金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第84話 妹を呼び寄せよう

相変わらず、王宮の応接間というのは何か緊張するものだ。
見るからに高そうな調度品が並べられている。
とりあえず、ソファーに腰を下ろすと、陛下が来るのを待つ。

数分ほど待った所で、応接間の扉が開かれた。

「お待たせしてしまったね」

そう言って、陛下が応接間に入ってきた。
そのタイミングでアリーセはソファーから立ち上がった。

「いえ、こちらこそ急に申し訳ありません」
「構わんよ。君はうちの国の重要な人間だ。いくらでも時間を割こうじゃないか」

陛下は、アリーセの対面のソファーに腰を下ろした。
そして、アリーセにも座るように手で促してくれた。

「失礼しますわ」

アリーセはソファーに腰をおろした。
自分の前と陛下の前にはカップに入った紅茶が置かれていた。

「それで、君がわざわざ一人で訪ねて来るとは珍しいな」

陛下は紅茶に口をつけるとそう言った。
確かに、ここに一人で来るのは初めてかも知れない。
今までは侯爵が一緒に居てくれた。

「はい。以前、陛下がおっしゃってくれた、家族を呼んでもいいとのことで参りました」
「ほう、その件だったか。何か進展があったのか?」

陛下は柔らかい口調でアリーセに尋ねて来る。
こうして聞いていると、一国の王と話しているという自覚がなくなりそうである。

「妹から手紙の返事がありました。これがその手紙です」

アリーセはコートの内ポケットから妹から送られてきた手紙を開いて、陛下に見せた。
陛下は、その手紙に一通り目を通していく。

「なるほどな。分かった。妹さんに迎えの者を送ろう」

陛下がそう言った。
そして、読み終わった手紙をアリーセに返してくれた。

「よろしいんですか?」

陛下がまさかそこまでしてくれるとは思って居なかったので、アリーセは驚いた。

「他でもない、君の妹さんだ。そのくらいは当然だ」

陛下からは、手紙に書かれている住所に王宮から使いの者を出すということだった。
アリーセからは手紙でその旨を伝えて欲しいと言われた。

「ありがとうございます。よろしくお願いしますわ」

そこから、アリーセは迷宮都市でのことや軽い近況報告、世間話程度のことを話すと、王宮を後にする。
王宮を出ると、辺りは夕暮れになっていた。
陛下は喋り足りないのか、話し出すと長いのだ。
今日も捕まっていて、この時間になって開放された。
悪い人ではないし、いい国王なのだが、めちゃくちゃ話が長いのがたまに傷だ。

王宮から歩いて自分の屋敷へと戻る。

「戻りましたわ」

屋敷の玄関を開けて中に入る。

「おかえりなさいませ。遅かったですね」

ロジェルが出迎えてくれた。

「陛下の長話に捕まっておりましたわ」

アリーセは苦笑い混じりに言った。

「確かに、あの方は一度話し出すと長いですからね」

ロジェルは陛下の話の長さを知っているような口ぶりだった。
この男、まだ底が知れないといったところだろうか。

アリーセは、自室に戻ると妹へ手紙を書くために筆を取るのであった。

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