呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第135話 幼女の残り湯ティー

どうやら盗賊のアジトに入ったのはあかね以外だったらしい。クロエとイリスは魔法でどうにか出来るしサッキュンは魔物なので空気は薄くても何とかなるとのことだった。

ちなみにサッキュンが中に入った理由は転がっている盗賊たちから精気を奪うため。サキュバスらしくていいと思います。

外で待っているあかねはあまりの煙の多さにバルサンてこんな感じなのかなと妙な気分に陥ったそうだ。アジトは下に向かっているタイプで他に出入り口は存在しなかったため一気に全員やれたらしい。

風魔法を使えば煙が上に行くと言う理論すら捻じ曲げて奥までしっかりと行き届かせるこの感じよ。でもちょっとした隙間からは漏れていたみたいだから空気穴的なものはあったのかもしれない。

「そして一番奥に行ったらこの女がいたわけよ。口に濡れた布押し当てて地面に伏せてて意識が残ってたから魅了しようと思ったの。そしたら……キミヒトの時みたいに敵意が無くてびっくりしたわ。気持ちの悪い邪な感情だったけど」

「そのあとクロエちゃん達戻ってきてこの人の思考読んだら、明らかに性犯罪者と言っても差し支えないレベルの悪行してたよねって言うね。お菓子とかあげたり勉強教えたりしながらおさわりは当たり前、一緒にお風呂に入ってるなんてこともしてたみたい。幼女の残り湯ティーとか本当にやる人いるんだね。流石に誘拐まではいかないけど未遂近くまでやってたみだいだよ」

アウトじゃねえか。俺は手を出してないし考えてるだけだから同類扱いされるとショックだよ。世間的にはあんまり変わらないかもしれないけどロリコンとしての意識の違いがあることを覚えておいてほしい。

イエスロリータノータッチであっちの世界では生きてきた。こっちの世界ではロリータの概念が無いにも等しい感じだからあっちの概念は役に立たない。だから今はイエスロリータでばっちりだ。俺はそう思う。

ちなみに俺でも幼女の残り湯ティーはドン引きだ。相当なことが無ければやろうと思わないだろう。クロエとイリスの残り湯ティー? 飲む飲まないは別として考えとく。飲む飲まないは別として。

でもこいつどうしよう……。

今はクロエの魅了で大人しくなってるからその脅威は誰にも向いていない。しかしこの魅了を解いたら盗賊なんかやってるし襲いかねない。そして顔をじっくり見ていると思いだしてきた。確かこいつは九番だ。

能力は『盗む者』だけだったはずだ。スキルが一つの代わりにステータスの伸びが良く、さらには盗賊として色々器用だったこともあり第一グループに所属していた猛者でもある。

つまり俺とあかねでは肉弾戦は絶対に勝てない。

前世での悪行、さらにこっちでは盗賊のお頭やってるみたいだしその性格も推して知るべし。

かと言って呪いの影響下にあると俺とあかねは襲われる。そして呪いを解いたらロリ達が襲われる。なんだよこいつ厄介極まりねえな。

「キミヒト、どうする?」

「……めちゃくちゃ処遇に困るな」

とりあえず盗賊たちが荷物を担いで待機しているので選ぶことにする。

盗賊の荷物はレイリーさんにまず欲しいものを選んでもらってから、俺たちが選ぶ。というかあってもなくてもどっちでもいいし、魔道具的なものは俺にはよくわからないから必然的にそうなる。

その間に九番の事を考えるが、マジでどうしようかなこれ。こっちの世界の住人を殺すことに抵抗はかなり無くなったが、勇者を殺すとなるとかなりの抵抗がある。友人に近い人を殺すのには抵抗があるような感じだ。

「キミヒト君、珍しく悩んでるね」

「うーん、安全を考えるならやっちゃったほうがいいんだろうけど……旅の目的を完全に見失うのとなんだかダメな気もする」

「私も日本人殺すのには抵抗があるよ」

ショウの時はこっちが殺されそうだったからこっちも殺す気でいけた。でも今は違う。それに殺す選択肢を考え始めると、何故か殺したらまずいという違和感のようなものも感じ始めていた。

ロリを守るためならこの命を差し出す覚悟はあるが、なんなんだこの違和感は? 勇者を殺すと世界のバランスが崩れる……とかならもう崩れてるな。つまりそうじゃない。

となるとなんだ? 今までの経験やゲーム的な考えからするとこの違和感を無視して殺すと必ず何か起こるだろう。しかしもしもこのまま放っておくとロリ達に何か問題が起こるかもしれない。十三番がこいつらさらったみたいに。

……反動が怖いが、やるか。

決意を固めると吐きそうなほどの違和感を覚える。しかしその違和感は不屈の力により無理やり抑えこんで耐える。

「あかね、こいつは殺そう」

「え、まじで? 大丈夫?」

「わからんが、クロエ達に万が一のことがあったら俺は自分を許せなくなりそうだからな。俺たちが束になってもこいつに勝てない可能性もあるし」

改めて鑑定をかけようとしていたが完全にはじかれていた。たぶん俺の鑑定は自分より強いもの、特殊なものは鑑定できないのだと思う。それだけでこの九番が破格の強さを持っているのがわかる。

「ごめんな、日本の人。名前がわからないままだったけど俺達に危害を加える可能性があるならここで死んでくれ」

「キミヒト、良いの?」

「ああ。野放しにしても良い事はない人種だ。助けたい気持ちももちろんあるが、犯罪者も救おうとするほど俺は出来た人間じゃないよ」

クロエが心配してくれるが俺の決意はもう固まった。無抵抗の人間を殺すのはこれが最初ってわけでもない。呼吸を整えて心を落ち着かせる。

そして俺は剣を振り下ろし、勇者として召喚された九番の命を奪った。

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