金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第111話 盗賊登場

王都の城壁から外に通じる門の前に到着すると、何も言わずとも門が開かれた。
さすがは、侯爵家の家紋が描かれているだけのことはある。

馬車は、止まる事なく王都から出た。

「お嬢様、私が前方の警戒に当たります」
「では、私は後方を」

アリーセとロジェルは分担して、索敵魔法を展開する。
こうすることで、より索敵の精度を高めることが可能となる。

この辺りはまだ魔獣の生息地域には入っていない。
しかし、王都を出たら危険は付いて回る。
それこそ、盗賊などは侯爵家の家紋を見たら飛びついてくるだろう。

上級貴族の家紋は便利な点もあれば、逆に不利に働く点もあるということだ。
だからこそ、信用できて実力もある護衛を雇わねばならないのだ。

「この辺りから揺れが少し強くなります」

御者台の方からエーリヒの声が飛んできた。
王都を出発してから数十分が経過しようとしていた。
どうやら、舗装が甘い道に入ったらしい。

それでも最小限の揺れに留めるエーリヒの技術はさすがと言わざるを得ない。

「お嬢様、前方300メートルほど先に複数の魔物とは違う生体反応があります」
「それは、盗賊の類かもしれませんわね。エーリヒさん馬車の速度を落としてください」

アリーセが馬車の速度を落とすように指示した。

「かしこまりました」

アリーセの指示により、馬車の速度が緩やかに落ちて言った。

「ライナーさんはこのまま馬車の中に。私が馬車から降ります。ロジェルはこのまま護衛を」
「かしこまりました」
「わかりました」

そう、指示を出すとアリーセは馬車から飛び降りた。
そなまま、アリーセは馬車の前方に回った。

索敵魔法には確かに複数の反応が存在した。

複数の反応が残り20メートルほどに近づいてきた時、その姿を現した。

「おっと、お嬢ちゃん無事に通りたければ金目の物を全部置いていきな」

前方に5人の盗賊団と思われる男たちが現れた。
そして、その男たちは侯爵家の家紋を見て目の色を変えた。

「兄貴、この馬車は侯爵家のものですぜ。流石にまずいんじゃ」
「ビビってんじゃんねぇ。侯爵家なら金持ってんだろ。ちょうどいいじゃないか」

どうやら、侯爵家の馬車と知っての行動らしい。

「嫌だと言いましたら?」

アリーセがわずかに口角を上げながら尋ねた。

「もちろん力ずくで行かせてもらうぜ。お嬢ちゃんは護衛の冒険者か?」
「ええ、まあ私だけではありませんが」

アリーセがそう言った時、馬車の中から燕尾服姿のロジェルが姿を現した。

「侯爵家の護衛が二人か? それも若い女に爺さんとは侯爵家もそんなもんか!!」

盗賊団のリーダー格の男は豪快に笑いながら言った。

「ロジェル、私たち笑われているみたいですね」
「ええ、少々痛い目にあって頂きましょう」

ロジェルの瞳には怒りの灯が灯っていた。

「うちのお嬢様を愚弄してただでは返しません」

いや、怒るところはそこなのかよ。
自分が護衛の身であることを忘れているのではないだろうか。

「では、久々にやりましょう」
「承知しました」

アリーセとロジェルは戦闘態勢に入った。

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