金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第112話 盗賊の始末

アリーセとロジェルは5人の男たちと対峙していた。

「素直に金出せばケガしなかったのにな」

リーダー格の男がニヤニヤとした笑みを浮かべながら、腰に挿した剣を構えた。
それに習うようにして、他の男たちも武器を構えた。

「そっちこそ、引き下がるなら今のうちですよ?」

アリーセが黒い微笑みを浮かべながら口にした。

「引き下がるだ? 舐めてんじゃねえぞ」

その男の言葉ろ聞いてアリーセとロジェルも腰に挿した剣に手を掛けた。

「お前ら、やれ」

男の言葉で手下どもが一斉に襲い掛かってくる。
アリーセに二人、ロジェルに二人と綺麗に別れていた。

アリーセは盗賊の剣を剣で受け流すと、間合いを取る。
そのまま、今度は一気に間合いを詰める。

常人にはそのスピードに反応すら出来ないだろう。
盗賊の鳩尾に膝蹴りをお見舞いしていた。
その盗賊の一人はその場で意識を刈り取られる。

「次はあなたです」

そう言って、アリーセはもう一人の男の喉仏の位置に剣を構えた。

「うるせぇ!」

男は思いっきり剣を振り下ろす。
アリーセはそれを軽く後ろに跳躍することによって躱す。

「遅いですよ」

その直後、アリーセは男の腹に峰で打撃を叩き込んだ。
そして、二人目の男もその場で倒れ込んだ。
再び起き上がるということは無かった。

「お嬢様、こちらも終わりました」

そう言ったロジェルの方を見ると、男二人がボコボコにされていた。
少しは手加減してやればいいのに。

「お、お前ら、何者だ!?」

リーダー格の男がオロオロとした様子で尋ねてきた。

「ただの、女と爺さんではないという事だ。クズども」

ロジェルがドスの効いた声で言い放った。
何気に、爺さんと言われたことが腹立っていたのだろう。

ロジェルはこういった時は歯止めがかからないほど口が悪くなる。

「さて、そろそろ終わらせましょうか」
「かしこまりました」

そう言うと、アリーセとロジェルは一気に間合いを詰めた。
そして、同時に男の鳩尾に拳を叩き込んだ。

「うぅぅ……」

そんな情けないうめき声と共に男は意識を失っていた。

「大した事ありませんでしたね」
「ええ、イマイチ歯ごたえというものがありませんでした」

盗賊どもとの戦闘はあっけないほど簡単に終了したのであった。

「こいつら、一応拘束しておきますわ」

アリーセは魔法で盗賊どもを拘束すると、道の端に寄せておいた。

「先を急ぎましょうか」
「左様でございますね」

アリーセたちはそのまま馬車の中へと戻って言った。
恐らく、数時間後には巡回する衛兵が連行していくことだろう。

盗賊ということは侯爵家の家紋が描かれた便箋に一筆書いて置いた。

「流石はあの侯爵が一目方々だ。納得しました」

ライナーが感心した様子で言った。

「いえ、これが仕事ですから」
「左様でございます」

そして、再び馬車がゆっくりと動き始めた。

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