呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る
第10話 人間かどうか
ギルドを出て旅の準備を始めると二人は申し訳なさそうにしていた。
自分達のせいで街を追い出される形になったから当然の反応だとは思う。俺だって俺のせいで恩人が追放されたら凄く申し訳なくなるだろう。
「二人とも落ち込みすぎだって。俺ならやること出来て逆に嬉しいくらいなんだからさ」
「でも……」
「でもじゃないって。それにほら、こんな可愛い女の子を侍らせて旅に出られるなんて男冥利に尽きるってものだし」
俺がふざけた感じでも真面目に言うと二人とも少し落ち着いたのか緊張を解いた。
「キミヒト、私、力になるよ」
妹のイリスは近づいてきて俺の手を握りながら真面目にこんなことを言ってくれた。凄く嬉しい。
イリスは魔法の才能も勇者組に負けないんじゃないかと思うくらいにはあるし、戦闘面でも充分以上に力になってくれるだろう。
俺だけじゃどうしようもないときなんて多々あるだろうしダンジョン攻略では頼らせてもらおう。
「わ、私も力になってあげるわよ。助けてもらったお礼もまだしてないし……」
クロエもちょっと照れながらだが俺のことをちゃんと考えてくれていたみたいだ。
クロエの実力は今のところハッキリとはしないが、あの抗いがたい妙な気持ちになったのはクロエの力だろう。
あれ幸せな気持ちになるから定期的にやってくんないかな。めちゃくちゃ力になって欲しいわ。
幼女に愛されるって素敵だなあ。
「イリスもクロエありがとう。取りあえず必要なものをそろえちゃおうか、明日の朝には出たほうが良いだろうし。二人には休む時間なくて申し訳ないけど」
二人は気にしないでいいと言って俺の後に着いてくる。しかし、俺たちはすぐに足止めをくらうことになった。
「おいお前、そこの奴隷を返してもらおうか」
そこには丸々と太った、控えめに言って人間には見えない顔の人間のような姿をした人間服を着た人間の言葉を喋る生き物がいた。
いやまぁただの太った人なんだろうけど見た目だけならモンスターに引けをとらないねこれは。オークが可愛く見えるレベル。
服は見た感じ高級そうだし、なんか装飾品がこれでもかと体にくっついてるから貴族かな。
あとなんか息切れしてるのか知らないけどブフーブフーと呼吸音が非常にうるさいです。
「おい聞こえなかったのか?」
「ああいや、人間かどうか疑ってしまって申し訳ない」
俺の言葉に貴族だけでなくクロエとイリスも驚いた顔をしている。というかイリスは必死に笑いを堪えているね。
「な、なんて無礼な! 私をヴァスフェノ・ベノプウと知っての言葉だろうな!? いやそれはまあいい。早く奴隷をよこせ」
おいおいなんだこの貴族、だいぶ温厚だな。普通こんなこと言われたらぶちきれて護衛呼びつけて俺を襲わせる流れじゃないのか? それをまあいいで流せるって相当な度量の持ち主なんじゃないか?
