまんアマンダ。ユウキから逃れるにはこうするしかなかった」
喉元に剣を突きつけられながらもアマンダからは緊張した様子があまり感じられない。知り合いだからというのもあるだろうが、その余裕からはユウキが助けてくれるという信頼感を感じ取れる。
さらにこの条件だと逃がす方が良いと思っているんだろう。残りの勇者の情報はまた占い師とやらに聞けばいいだろうし俺達から無理に聞き出す必要性もほとんどない。
「ユウキ、私は大丈夫だ。好きにやってくれ」
あ、違うわこの子。人質になって殺される準備完了してるだけだわ。なんでだよ、そう簡単に死のうとするなよ。剣向けてる俺が言うのもなんだけども。
「それはダメだ。仕方ない、アマンダを返してくれればこれ以上君たちを追いかけまわすのはやめにするよ。話したくない事情もあるみたいだし、僕も冷静さを失って行動するのはごめんだからね」
「話を分かってくれて嬉しいよ。先にあかねこっちによこしてくれ。そしてこの結界を解いてくれればアマンダは返す」
ユウキはあかねを捕まえる時間があったにも関わらずそれはしなかった。勇者としての意識がきっとそういった悪に手を染めるのを嫌がったのだろう。それにしては結界で閉じ込めたりやりたい放題だが。
「仕方ないな。でもこの場所じゃあ結界を解いた時に人に見られるかもしれない。場所を移動してもいいかい?」
「……だめだ」
もしこの廊下に人がいた場合はかなりまずいことになるだろう。結構お高い宿なのであまり人はいないがそれでもその心配はある。
しかしそれ以上に、ここから移動するとなるとロリ達がここにきてしまう可能性がある。この状態で戻ってみんなに見られたら確実にユウキを敵と認識するだろう。
やってることだけ見ると明らかに俺の方が悪人だし敵っぽいけど、俺を敵だと思ったりはしないだろう。その位の信頼感はある、はず。無かったら泣くわ。
その場合はこの狭い場所だと返り討ちにあうだろう。イリスが魔法を使うには建物、そして泊まっている人への被害は免れないし、フラフィーには盾を持たせていない。クロエは魅了が使えるが、この勇者は呪いすら耐えている化け物だ。俺と同様まともに効かないだろう。
そうなると急ぐ必要がある。通信機の連絡が途絶えてから結構な時間が経っている。俺達が今日外に出かけていることを知っているので探し回っているのならいいが、誰かが戻って待っている可能性もある。
「そうか。そう言うなら仕方ないね。君たちにはもうこれ以上関わらないようにするよ。お互いのためにね」
ユウキは剣を構えあかねに突き刺した。
「は?」
「え……」
全く動きが見えなかった。魔法を発動した様子も見えない。透視を使っていたからわかるが魔力の流れも何も、どこもおかしい所なんてなかった。
それなのにあのスピード。当然あかねも反応出来ず胸の位置に穴をあけられた。呆然としている俺の隙をついて俺の顔面には拳が見舞われる。壁に背中から叩きつけられ呼吸が出来なくなる。
「ん……? 殺すつもりで殴ったのに頑丈だね。まあいいか、人はなるべく殺さないのが勇者だからね。もうこれ以上関わってこないでね。お互いのために」
「ま、て」
なんとか声を絞り出すがユウキはアマンダを抱えて窓から外に飛び出して行った。結界が解除されてそこに残されたのは、一撃でやられた俺と死にかけのあかねだけだった。
薄まって来ていた殺意が刺激されまた頭痛がするほどの衝動に襲われ始めている。これは相手の感情に反応して強くなる類のものかもしれない。
もし呪いの事を知らずに勇者に襲われたらこちらとしても敵対意志を持つほかない。ショウの時に……いやあれは街襲ったって言うのもあるけどこっちからしてもかなりの敵意を持って対峙したからな。
それに刺激されてショウがスキルを発動してまで暴れまわったのなら納得できなくもない。
分かった所で俺にはもうこの消せない呪いがあるので対処の仕様がないが。不屈の力でも完全に消しきれないとはどういう了見だよ。
「知らないって言ったら?」
「無理やり聞き出すよ」
「無理やりとか勇者らしくないな。笑わせてくれる」
俺はもう一度剣を構え今度はあかねと共にユウキを挟むように移動する。ユウキは俺たちの行動をその場から動かず見守っている。というかたぶん動く必要すらないんだろうな、こっちより後に動いてこっちより先に攻撃できるだろうし。
