呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

こが

第37話 出来るだけ可愛い感じに

宿屋に急いでやってくるとおじさんが良い笑顔で出迎えてくれた。

「これはこれは、幼女好きなお客さん。お一人でどうしました? あ、もしかして捨てられました?」

……接客業なのに煽りを入れてくるとかやるな。気に入った、お前も道連れにしてやる。幼女を泊める宿として宣伝しておいてやるわ。

後日この宿はそのせいで大繁盛するようになる。ロリコンの行動力って恐ろしい。

「そんなわけないでしょう。俺たちは愛し合っているんですから。それはともかくとして一人増えたんだけど部屋開いてない?」

「ちょうど一人部屋が空きましたよ。タイミングが良いですねお客さん」

俺の軽口に微塵も笑顔を崩さず対応する。煽り性能も高くてポーカーフェイスも出来ると。なかなかにやり手じゃねえか。ついでに幼女を連れて行くと店主が笑顔になるって宣伝もしておこう。

後日、子ども連れのわけあり冒険者も来るようになって大繁盛するようになる。宣伝効果にしかならなかった。

というわけで俺はその一部屋を借り、みんなの元へ戻ることにする。何事もなく予約できてよかったわ。

最悪みんながきゃっきゃうふふしてる時に野宿しかないかなって軽く絶望しかけてたけど助かったわ。

さて思ったより早く済んだし鍛冶屋に戻るか。宿屋にいるとは伝えてあるけどこっちから迎えに行った方が早いだろう。

そして迎えに行ってみるとすでにみんないなかった。行き違いになったか。

「やってるー?」

「誰じゃいってもういいわ。お嬢ちゃんたちならまた来るって言ってでてったぞ。作れる装備のリストを見せたらみんなで相談してたぞ。内容的にわからんでもないが」

ゴンズが言うということは結構めんどくさい装備が多いのかもしれない。確かに最後にめんどくさそうなアイテム渡したからな。すまんなクロエ。

「ええとどれどれ……」

渡されたリストを眺めてみると、各種耐性の付加されたアクセサリー。この場合は指輪、腕輪、ネックレス、イヤリングなどの小物が多かった。というか人数分でそろえるとなると小物の方が良いだろう。値段的にも。

しかしこれだけだったらクロエはいくつか買ってもおかしくない流れだ。フラフィー用には防御アップ付いた奴で良いし、クロエとイリスには魔力アップ。

汎用性を重視して魔法軽減のアクセサリーもお買い得な感じだ。渡したお金でも充分足りるくらいにはなっているが、腐蝕竜の素材が問題だと一目でわかった。

これだけ明らかに浮いているし値段も十倍くらいする。正直これ買ったら渡したお金は完全に消費される。しかしその効果は絶大だった。

腐蝕竜の指輪と書かれたアクセサリーの効果は、死亡後一度だけ復活可能というものだった。使う素材も銀、紅蓮石、腐蝕竜の骨と持ってきたものほぼ全てが必要だ。

スキル効果は確かにでかい。というかかなりやばい予感すらある。死んでも生き返るようなアイテム。これがこの値段ならかなり安いと思って間違いない。少なくとも俺はそう思う。

正直めちゃくちゃ欲しい。

「おっちゃん、これやばくない?」

「正直やばいな。腐蝕竜ってのは中々いないし骨のドロップもそうそうない。竜種は普通死ぬとき消滅する所を、アンデットになって耐えて、さらにそこから消滅する時の魔力の結晶だ。もう一度手に入る機会はないんじゃないか?」

イリスぱねぇ。超レアドロップやん。焼き尽くしてたけど拾ったのもナイス判断すぎるわ。愛おしさが溢れるわ。

クロエが保留にするのもめっちゃわかる。

「じゃあこれをお願いします」

「いいのか? お嬢ちゃんたちに相談しないで」

「おっけーおっけー。お前たちの誰も死んでほしくないとか言って納得させるんで」

「クズなのか仲間想いなのかはっきりしねぇな」

という事でゴンズに指輪の制作を頼んだ。あ、ちょっとまった。

「出来るだけ可愛い感じにしてくれると助かる」

「あいよ」

女の子にあげるアクセサリーだ。無骨なデザインよりも可愛いほうがいいだろう。しかし余った強化スケルトンの魔石はどうしたもんかな。そのうち武器にでも使いたいところだ。