そうやって言い合いしていると偶然そこに王子とか来てさらに上からの圧力かけて追い返してまた何かしらのいざこざに……みたいなところまで想像したんだけど。
こんなこと言った張本人が考えるようなことじゃないとは思うけど、この見た目を見てしまったら思わず言っちゃうだろう。取りあえずここは穏便にお引き取り願おう。
「断る。お前にはその権限はないし俺はこの二人と旅に出るんだ。そもそもこの二人を奴隷扱いとはお前はまともな人間じゃない。見た目だけじゃなくな」
断固として言い張る。貴族の見た目の話じゃなく二人の扱いの方な。
「そうか、ならば力付くで奪うまでよ。こい、護衛!」
ベノプウは叫ぶが一向に仲間はやってこない。あと見た目に関してはスルーを貫いてるのか突っ込みはない。
何気に心広いんじゃなかろうか。典型的な敵役の貴族とは言いがたいぞこれ。挑発してる俺の方が小者臭ある。
「おい、ムバシェ? あれ、もしかしてわし迷子なの?」
「ていうかベノプウだっけ、どうやってここまできたの」
なんだか可愛そうになってきて嫌悪感とかどっかに行ってる。
「わしは護衛と共に来たぞ」
「……今一緒にいないじゃん」
「……そうだな。わし迷子だわ」
なんだろうこの生き物。人間じゃなく魔物とかそういう方向で見ればそんなに気にならなくなってきた。
二人を奴隷扱いしようとしてるのを見なければ、という条件付きだが。
「ああ!? ベノプウ様! こちらにいらっしゃいましたか!」
そんなこんなで問答していると護衛らしき人物がこちらに走ってきた。
護衛というわりにはだいぶ軽装のように見えるが、たぶん盗賊タイプなのだろう。足運びのせいか走ってくる動きもなんだか違和感ある。
あと腰に短剣が二本刺さっているのも盗賊らしさに拍車がかかっている。
「おお、ムバシェよく来てくれた。あの奴隷だ、連れていくぞ」
「はっ、かしこまりましたベノプウ様」
そう言うと護衛の人は俺たちの方に歩いてくる。戦闘力は不明だがタイマン勝負ならなんとかなるだろう。
二人は俺の横に立ち、一緒に戦う姿勢を見せてくれる。良いじゃないの、パーティっぽい。
覚悟を決めた俺たちの前にムバシェと呼ばれた護衛は、頭を下げた。
「申し訳無い! ベノプウ様は悪い人じゃないんだが思慮が足りない! 許してもらえないだろうか!」
見事な謝罪に俺たちは面食らった。
「付け加えて申し上げるならば攻撃せずにいてくれて感謝する! あの見た目だからな、よく魔物に間違われるのだ。装飾品の類いでなんとか人間に見えるように誤魔化しているがどうにもな……」
この人本当に護衛なのかな。ディスり凄いけど。
自分達のせいで街を追い出される形になったから当然の反応だとは思う。俺だって俺のせいで恩人が追放されたら凄く申し訳なくなるだろう。
「二人とも落ち込みすぎだって。俺ならやること出来て逆に嬉しいくらいなんだからさ」
「でも……」
「でもじゃないって。それにほら、こんな可愛い女の子を侍らせて旅に出られるなんて男冥利に尽きるってものだし」
俺がふざけた感じでも真面目に言うと二人とも少し落ち着いたのか緊張を解いた。
「キミヒト、私、力になるよ」
妹のイリスは近づいてきて俺の手を握りながら真面目にこんなことを言ってくれた。凄く嬉しい。
イリスは魔法の才能も勇者組に負けないんじゃないかと思うくらいにはあるし、戦闘面でも充分以上に力になってくれるだろう。
俺だけじゃどうしようもないときなんて多々あるだろうしダンジョン攻略では頼らせてもらおう。
「わ、私も力になってあげるわよ。助けてもらったお礼もまだしてないし……」
クロエもちょっと照れながらだが俺のことをちゃんと考えてくれていたみたいだ。
クロエの実力は今のところハッキリとはしないが、あの抗いがたい妙な気持ちになったのはクロエの力だろう。
あれ幸せな気持ちになるから定期的にやってくんないかな。めちゃくちゃ力になって欲しいわ。
幼女に愛されるって素敵だなあ。
「イリスもクロエありがとう。取りあえず必要なものをそろえちゃおうか、明日の朝には出たほうが良いだろうし。二人には休む時間なくて申し訳ないけど」
二人は気にしないでいいと言って俺の後に着いてくる。しかし、俺たちはすぐに足止めをくらうことになった。
「おいお前、そこの奴隷を返してもらおうか」
そこには丸々と太った、控えめに言って人間には見えない顔の人間のような姿をした人間服を着た人間の言葉を喋る生き物がいた。
いやまぁただの太った人なんだろうけど見た目だけならモンスターに引けをとらないねこれは。オークが可愛く見えるレベル。
服は見た感じ高級そうだし、なんか装飾品がこれでもかと体にくっついてるから貴族かな。
あとなんか息切れしてるのか知らないけどブフーブフーと呼吸音が非常にうるさいです。
「おい聞こえなかったのか?」
「ああいや、人間かどうか疑ってしまって申し訳ない」
俺の言葉に貴族だけでなくクロエとイリスも驚いた顔をしている。というかイリスは必死に笑いを堪えているね。
「な、なんて無礼な! 私をヴァスフェノ・ベノプウと知っての言葉だろうな!? いやそれはまあいい。早く奴隷をよこせ」
おいおいなんだこの貴族、だいぶ温厚だな。普通こんなこと言われたらぶちきれて護衛呼びつけて俺を襲わせる流れじゃないのか? それをまあいいで流せるって相当な度量の持ち主なんじゃないか?
