金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第68話 フロア守護者戦

今、アリーセはフロア守護者と対峙していた。
鋭いくちばしからは青白い炎が放出されている。
流石は高ランク指定の守護者だ。
5階層でこのレベルだと、この先が思いやられる。

「ふっ」

アリーセは後ろに跳躍することで、その炎を綺麗に躱す。

「これは、厄介ですね」

どの世界でも、空を飛ぶ敵というものは厄介なのである。
こっちは、せいぜい跳躍する程度。
ずっと宙に浮いている敵を相手にするのは、いくら高ランクな冒険者でも少しは苦労するものである。
アリーセは、剣を抜きつつ、守護者と程よい距離を保っていた。

「さて、大体分かりました」

アリーセは、守護者の攻撃パターンを大体把握していった。
この守護者は、空を飛べること以外を除いたら、攻撃自体は大したことは無い。
ということは、つまり……

「飛べなくして差し上げますわ」

アリーセは、ニヤリと口角を上げた。
自分の前に魔法で展開した防御壁を作ると、そのまま守護者の攻撃お構いなしに、突っ込んでいった。
守護者との間合いが一気に縮まった所で、剣を振るう。

『グオォォォォ』

フロア守護者が咆哮しながらも、地面に叩き落とされた。
それもそのはず、アリーセは一瞬で守護者の羽を片方切り落としていたのだ。

「では、もう片方も切り落として差し上げましょう」

再び、黒い微笑みを浮かべると、アリーセとフロア守護者の間合いは縮まった。
そして、縮まったと思った時には既に遅い。
アリーセの剣によって、完全にもう片方の羽も切り落とされていた。

「もう、飛べませんわね」

アリーセの口角はわずかに上がっていた。
飛べることだけが武器のフロア守護者が地面に叩き落とされたのだ。
正直言ってみるも無残な姿である。

「さて、とどめと行きましょうか」

羽を失ってなお、炎を吐き続けるフロア守護者に向かって言った。
まあ、人間の言葉は通じないだろうが。
そこからというもの、本当に一瞬だった。
恐らく、常人では目に止めることすらできないだろう。

アリーセの剣が守護者の喉元に突き刺さった。
そして、守護者はその場で倒れ、次に起き上がることは無かった。
絶命したのである。

「さて、核だけでも回収しておきましょうかね」

これだけのフロア守護者の核である。
きっと高値で売り飛ばすことが出来るであろう。
アリーセは、器用に核を取り出すと、マジックバッグの中に仕舞った。

「さて、次の階層に行きましょうか」

そう言うと、アリーセは階段を降りると、次の6階層に降り立った。
幸い、マジックバッグの容量はまだかなり残っているし、食料もまだ十分にある。
今日の内に行ける所までは進んでおきたい。
恐らく、これはアリーセだからこんなにサクサク進んでいるのであって、本来はこんなに早くは進めない物なのだ。
ギルマスはこのアリーセの規格外の強さ承知で、この調査に送り込んだのである。

          

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