呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第130話 神の威厳

後片付けやら何やらで忙しく動き、ダンジョン周りの屋台は撤退していった。これから通常営業に戻るのだろう。スタンピードの影響がどの程度続くのかはわからないがそんなに長い事はなさそうだ。動きが手馴れているからね。

よし、女神様のとこ行ってくるか。見てるだけってのも暇だしギルドのお偉いさんやランカー組は他のダンジョンの状態も確認しに行ってるみたいだしガチでやることがない。

それなりに貢献している俺達だけど圧倒的にダンジョンに対する経験と期間が短すぎるからこういう仕事は任せないんだそうだ。一応扱いとしては新人だし危険は冒してほしくないという体裁。

実際はまた何かやらかしそうだからだと思うけど。

「じゃあ女神様に報告しに行くからみんな今日は好きにしてていいよ」

「ついてく」

「私も女神様に興味があるわね」

「私も私も。女神様って私たち助けてくれた女神様でしょ? 私も一応感謝しとかないとって思ってたから」

というわけで全員で行くことになった。フラフィーは「お掃除デートとは……」とかなんとかつぶやいていたけど良いだろう。これから旅に出ていろんな街に行けばそういう機会だって増えていくだろうし。

それに掃除するならみんなで……いやあかねは掃除出来ない人種だったな。

というわけで廃教会に着き今日もお祈りを捧げる。

女神様女神様、本日も感謝を捧げに参りました。今回のご報告は危機回避に関するご報告です。以前女神様に頂いたスキルによって理性を保ちみんなと円満な仲を維持することが出来ています。

もしもあの時あかねに手を出してしまっていたら私は一生後悔……はしないかもしれませんがロリ達になんと言えばいいか今でもわかりません。そのため助けてくれた女神様には感謝しかありません。

もしもそんな修羅場状態になっていたらクロエの膝枕を堪能することも出来なかったでしょうし本当に感謝の極みです。

「うーんもはや私関係ありませんねぇ」

「おはようございます女神様」

「わー……ってなんか女神様こんなに綺麗な人だったっけ?」

あかねは俺と同様に何かしらの感謝を捧げていたようで女神様を視認出来ていた。確かめちゃくちゃ強い感謝しないと見えないとか言ってたけどあかねお前そんなにボーイズハント楽しかったのか。

もしくは勇者だから特別見えてるとかそういうタイプかな。

そしてあかねの言うように今回の女神様もちゃんと神々しい感じが強い。初期の疲れた女神様の面影は一切ないくらいにちゃんと神様してる。あの激務に翻弄されてるのが第一印象だとこれは結構驚くかもしれんな。

「いつも感謝ありがとうございます。今では人でも増えてきたので大助かりですよ。そっちの子も転生者ですね、今回の私グッジョブ。めっちゃランク上がった! それに綺麗って言われるとやっぱ嬉しい……」

元気になってきてちょっと神様っぽくなってきたけど嬉しいとこのはしゃぐ感じやっぱちょっと可愛く見えるね。微笑ましい気持ちになるというかそんな感じ。神様に抱く感情としてはおかしいだろうけども。

敬語になったのは神様らしさの演出だろうか。もしくは心の余裕が出来たとかそんな感じかな? もしくは俺以外がいるから神様ぶりたいとか。大人ぶってる子どもみたいで可愛いかよ。

「キミヒト君、これ本当に女神様?」

「失礼だぞ。確かに女神様は子供っぽい言動や行動をとることもある。しかし最初はこんなに元気じゃなくてめちゃくちゃ疲れた顔してたんだぞ。服装だってもっとシンプルでかわいそうな感じだったんだ」

「いやあの、そこらへんは伝えないで頂けると……神の威厳が、ほらね?」

あかねが失礼なことを言うので正直に感想を述べて擁護すると女神様から反論が上がった。親しみを持てるように言ってみたけどすごい楽しい。威厳が無いのに神々しい謎のカリスマ感ある。

守ってあげたくなるような崇めていたくなるようなそんな感じ。これが強まっていくとガチの信者になっていくんだろうな。俺は信者でも全く構わないけど。

「そうなんだ。初めまして女神様。このたびは色々と便宜を図っていただきありがとうございます。最初はちょっと恨みもしましたけど今ではいろんな人と出会わせてくれた女神様には感謝する気持ちしかありません」

「いいのです迷える子羊よ。私は神として当然のことをしたまでです。私への感謝の気持ちはしっかり伝わってきています。その気持ちはあなたが行ってきた行動が返ってきたものですので、これからもその気持ちを忘れないでくださいね」

あかねは俺の言葉を軽く流して女神様に挨拶をする。女神様も女神様であかねのまっすぐな言葉に少し嬉しそうにしながら言葉をつなげなんかそれっぽいことを言い始める。

顔がにやけているので嬉しいのだろうな。感謝され慣れてなさすぎるだろまじで。

「転生するときに恨み言はかなくて良かったなあかね。もし言ってたらやばいところに送られるところだったんだぞ」

なのでちょっとからかう気持ちも込めて暴露話をしてみる。

「え?」

「か、神として当然のことをしたまでです」

ちょっと口元がひくついているがなんだかもっと色々言って恥ずかしがらせてみたい衝動に駆られてくる。女神様が神々しいのにおおらかなのがいけない。あと最初のだらけた姿を知ってるからいじり倒したい気持ちも強い。

感謝はするけど親しみも凄いこもってるからね。あかねに言っても感謝が減ることはないという確信も相まって色々と言いたい。

しかしその前にみんなの紹介を……と思ったけどみんな女神様見えてないな。場の雰囲気が変わったことは気づいているようだが俺とあかねを交互にみて空中を見て首をかしげている。

たぶん俺一人だったらなにか変なこと言い出したで済むけど、あかねも一緒になって喋ってるから不思議に思っているんだろう。見えない何かと喋ってる人ってはたからみると結構怖いもんがあるからね、仕方ない。

俺も前世でみたことあるけどまず確実にお近づきになりたくない人筆頭。

でも説明するのは戻ってからでいいから話を進めることにしよう。いじるのもまた今度で良いか。今まではこの教会に休みに来てたみたいだけどこれからはどこでも感謝すれば会えるようになりそうだし。

疲れた顔もしてないし元気溌剌感あるし、もうサボるレベルの激務にやられることもないだろう。感謝されて呼ばれるのは神様的にもランクアップにつながる大事な儀式っぽいし。

「呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く