金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第96話 間引き終了と報告へ

そこから、アリーセとロジェルは出会った魔獣を片っ端から片付けて行った。
どこまで行っても魔獣は魔獣。
アリーセたちの敵では無かった。

気付けば、空は茜色に染まりつつあった。
数としては20体、30体は余裕で討伐したと思う。
その都度、アリーセはマジックバッグに魔獣の核を放り込んでいった。

「そろそろ、戻りましょう。日が暮れますわ」

アリーセは、戦闘を終えたロジェルに向かって言った。
これだけ倒せばもう、間引きとしては十分ではなかろうか。

「左様でございますね」

ロジェルの方もそれなりに魔獣の核を集めたようである。

アリーセたちは森を抜けるべく、歩みを進めた。
森を抜けると、そのまま王都の城壁の中に入る門を目指す。

「お疲れ様でございます!」

行きに対応してくれた時と同じ門番が、アリーセとロジェルの姿を見て敬礼した。

「お疲れ様です」

「お疲れ様でございます」

軽く、門番と挨拶を交わすと、2人は城壁の中に入った。

「ギルドへの報告は明日にしましょうか」

アリーセは、3歩後ろを歩くロジェルに向かって言った。
もう、ギルドの受付時間は過ぎているはずである。
この時間に行っても、あのギルマスの事だから、残業しているだろうが、邪魔するのも気が引けた。

「そう致しましょう」

2人は、屋敷の方に向かっていた。
王都の城壁内に入って数十分歩くと、屋敷に到着する。

「戻りましたわ」

「ただいま戻りました」

アリーセたちは屋敷の玄関を開けた。

「おかえりなさいませ」

「あ、お姉ちゃんおかえりなさい」

セシールとマリーナが出迎えてくれた。
キッチンの方からは何やらいい匂いが漂ってきていた。
これは、今日の夕食にも期待出来そうだ。





翌朝、アリーセとロジェルは朝食を済ませると屋敷を出た。
ギルドに依頼の完了報告をする為である。

「ギルマスにお会い出来ますか?」

アリーセは1番空いていた受付の列に並んで、順番が回ってくると受付嬢に言った。

漆黒に染まったギルドカードを提示すると、受付嬢はすぐに案内するという事ねだった。

階段を登り、ギルドマスター執務室の前まで来ると、ノックする。

「アリーセ様とロジェル様をお連れしました」

「入ってくれー」

受付嬢の言葉が放たれたすぐ後に、ギルマスの声が帰ってきた。

「失礼しますわ」

「失礼致します」

アリーセとロジェルはギルマスの執務室の中に入った。
相変わらずの書類が積み上がった机で、ギルマスが必死にサインをしてる。

ギルドマスターってのも大変な仕事だ。
にしても、あの量の書類をちゃんと読んでいるのだろうか。

「そこに、座っててくれ。ここだけ書かせて欲しい」

ギルマスがソファーに座るように促した。
アリーセはソファーに腰を下ろした。
しかし、ロジェルは座ろうとしない。

「ロジェルも座ってはいかが?」

「いえ、お嬢様のお隣に座る事は」

ロジェルは何やら遠慮している。

「今日は、1人の冒険者としてですわ。気にせず座ってください」

アリーセがそう促すと、ロジェルもソファーに座った。

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