呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第40話 変な連中に絡まれた

「あとついでに勇者の情報も調べてみたけどまだ何も出回ってないみたいだね。かっこいい男の人もほとんどいないし」

え、何この子超有能なんだけど。俺なんかロリといちゃいちゃできなかっただけでふてくされてたのに。

「まじかよありがとう。っていうかあかねの意思疎通ってどんなスキルなん? 魔物に言うこと聞かせられるのは知ってるけど」

「あー、これ? うん。それに加えて簡単に言うと人から情報拾える。って言ってもそこまで正確ってわけじゃなく内容も大雑把っだったんだけど今日はだいぶ正確に拾えた。これが呪いが解けた影響かー」

あとたぶんスキルレベルアップの恩恵も受けてる。どうやらあかねのスキルは人の考えていることを検索する機能が付いているようだ。

意思疎通っていうかそれもう一方通行で情報を区画整理してるみたいなもんな気がするけど。でも便利だし呼び方なんてどうでもいいね。俺のトオシも大概だし。

「めちゃくちゃ便利だな。どのくらいの範囲いけるの」

「あー、ちょっと待って。ちょっと前までは部屋一つくらいだったんだけど今日調子が良すぎて街の半分くらいいけそう」

まじかよ怖い。え、諜報員として働いた方がいいんじゃないこの子。怪しい家を遠くから監視できるようなもんだろやべぇ。そんで俺が透視して動き監視したら不正も行動も全部つつぬけやん。

立派なエージェントになれるな。勇者としてはどうなのかって話だが。

そんな感じでダンジョンに向かったが何やら変な連中に絡まれた。

「へい兄さん、こんなに女の子に囲まれてうらやましいね! 俺の名前はイチロウ」

「全くだ! それなら俺達と良いことしようぜ。俺の名前はジロウ」

「さあいこう、新しい境地へ! 俺の名前はサブロウ」

そう言って俺たちの方に近寄ってくる。ナンパなんだろうが、手を出してくるならこっちだって容赦してやるつもりはない。あと自己紹介のタイミングおかしくない?

ロリ達に触れたら容赦なくぼこぼこにしてやるよ。フラフィー? フラフィーはもう後ろに下がって警戒してるよ。ロリ達は余裕ぶっこいて俺の隣。頼もしいけど今は下がって欲しいです。

「さぁ、こんなところにいないで」

「俺達と共に!」

「いざゆかん!」

だいぶ愉快な頭をしていらっしゃる。ラノベとかでハーレムを作っていると絡まれる展開があるが、俺もそれに引っかかってしまったか。

俺のパーティの女の子達は街だとローブ軍団だったが、流石にダンジョン入るのにその恰好はしていない。そのため警戒していないのが仇になったか。

そして男たちは俺の目をまっすぐ見て俺の腕を取り引っ張っていこうとする。ん?

「さあ行こう兄弟!」

「あぁ、いい男手が手に入った!」

「君たちはどうするんだいお嬢ちゃんたち」

……? え? なにこれ。理解が追いつかないんですが。

そして後ろのロリ達も全く理解が追いついていないまま俺と距離がどんどん離れていく。え? なんで俺がつれてかれてんの?

あれ? ここって俺がかっこよく彼女ら助ける流れじゃないの? そういえばこいつらへい兄さんしか言ってないな。女の子目当ての発言じゃなかったわ。

とりあえず理解してきたけどより一層怖さ増して来た。

「ちょ、みんな! 助けてくれ!」

ロリ達と結ばれる前に男たちと結ばれるなんてごめんだ。しかもこいつらやたらとイケメンだし触り方優しいしなにこれどういうこと。

こんな触り方されたから警戒心も一気に下がったしエスコートの仕方手馴れすぎてるし助けを呼ぶのが遅れたわ。男に触られてるのに嫌な気分にならないのが非常に腹立たしいわなんだこいつら。

「キミヒトさんを返してください」

「どろぼう」

「大人しくしなさい。こっちは手荒な真似したっていいんだから」

意外にもちゃんと連携取ってイチロウ達を囲む。まじで仲良くなってんなみんな。俺は嬉しいよ。あとどいつかわからんが優しく腰をさするのやめろ。

「君たちも探索者かい?」

「この男の子をちょっとだけ借りたいんだ」

「お嬢ちゃんたちが嫌じゃなければ一緒にどうだい? お金はだすよ!」

ごめん全然理解できてねえわ。こいつらなんなんだよまじで。ホモと見せかけたバイか? ああん?