魔石と言えば魔力の伝導効率がかなり良いと聞く。そうなるとやっぱりクロエの武器かな。ダンジョン潜ってお金を貯めていかねばならないか。

もし聖銀装備を作るならどのくらいのお金がかかるのかと素材の事を教えてもらい店を出た。

勇者を助ける、あかねの彼氏をみつける、お金を稼ぐ、充実してんなぁ。

というかみんなどこ行ったんだろ。と思っていると武器屋にいた。そういえばこっちの街来てから防具屋しか行ってないな。

「みんなここにいたのか」

「キミヒト君、なんでまともに武器持ってるのがイリスちゃんだけなの? これまでどうしてたの」

あかねが最もなことを言ってくる。うん、俺も本当はそう思うんだけどフラフィーは盾さえあればいいっていうし護身用の包丁みたいな解体用ナイフを持ってる。

そしてクロエに関しては王都でも目にかなう装備が無かった。鍛冶屋にもなかったし中途半端な装備するくらいならいらないと言っていた。

実際にクロエの表情を見てみるととても渋い。きっとあかねに連れられてダメ元で来たんだろうけどやっぱり駄目だったんだろうな。

「何かあってからじゃ遅いんだよ? それに武器がなかったらまともに戦えないじゃない」

うん、まじでまともなこと言ってるけど普通はそう思うよね。でもあかねはクロエの実力知らないんだよな。

「あかね、私は別にいいわ。ちゃんと気に入った装備使いたいし、合わない装備使うとちゃんと実力発揮できないし」

「でも」

二人が言い合いになりそうだったので丁度魔石の使い道をクロエの武器にしようとしていたことを伝える。ついでに作る装備は指輪にしたことも。クロエたちもそうだろうねと納得した様子だった。

「へー……こんなの持ってたんだ。っていうかこれ何?」

「あの変なオーラ出してたスケルトンの魔石」

「え、倒したの!?」

あれ、言ってなかったか。そう言えば大変だったなーで終わってたな。それなら驚くのも無理ないわ。

「みんなで頑張ったんだよ。かなりギリギリだったけどな」

その時の話をかいつまんで話す。あかねは納得したようにうなずくが、それまでクロエの装備をどうしていたのかの話題に戻る。

「クロエは杖が無くても優秀だぞ? 素材も集めに行かなきゃいけないし実際に見てみると良い」

あかねはあんまり信じてなさそうだったが、強化スケルトンの魔石があるためこれ以上追求しても無駄だと思ったのだろう。とりあえず納得させることに成功した。

というわけでみんなで宿屋に戻る。新しい部屋を借りられたことをみんなに伝える。

「じゃ、あかねはこの部屋な」

「私が一人なの!? 普通男のキミヒト君が一人になるんじゃ!?」

「いや俺ロリっ子に囲まれて寝たいし」

「クズなんてレベルじゃないんだけど!? 清々しすぎるよ!」

あかねが何か吠えてるが俺は知らん。せっかくのロリっ子たちとの同部屋だ。逃す手はない。

「元々俺たちは四人で泊まっていたんだ。そこにあとから来た茜が割り込んでくるのは違うだろう」

「正論とみせかけた暴論だからね? 女の子が来たら普通女の子と変わるからね? それに女の子一人にするとかおかしくない?」

「あかねはひきこもりなんだから一人のほうがいいだろ?」

引きこもりは基本的に一人で過ごす方が良いだろう。そう思って親切から言っているのにあかねはどうしてもと拒み続ける。何故だ。何故俺がロリっ子と泊まるのを邪魔する。

「キミヒトさん、私もあかねさんの主張が普通だと思います……」

「フラフィーお前明日からソロでダンジョンいけ」

「なんでですか!?」

フラフィーが向こうについてしまった。だがロリっ子の二人ならきっと俺を助けてくれるはず。そう言って二人を見るが。

「うん、そうね。普通はキミヒトが一人になるわね」

「キミヒト、けだもの」

俺は一人でふて寝した。

みんな仲良くなったみたいでよかったよ。

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