しかしこっちの狙いはユウキじゃない。
「すまんな」
「なっ!」
そのまま俺は一気にアマンダの元へ駆け出す。驚いたアマンダが声を上げるが抜剣させる暇は与える気はない。後ろからユウキが攻撃してくるがそれは透過を使って無理やり回避。
ユウキが驚いている気配を感じるがそれは置いていく。そしてユウキにはあかねが攻撃をしかけほんの数秒の足止めをしてくれる。
「貴様……それでも元勇者か!」
「元だからな。それに俺達じゃお前に勝てないしこうやって逃がしてもらおうかなって」
ユウキから純粋な殺意を向けられて結構びびるが、こっちがやっていることは完全に悪側なのでもう引けない。やると決めたらやりきる。勇者らしくないのは俺もなんだよ。
俺の目的は勇者を助ける事だが、それ以上に仲間の方が大事だ。俺とあかねが死ぬような事態になればロリ達は悲しむだろうしそれだけは絶対に避けたい。たとえ人として間違っていたとしてもだ。
「キミヒト、お前良い奴だと思っていたのに」
「すまんアマンダ。ユウキから逃れるにはこうするしかなかった」
喉元に剣を突きつけられながらもアマンダからは緊張した様子があまり感じられない。知り合いだからというのもあるだろうが、その余裕からはユウキが助けてくれるという信頼感を感じ取れる。
さらにこの条件だと逃がす方が良いと思っているんだろう。残りの勇者の情報はまた占い師とやらに聞けばいいだろうし俺達から無理に聞き出す必要性もほとんどない。
「ユウキ、私は大丈夫だ。好きにやってくれ」
あ、違うわこの子。人質になって殺される準備完了してるだけだわ。なんでだよ、そう簡単に死のうとするなよ。剣向けてる俺が言うのもなんだけども。
「それはダメだ。仕方ない、アマンダを返してくれればこれ以上君たちを追いかけまわすのはやめにするよ。話したくない事情もあるみたいだし、僕も冷静さを失って行動するのはごめんだからね」
「話を分かってくれて嬉しいよ。先にあかねこっちによこしてくれ。そしてこの結界を解いてくれればアマンダは返す」
ユウキはあかねを捕まえる時間があったにも関わらずそれはしなかった。勇者としての意識がきっとそういった悪に手を染めるのを嫌がったのだろう。それにしては結界で閉じ込めたりやりたい放題だが。
「仕方ないな。でもこの場所じゃあ結界を解いた時に人に見られるかもしれない。場所を移動してもいいかい?」
「……だめだ」
もしこの廊下に人がいた場合はかなりまずいことになるだろう。結構お高い宿なのであまり人はいないがそれでもその心配はある。
しかしそれ以上に、ここから移動するとなるとロリ達がここにきてしまう可能性がある。この状態で戻ってみんなに見られたら確実にユウキを敵と認識するだろう。
やってることだけ見ると明らかに俺の方が悪人だし敵っぽいけど、俺を敵だと思ったりはしないだろう。その位の信頼感はある、はず。無かったら泣くわ。
その場合はこの狭い場所だと返り討ちにあうだろう。イリスが魔法を使うには建物、そして泊まっている人への被害は免れないし、フラフィーには盾を持たせていない。クロエは魅了が使えるが、この勇者は呪いすら耐えている化け物だ。俺と同様まともに効かないだろう。
そうなると急ぐ必要がある。通信機の連絡が途絶えてから結構な時間が経っている。俺達が今日外に出かけていることを知っているので探し回っているのならいいが、誰かが戻って待っている可能性もある。
「そうか。そう言うなら仕方ないね。君たちにはもうこれ以上関わらないようにするよ。お互いのためにね」
ユウキは剣を構えあかねに突き刺した。
「は?」
「え……」
全く動きが見えなかった。魔法を発動した様子も見えない。透視を使っていたからわかるが魔力の流れも何も、どこもおかしい所なんてなかった。
それなのにあのスピード。当然あかねも反応出来ず胸の位置に穴をあけられた。呆然としている俺の隙をついて俺の顔面には拳が見舞われる。壁に背中から叩きつけられ呼吸が出来なくなる。
「ん……? 殺すつもりで殴ったのに頑丈だね。まあいいか、人はなるべく殺さないのが勇者だからね。もうこれ以上関わってこないでね。お互いのために」
「ま、て」
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