そうやって言い合いしていると偶然そこに王子とか来てさらに上からの圧力かけて追い返してまた何かしらのいざこざに……みたいなところまで想像したんだけど。
こんなこと言った張本人が考えるようなことじゃないとは思うけど、この見た目を見てしまったら思わず言っちゃうだろう。取りあえずここは穏便にお引き取り願おう。
「断る。お前にはその権限はないし俺はこの二人と旅に出るんだ。そもそもこの二人を奴隷扱いとはお前はまともな人間じゃない。見た目だけじゃなくな」
断固として言い張る。貴族の見た目の話じゃなく二人の扱いの方な。
「そうか、ならば力付くで奪うまでよ。こい、護衛!」
ベノプウは叫ぶが一向に仲間はやってこない。あと見た目に関してはスルーを貫いてるのか突っ込みはない。
何気に心広いんじゃなかろうか。典型的な敵役の貴族とは言いがたいぞこれ。挑発してる俺の方が小者臭ある。
「おい、ムバシェ? あれ、もしかしてわし迷子なの?」
「ていうかベノプウだっけ、どうやってここまできたの」
なんだか可愛そうになってきて嫌悪感とかどっかに行ってる。
「わしは護衛と共に来たぞ」
「……今一緒にいないじゃん」
「……そうだな。わし迷子だわ」
なんだろうこの生き物。人間じゃなく魔物とかそういう方向で見ればそんなに気にならなくなってきた。
二人を奴隷扱いしようとしてるのを見なければ、という条件付きだが。
「ああ!? ベノプウ様! こちらにいらっしゃいましたか!」
そんなこんなで問答していると護衛らしき人物がこちらに走ってきた。
護衛というわりにはだいぶ軽装のように見えるが、たぶん盗賊タイプなのだろう。足運びのせいか走ってくる動きもなんだか違和感ある。
あと腰に短剣が二本刺さっているのも盗賊らしさに拍車がかかっている。
「おお、ムバシェよく来てくれた。あの奴隷だ、連れていくぞ」
「はっ、かしこまりましたベノプウ様」
そう言うと護衛の人は俺たちの方に歩いてくる。戦闘力は不明だがタイマン勝負ならなんとかなるだろう。
二人は俺の横に立ち、一緒に戦う姿勢を見せてくれる。良いじゃないの、パーティっぽい。
覚悟を決めた俺たちの前にムバシェと呼ばれた護衛は、頭を下げた。
「申し訳無い! ベノプウ様は悪い人じゃないんだが思慮が足りない! 許してもらえないだろうか!」
見事な謝罪に俺たちは面食らった。
「付け加えて申し上げるならば攻撃せずにいてくれて感謝する! あの見た目だからな、よく魔物に間違われるのだ。装飾品の類いでなんとか人間に見えるように誤魔化しているがどうにもな……」
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