呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第122話 例のスキル

「うわなんだこれうますぎる」

一口飲んだ瞬間体にみなぎる圧倒的な元気。内側からみなぎる活力に何でもできるような気持ちにさせられる。これは精力剤というよりもエナジードリンクに近い飲み物なんじゃないだろうか。

「おいしーなにこれぇ」

しかし俺とは違ってあかねには別の効果があるようだ。俺はただただ美味しいと感じているがあかねはなんだか酔っ払いのようになっている感じがする。このまま放置しておくとフラフィーに刺されかねないので不屈を発動させて触れる。

フラフィーのアイテムを取りに潜ったのに他の女の子といちゃいちゃするとか洒落にならんからな。いや手遅れと言えば手遅れだし刺されてももう許してしまえるくらいの気持ちはあるけど。

フラフィーの嫉妬は嫉妬ってもうわかるから何でもいいよね。怒ろうが刺そうがなんでもこいよって感じ。刺された後に抱きしめれば機嫌治るんでしょ? 余裕余裕。

……あかん、俺もこれ結構毒されてるんじゃないか? 不屈の強度を強くして気を確かに持つ必要があるな。

「キミヒト君、これ、すごいねぇ」

「おいしっかりしろ」

クロエのスリープが欲しいと思うけど無いから俺がどうにかしなければならない。暴れるあかねをなんとか押さえつけ、俺すらもどうにかなりそうな精力剤の効果を打ち消す。

ってか一口でこれって絶対薄めなきゃやばい奴だろこれ。百本も渡されたから全然余裕かと思ってたけど薄める必要があるって教えてくれよ。劇薬なんてレベルじゃねえんだが。

初めてカルピスの原液を飲んだ時のような口いっぱいに広がる濃厚な味の癖に駆け抜ける爽快感があるからこのまま一気に飲めそうだけど飲んだら絶対にやばい。後味もすっきりだし癖になるよこれ。

「えぇキミヒト君なんで覆いかぶさってるのぉ? しちゃう?」

「正気に戻ってくれあかね。お前が暴れるからだししないから安心しろ」

好意を持たれているからってこんな媚薬みたいな効果の中でするのは違うと思う。せめて途中から使って盛り上がるか、何度かしたあとにスパイスとして使うとかそういう方法で使用したい。

だからといってあかねと何回もする予定はないから使わないと思うけど。使うならクロエとかイリスに使ってめちゃくちゃ乱れさせたいくらいかな。もしくは三人でしたときに一人にだけ使って二人でなだめるプレイとか。

結構楽しそうじゃない? 一人だけ激しさを求める中二人でなだめるプレイとか。クロエに使ったらギャップ萌えで俺は死んでしまいそうな気がするよ。

フラフィー? あいつに使ったら俺が死ぬよ。絶対に禁止だ。フラグではない。

「あー、くらくらする。ねぇキミヒト君、めちゃくちゃ強いねこの薬」

「想像以上だわ。すまん、こんなに強いとは思わなかった」

「私が言ったんだし良いよ。それに別に襲ってくれてもいいんだよ」

「俺は素面だ、幼女じゃないあかねを襲うほど錯乱しないから安心しろ」

「最初から錯乱してるんだよなぁ」

あかねと二人であおむけになりながら雑談をする。手をつなぎ不屈を通しているからあかねもだいぶ落ち着いてきた。でもこれ効果いつまで続くんだろうか。不屈発動してるから眠れもしないぞこれ。

やっちまった感ある。

「あかね、動けそうか?」

「うん、まあなんとか。キミヒト君が手を握ってくれてるから精力剤の効果は無いけど……なんか照れるね」

「それを言われると俺も照れるからやめてほしい」

あかねは日本人の中ならかなり可愛い部類だと思う。女神様が色々と補正をかけてくれたおかげで顔の形はかなり整っている。

美人に見える条件というのに骨の形が整っていると言うのがある。特に下半分の骨の形が整っている人は美人だとか。それに加えてかなりバランスよく作られた骨の形は人を美しくするには充分だ。俺もそうだし。

ただし胸のサイズは据え置き。あかねは普通サイズだ。その辺も幼馴染っぽさを感じさせるから青春ラブストーリーだったら結構重要なヒロイン役出来るな。

そんな雑念を感じているとあかねがヒロイン枠に食い込んでしまいそうなのでこの辺りでやめておく。たぶんあかねに手を出したらフラフィーのみならずクロエとイリスも怒る。

余計な火種は起こしたくない。好意を持たれてるからと言って抱くのは不誠実がすぎる。将来を誓い合ったロリがいるのに、据え膳食わぬはなんてのはクズの思考だろ。ロリに平然と手を出すのがクズじゃないかと問われると悩むところだが。

「良いじゃん照れてても。ほら、他に誰もいないしさ」

「そうじゃなくてだな、ほら立てって。眠気も疲れも吹っ飛んだだろ。行くぞ」

「しかたないにゃぁ」

体の元気は凄まじいことになっているので普通に体を起こす。眠気も疲れも全部吹っ飛んだ。あかねもそのようでお互いにダンジョン入った時より元気になっている感じがある。

「ずっと触れてるなら……体も調子良いしおんぶの方がいいか?」

「え? あー、いや、それはちょっと、うん。ねぇ?」

あー、そうか。直接触れるし全力で走るなら色々と触れてしまうか。服越しとはいえ恥ずかしいという気持ちが出てきてしまうのはわかるな。あんまりおんぶなんてしないし軽率だったか。その辺リアルで女の子らしいからあかねはたまにドキっとさせられる。

しかしそうするとどうするか。お姫様抱っこは正直走るには適さない。というか揺れてる状態でお姫様抱っこすると俺の腰が死ぬんじゃなかろうか。あの体勢で走ってる連中は鍛えられすぎている。

「ああ、そうか。これでどうだ? ちょっと触れるぞ」

「え? 何々」

そういえばこんな時に女神様から便利そうなスキルもらっていたな。全く使う機会がなかったけど今なら行けるんじゃないか? 病気というか状態異常だしなんとかなりそう。

「近いよキミヒト君」

「ちょっと我慢してな」

スキルの多重発動は結構集中する必要がある。透過を使ってあかねに触れて、不屈を使って発情状態を無理やり抑える。そしてそこから例のスキルを発動させる。

ずっと使う機会のなかったあの看病スキルだ。

「ん? もう終わり?」

不屈を使っているからあかねの状態は変わらないが、俺が手を放したらどうなるか。一応発動した感触はあったからいけたはず。いけなかったらどうにかして運ぶ方法を模索しよう。

「え? あれ、離れても大丈夫……? 何したの?」

「女神様からのありがたい加護だ」

どうやら発情状態は完全に打ち消せたようだ。よかった、これで誰にも襲われる心配はなくなった。女神様に修羅場を回避したお礼をささげなければならないな。また行く理由が出来てしまったぜ。女神様マジ女神。

「そうなんだ……ちぇ」

「舌打ちするんじゃないよ」

あかねとしては自分の気持ちを打ち明けたし勢いで色々したかったのかもしれないが、こちらとしてはとても危なかったところだ。最近大人しくなっていたフラフィーのあの包丁を見なくて済むし結果として良かっただろう。

あかねは恨みがましい目でこちらを見続けていたが俺からは絶対に手を出す気はないし出来る限り断るつもりではある。でも俺に手をだすならみんなに許可取ってくれよマジで。



          

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