春夏秋冬物語

むらせ

…冬…

7:30am 
雪が散らつく、寒い冬の日の朝

ふと灰空はいぞらを見上げると
ふわり、ふわりとゆれ落ちる
白い2つの小さな雪

その姿があまりにもつつましく、柔らかく
まるでクスクスと微笑みながら
戯れているようで

僕は思わず
「君たち、どこから来たの?」
そう心の中で話しかけてみた

もちろん
答えが聞こえたわけではないけれど
僕に向かって
たしかにニコッと笑ったようで

それがなんだか嬉しくて
かじかんだ手に
温かい息を吹きかける

小さな雪達は
冷たいアスファルトに消えることなく

甘いホットミルクのように
僕の心にそっと、そっと溶けていった

7:30am 
雪が散らつく、優しい冬の日の朝

コメント

コメントを書く

「エッセイ」の人気作品

書籍化作品