呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第132話 一週間後

それから一週間ほど経ってようやく出発の準備が整った。

「思ったよりも時間かかったな」

「そりゃそうでしょ。キミヒト君馬車買うとか言ってたから御者の経験あるのかと思ってたよ」

「誰か出来るかと思ってたわ」

そう、馬車を買ってみんなで旅しようと思っていたんだけど、馬と馬車を買うことは出来てもそれを操縦することが出来る人物が誰もいなかった。

クロエの魅了やあかねの意志疎通を使って無理やり馬を働かせることは出来るが、その場合理性や疲れというものを自分から言わなくなる。それに慣れてない俺たちが指示を出してもそうそうに馬をつぶしてしまうことも考えられた。

そうなればもう馬車とか邪魔になっちゃうし馬が可愛そうってことで馬車購入は断念。仕方ないので探索者ギルドではなくほとんど活動していないと噂の冒険者ギルドに突撃し、護衛依頼をついでに受けての出発となった。

しかしその依頼が一週間後だったので俺たちはめちゃくちゃ暇になってしまったというわけだ。目的の方向に向かう馬車がそれしかなかったという事実もあったためのんびりしながらひたすら待機だった。

「でも久しぶりにのんびりできた」

「そうね。移動してない日は無かったものね」

ロリ二人が満足そうなのでこちらとしても良い休日になったんじゃないかと思う。この二人はずっと逃げたりしながら行動してたんだもんな。ゆっくりする機会なんてそうそうなかっただろう。

「私も楽しかったです!」

フラフィーは新しい盾も手に入れることが出来て満足そうだった。ゴンズから盾の使い方講座みたいなものも受けていたようで、動きにバリエーションが増えたと喜んでもいた。

攻撃系に関しては死んでいるが、盾に関しては優秀なのでこちらとしても安心感ある。いや包丁使ってくれればちゃんと攻撃できそうだけど頑として使おうとはしなかった。あれ愛情表現用なの? 捨てちまえよマジで。

「私はもう少しのんびりしててもよかったよ?」

「お前は少しは動けや」

「情報集めてたから動いてたよ?」

「物理的な意味でだよ」

あかねはガチで宿屋にひきこもり続けていた。ロリ二人も結構な頻度で寝てはいたがたまに外にお出かけすることはあった。しかしあかねはマジで一歩も出てない。

確かに情報集めるだけなら出る必要ないけどひきこもり方がえげつなさすぎる。一週間ベッドの上で過ごせるとかもはや病人である。そら家の中にゴミ溜まるし外に捨てなかったらひどいことになるわっていうね。

いやごはんとかの時はベッドから降りてたけどマジでそんだけ。風呂すらめんどくさがって浄化を何度もねだれらるたびにどうしてやろうかと思った。ロンドといた時どうしてたんだよ。

……あいつらは浄化持ってそうだな。

「いやでもみんな結構楽しめたならよかったよ」

「キミヒト、何してた?」

「俺は……うんまぁ色々」

ミカのところで君たちの洋服買ってました。連れて行こうとするとクロエとイリスは嫌そうな顔するので連れていけませんでした。おもちゃのようにされてたもんね君らは。

フラフィー? 喜んで俺の事誘惑しようとするからアイアンクローかましてあかねの面倒を全て押し付けておいた。こいつは地味にポテンシャルが高いから二人で行くのは危険だ。

ちなみにお店では色々と新作が出来ていたので大量に買ってしまった。それについてはまたいつか披露する機会があると思うので割愛。でもスモッグ作ってたのでそれは購入したことだけは告げておく。

サイズに関してはミカが前回測った時のを記憶していたのでそれを参考に。

「おーい、あんちゃん達何も持ってないけど準備は良いのか?」

「はい、収納アイテムを持っているので食料や装備も準備万端です。いつでも出発できますよ」

収納スキルだと言うと面倒くさいので収納アイテムと偽ることにしていた。アイテムの方なら高価だけどそこそこ売ってるからね。

「そうか、んじゃ乗ってくれ。結構高価なもん積んでるから頼んだぞ?」

ダンジョン街は他にもあるが、ここまで手広く多くのダンジョンがある街はそこまで多くない。さらに貴重な鉱石を採掘出来る場所なんて限られている。そのためここから出発する馬車は盗賊たちに狙われやすいこともあったりする。

街から街へつながっている道もあるが、当然途切れたり何か問題があったりすれば迂回することになる。そのリスクを避けるために商人たちは冒険者を雇って出発することにしているらしい。

犯罪者の多い街のため、護衛の審査には結構慎重になっているので依頼を受けてから決定するまで結構かかったのも暇になった原因の一つだ。

ぶっちゃけフラフィー以外ガチでお尋ね者みたいなものだけど全部公になってない。そのためロンドのお墨付きとかもらって普通に審査が通りました。別にだましてないから問題はない。

勇者に襲われるようなことがなければな。逆に勇者が出てきた場合は俺とあかねだけ別ルートに逃げることになる。クロエとイリスとフラフィーがいればまず普通の盗賊山賊に負けないから問題はないだろう。

「今日はこの辺りまで行くからな。まじで頼むぞ?」

「ええ、大船に乗ったつもりでいてください」

商人の男は心配性で、俺たちの若さを見て結構渋い手ごたえだった。でも冒険者ギルドランクB二人でかつ一人は探索者ランクAという実績を示してようやく審査をしてくれた感じだ。俺もダンジョン攻略してるし。

うんまぁ見た目の年齢大人じゃないから不安よね。高校生くらいの少年少女と中学生と小学生二人とか護衛として心元なさすぎるでしょ。男も俺一人というね。俺なら雇いたくない。心配性でもなんでもなく当然の反応だよな。

サッキュンは街を出るときにしれっと混ぜてあかねのペットということでごまかした。一般的な男性としてはサッキュンの見た目が最高にはまるみたいなので特に文句がでなかったのは流石サキュバスだと思った。

そして馬車に揺られること小一時間。あかねが御者に話しかける。

「ここから先山賊注意とか言われませんでした?」

「え? ああ言われたけど、なんで知ってるんだ?」

いやそれ俺達にも教えておいてくれていいと思うよ商人の人。探知に長けてるあかねがいるから問題ないけども。もしくは俺たちの実力を測ったとかかな。

信頼関係は今のとこ皆無みたいなもんだからな。

「うーん、道変えられます? この先に十人ほど待ち構えてますけど」

「……やっつけられないか?」

御者の質問に対してあかねはこちらに視線を向けてくる。即答しないってことはそれほど強い感じじゃないのかもしれない。ちょっと見てみるか。透視と鑑定を発動させ山賊たちの様子を見てみる。

スキルのレベルが上がってからは結構な距離を鑑定できるようになった。スキルの同時使用もやってるうちにだいぶ慣れたって言うのも大きいと思う。

「……いけるな。全員俺よりも弱い」

「キミヒト君より強かったらそりゃまっとうな職に就いてるんじゃない?」

それもそうか。

「んじゃ俺とあかねだけでいいか。たぶんないと思うけど奇襲されたら馬車とこの人守ってくれよ」

「了解よ」

「おっけー」

「はい」

というわけで正々堂々正面から盗賊狩りをしてやりますかね。初めてクロエとイリスに会ったのもたしかこんな感じで正面突っ切ってったな。

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