「すまん、あんたら誰なんだ?」

俺をさらったのにもかかわらずとても友好的、そして女性陣に対しても普通の対応。さらには何かを手伝ってほしいらしい。ハーレムに難癖つけてくる連中じゃないのかよ。

え、まじで誰なのこいつら。

「俺たちの事を知らないらしいぜブラザー」

「そいつは参ったぜブラザー」

「こいつはすまなかったなブラザー」

「俺はブラザーじゃねえよ」

ははははと笑い声をあげながら俺から手を放し、友好の証かなんなのか肩を組まれる。なんかこいつら良い匂いするのすげー腹立つ。

「ごめんな! 俺達疾風のロンドって名前で活動してるんだ」

「これでもB級探索者で有名なんだぜ! ごめんな!」

「よろしくなんだぜ! あとごめんな!」

愉快な連中だし礼儀もあるのかないのかさっぱりわからん。有名らしいから名乗ったみたいだけど知らなくてすまんな。そしてどうして俺たちに絡んできたのか。

俺はこの街に来てかなり日が浅いし露出もまったくと言っていいほどしていない。クロエとイリス、フラフィーもだが注目されたのは最初にギルドを訪れた時だけだ。

その時偶然見つけられて声をかけられたって線もある。だけどそれなら俺だけでなくクロエとイリスも誘うはずだ。フラフィーは受付から悲しい顔されてたから印象ないかもしれないが。

「よくわからんがわかった。みんな、武器を収めてくれ」

俺は敵意を放つ三人娘に声をかける。といってもみんなの武器はぱっと見、盾、素手、木の枝。なんだこの頼りなさ。ミスリル取ってきたら素手が魔法少女ステッキになる予定だからさらに面白くなるな。

武器らしい武器が全くないのどうにかならない? そらあかねも文句言ってくるわ。俺の常識が欠如してたよごめんなあかね。というかあかねどうしたんだよって木の陰にいるわ。何してんだ。

「それでお前たちは何の用だよ」

あかねは放置してとりあえず話を聞くことにした。このまま素通りしてまた絡まれても面倒だしな。解決できる問題なら解決しよう。お金くれるっていうし。

「じつは優秀な荷物持ちが欲しくてな」

「俺、人のスキルいくつか確認出来るスキル持ってる。『スキル鑑定』っていってな、希少なんだぜ。戦いには向かないが」

「それで収納持ちのお兄さんに声かけたってわけだ」

最初から普通に言えや。あっち系の人たちかと思っただろうが。というかスキル確認できるスキルって楽しそうだな。俺の鑑定さんなんてすんごいいい加減だし。いやもしかしてスキル強化されたから……? 確認してみよう。

『イチロウ:人。疾風のロンドのリーダー』

『ジロウ:人。疾風のロンドのパーティメンバー』

『サブロウ:人。疾風のロンドのパーティメンバー』

変わらん。なーんも変わらん。いや文章が二つにはなってるし種族がわかるようになったけどこれ意味ある? そもそも鑑定じゃないしないものねだりかもしれんが。

「あー、そう。何を運ばせたいんだよ」

「実はこのミスリルの洞窟の探索階層更新したいと思っててな。それで荷物が多くなったんだ」

話を聞いているとこういうことだった。現在の攻略階数は二十七階。Bランクの別パーティが記録したものでそこから更新はされていないらしい。

更新されない理由はミスリルが充分に採掘出来る事、それとダンジョンの探索深度が深いので荷物の持ち込みに限界があること。

三十階を目指すとしても日数もかかりすぎるし物資がかなり必要になる。そんな状態で潜ろうものなら魔物にも襲われるしミスリルを取って帰ることも出来ない。

収入が安定するならだれも奥に行かないってことらしい。ダンジョンの移動は便利な地点登録があるところもあるが、このダンジョンは攻略をする必要が無いので設置されていない。

「じゃああんたらはなんで行くんだ?」

「ロマンだからさ!」

かっこよく言ってるがやろうとしたことは拉致だぞお前ら。面白い奴らだから許すけど。というか男友達みたいでとても心地よいまである。それにロマンなら仕方ない。

あとあかね? お前いつまで隠れてるの。他の子はもう俺の横にいるんだけど。

「そうか、ちょっと相談してくるわ」

「本当か!? 頼む! ロマンを追及したいんだ!」

相談だってばよ。そんなに拝み倒されたらなんとも断りづらいでしょう。

というわけで俺はあかねをとっ捕まえて全員で円陣を組む。みんな困惑していたが無理やりこの形にした。

「条件次第では手伝っても良いと思ってる。みんなはどうだ?」

「キミヒト、任せる」

「私もそれでいいわ。おかしな連中だけどそこまで悪い人間でもないみたいだし」

イリスとクロエはおっけーと。強引に俺を連れて行こうとしたのもお守りか何かだと思ったみたいだし、強引だったとはいえ一応全員の事を見ていたし差別もなかった。

確かに知らないパーティと一緒にダンジョンを潜るのはなかなかない機会だ。この機会に伝手を増やしておくのも悪い手じゃない。フラフィーもロリ達と同様文句はないようだ。

となるとあと一人の了承を得られれば終わりなんだがどうした。

「おいあかね、さっきからどうした」

「疾風のロンド……いま話題沸騰中のイケメン冒険者パーティ……女の子たちからの人気も高い……ギルドによく納品しにくる……クエストもやる……さらに家持ち……」

こいつあいつらの事品定めしてたわ。

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