金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第79話 王都に帰ろう

翌日、アリーセが起きると、エーリヒが下に迎えに来てくれていた。
アリーセは自分の準備を済ませてしまうと、いつのもロングコートを羽織り、部屋を出た。

「おはようございます。アリーセ様」
「おはようございますわ。今日もよろしくお願いしますわ」

帰りもエーリヒが馬車の御者を務めてくれると聞いていた。
エーリヒの御者としての腕があれば、明日には王都に戻ることが可能であろう。
長いようで短い迷宮都市生活とも今日でしばらくはさようならという訳だ。

ちなみに、アリーセが調査した迷宮は、今朝の段階で正式にS級指定の迷宮として認定されたようであった。
まあ、普通の冒険者なら手も出せないような迷宮だった為、それも当然といえるかもしれないが。

「では、帰りましょう」
「かしこまりました。こちらにどうぞ」

宿屋の前には、侯爵家の家紋が入った馬車が停車していた。
エーリヒの手を借りて馬車へと乗りこむ。
相変わらず、侯爵が手配しただけはあって、快適な馬車である。

「では、出発致します」

エーリヒの言葉で、馬車がゆっくりと進み出す。
そして、そのまま馬車は迷宮都市の中心街を抜け、貴族用の門から都市の外へと出る。
そこからしばらくは、舗装された道が続いていく。
馬車の揺れに身を任せていると、瞼が重くなってくる感覚がした。

「アリーセ様、次の街まではまだ時間がかかりますのでお休みになって頂いて構いませんよ」

そんなアリーセの心情を察してか、エーリヒが声を掛けてくれた。
こういう、細かい所に気づく辺り、流石といえるだろう。

「では、お言葉に甘えて」

アリーセはその場で目を閉じると、意識を手放した。
この絶妙な揺れが気持ちよく睡魔を煽ってくるのだ。

そこから、馬車は泊ることなく進んで行った。
侯爵家の家紋が入っていることから、基本的には止められることは無い。
まあ、目立つは目立つのだが。

「だいぶ、寝てしまったようですわね」

体感的には3時間ほど寝た感じだ。
その間も馬車が止まっていないとすると、エーリヒは流石である。
馬車の御者というのは意外と神経を使うのだ。
現代で言えば、車の運転と言ったら伝わるだろうか。
あれも、長時間だとかなり神経を使うものである。
まあ、違いはあれども神経を使うのには違いない。

「アリーセ様、ここから馬車の揺れが大きくなるかと思いますので、ご注意下さい」
「分かりましたわ」

どうやら、舗装されていない道に入ったらしい。
大きな都市から外れると、こういった舗装されていない道も増えてくる。
国や街も、そこまで手が回らないのだろう。

そこから、揺れは自体は大きくなったが、そこまでの不快感は感じなかった。
これも、エーリヒの御者としての腕なのだろうか。

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