金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第83話 妹からの手紙

侯爵家から戻ると、アリーセは早々に就寝することにした。
久しぶりに自分のベッドで寝ることができる。
やはり、慣れているベッドが一番寝やすいというものである。
いつもの冒険者の装いからパジャマへと着替えると、アリーセはベッドに横になった。
そして、目を閉じるとやがて意識を手放した。





翌朝、窓から差し込む光で目を冷ました。
最近、朝はめっきり冷え込んできた。

「寒いですわね」

アリーセはカーディガンを羽織ると部屋を出てリビングへと向かった。
昨日は早めに寝た為、目覚めはスッキリとしたものであった。

「おはようございます。お早いですね」

セシールがリビングに入ると、掃除の手を止めて言った。

「お食事できてますよ。食べますか?」
「いただきますわ」

そう言うと、アリーセはテーブルについた。
テーブルの上に並んだ朝食を食べ始める。
アリーセは数十分かけて朝食を済ませた。

「お嬢様、お手紙が届いておりました」

朝食を済ませたアリーセに、ロジェルが書簡を手にやって来た。

「ありがとうございますわ」

アリーセはロジェルから書簡を受け取った。
その封蝋の紋章にはどこかで見覚えがあった。
そんなことを想いながら、アリーセは封筒を綺麗に開けた。

「これは」

その書簡の差出人はアリーセの妹の名前だった。
迷宮都市に行く前に出した妹への手紙が返って来たのである。

そこには、妹の近況などが書かれていた。
そして、可能であるなら移住したいという旨の内容が書かれていた。

どうやら、親戚は亡くなり一人で暮らしているらしい。
ミューレン王国では税の重さや、治安の悪さに苦労させられているらしい。

「王宮に行ってきすわ」

その手紙を読み終わると、アリーセはロジェルに言った。
陛下に話を通したいと思ったのだ。
直接行った方が話も早いだろう。

アリーセは着替える為に一度部屋に戻った。
いつもの冒険者スタイルに着替えると、屋敷を後にした。

そこから、歩いて王宮まで向かう。
数分歩くと、王宮の前に到着する。
流石は王宮だ。
警備のレベルが一段と厳しくなっていた。

「国王陛下にお会いしたいのですが」

アリーセは警備の騎士に、漆黒に染まったギルドカードと、侯爵家の家紋のカードを提示した。
それを見ると、騎士の表情が変わった。

「す、すぐに確認して参ります」

勢いよく敬礼をすると、持ち場を交代してその場を離れた。
そして、待つこと数分経った頃、その騎士が戻ってきた。

「国王陛下がお会いになるとおっしゃっています。ご案内します」

アリーセは騎士によって、王宮の中に案内される。
本来は、きちんとした手続きをした上で謁見の許可が下りるのだが、アリーセの場合は例外だろう。

「こちらでお待ちください」

王宮の従者により、応接間に通された。
アリーセはソファーに座って国王陛下を待った。


          

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