金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第64話 迷宮都市ギルド支部

朝食を済ませたアリーセは、エーリヒの案内により、迷宮都市ギルド支部へと向かっていた。

「アリーセ様、こちらでございます」
「ありがとう」

そう言って、エーリヒは迷宮都市ギルド支部を手で指した。

「では、私はこちらで失礼致します」
「助かりましたわ」

ここからはアリーセ一人になる。
エーリヒはその場を後にした。

「ご用件をお伺いいたします」

アリーセは、一番空いていた受付の列に並んでいた。
割とスムーズに進み、すぐにアリーセに番が回ってきた。

「ギルド支部長にお会いしたいんですわ」

そう言うと、王都ギルドマスターからの紹介状を提示した。

「か、かしこまりました。少々お待ち下さい」

受付のお姉さんはそそくさと奥へ引っ込んでいった。

「お待たせしました。ご案内します」

そう言うと、離席中の札を受付に立て、立ち上がった。
階段を上がり、支部長室と書かれた部屋の前まで案内された。

「ギルドマスターからの紹介の肩をお連れしました」

お姉さんがノックと共に言った。

「通してくれ」

中から、渋い声が飛んできた。

「失礼します」

お姉さんが扉を開け、中に入るように促してくれた。

「どうぞ、座ってください」

支部長がソファーに座るように促してくれる。
渋い声のわりに年齢は比較的若めだ。
まあ、若いと言っても40代と言った所だろうが。

「失礼しますわ」
「いやぁ、遠いところからわざわざお越しいただいてありがとうございます」

そう言って、支部長は対面のソファーに腰を下ろした。

「これが、ギルドマスターからの紹介状です」

アリーセは、懐から紹介状を取り出すと、支部長の前に置いた。

「確かに、確認致しました。私がこの、迷宮都市ギルド支部の支部長を務めるクラウスと申します」

クラウスは眼鏡の位置を直しながら言った。

「アリーセ・ベートですわ」

アリーセはクラウスと握手を交わした。

「いやぁ、助かります。ギルマスには手練れの冒険者をと言ったのですが、まさかSランク認定の方が来てくれるとは、こちらが詳しい資料になります」

そう言って、クラウスが一枚の紙をアリーセの前に置いた。

「拝見します」

アリーセはその資料に一通り目を通して行く。

「分かりました。行ける所まで潜って調査すればいいんですね?」
「そうして頂けると助かります。今、通行証をお渡ししますから」

新しい迷宮に立ち入るには、ここのギルド支部長の調査依頼書と通行証が必要になる決まりなのだ。

「こちらが、調査依頼書と通行証になります」

そう言って、二枚の紙を渡してきてくれた。

「確かに、受け取りましたわ。では、明日には調査に乗り出しますので」
「よろしくお願いいたします。それと、お一人で行かれるおつもりですか?」
「ええ、そのつもりです」

アリーセはそれなりに実力はあるし、万が一道に迷った時や窮地に陥った時はギルドからの救助もあるはずだ。
まあ、そうならないことが理想である為、複数人で潜ることが推奨されているのだが。

「ギルマスからの紹介ですし、Sランク認定の方なのでいらぬ心配かもしれませんが、お気を付けて」
「ありがとうございますわ」

アリーセは、調査依頼書と通行証を懐に仕舞うと、迷宮都市ギルド支部を後にするのであった。

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