金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~
第61話 キムゼの領主様
物腰柔らかそうなお爺さんはアリーセの対面に座った。
「どうぞ、座ってください。今、お茶を用意させますから」
「失礼いたします」
お爺さんに促され、アリーセは腰を下ろした。
そのタイミングで、紅茶が二人の前に置かれた。
「改めて、このキムゼの街を預かっています、ヴォルフと申します。国王陛下より、伯爵位を頂戴しております」
ヴォルフと名乗ると、優しい表情を浮かべた。
「アリーセ・ベートと申します」
アリーセも頭を下げた。
「ええ、存じております。認定式ぶりですね。ディオン侯爵が随分と目をかけてるとか」
「認定式、いらっしゃってくれていたんですね」
「はい、私は王都にも比較的近いですし、この国で3人目にして初の女性Sランク冒険者をこの目で見ておきたいと思いましてね」
そう言えば、伯爵は代役を立てていなかったと聞いていた。
「ありがとうございますわ」
「侯爵が目をかけるのも分かる気がしますね」
そこまで言うとヴォルフ伯爵は含むように笑った。
「それは、どういう?」
「アリーセさん、君は底が見えない。私も長いこと生きていますがこれは初めてです」
亀の甲より年の劫というやつなのだろう。
「秘策は最後までとっておけ、もし使うなら更に奥の手を用意しろと言われておりましたから」
「ほう、面白い事を言う」
ヴォルフは優しく笑った。
アリーセからしたら、この爺さんこそ底が全く見えない。
表情から何を考えているかが、全く読めないのだ。
こんなことは初めてである。
「ところで、アリーセさんは今日の宿はお決まりで?」
紅茶を一口啜ると、ヴォルフが尋ねてきた。
「いえ、まだ決まってはいませんが」
エーリヒがこれから宿の手配をしてくれる予定だったので、まだ今日の宿は決まっていなかった。
「なら、うちに泊まっていっけばいい。どうせ部屋は腐るほどあるんだ。使用人さん共々歓迎しようじゃないか」
「よろしいんですか?」
「ああ、食事は大勢のほうが楽しいからな」
ヴォルフさんの息子さんは独り立ちし、娘さんは嫁いで、奥さんには先立たれたらしい。
いつも、一人で食事をするのは物寂しいとのことだった。
「そういう事でしたらお言葉に甘えさせていただきますわ」
「ありがとう。今日は久々に美味い酒が飲めそうだ」
これは、お酒にも付き合わないといけない流れかな?
「アリーセ様、私は馬車を動かして参ります」
「分かりましたわ」
そう言うと、エーリヒは庭の方に歩いて行った。
「ところで、アリーセさんは何故迷宮都市に? もうレベル上げという必要もないでしょう」
ヴォルフが不思議に思ったのか尋ねてきた。
「それは、調査のために行くのですわ」
「なるほど、最近、新しい迷宮が見つかったと言っていましたね」
「伯爵のお耳にも入っていましたか」
「ええ、ここはちょうど迷宮都市への通り道ですからね」
王都から迷宮都市へ行くルートの最短はこの街を通過する必要がある。
そこから、しばらくは世間話に花を咲かせるのであった。
「どうぞ、座ってください。今、お茶を用意させますから」
「失礼いたします」
お爺さんに促され、アリーセは腰を下ろした。
そのタイミングで、紅茶が二人の前に置かれた。
「改めて、このキムゼの街を預かっています、ヴォルフと申します。国王陛下より、伯爵位を頂戴しております」
ヴォルフと名乗ると、優しい表情を浮かべた。
「アリーセ・ベートと申します」
アリーセも頭を下げた。
「ええ、存じております。認定式ぶりですね。ディオン侯爵が随分と目をかけてるとか」
「認定式、いらっしゃってくれていたんですね」
「はい、私は王都にも比較的近いですし、この国で3人目にして初の女性Sランク冒険者をこの目で見ておきたいと思いましてね」
そう言えば、伯爵は代役を立てていなかったと聞いていた。
「ありがとうございますわ」
「侯爵が目をかけるのも分かる気がしますね」
そこまで言うとヴォルフ伯爵は含むように笑った。
「それは、どういう?」
「アリーセさん、君は底が見えない。私も長いこと生きていますがこれは初めてです」
亀の甲より年の劫というやつなのだろう。
「秘策は最後までとっておけ、もし使うなら更に奥の手を用意しろと言われておりましたから」
「ほう、面白い事を言う」
ヴォルフは優しく笑った。
アリーセからしたら、この爺さんこそ底が全く見えない。
表情から何を考えているかが、全く読めないのだ。
こんなことは初めてである。
「ところで、アリーセさんは今日の宿はお決まりで?」
紅茶を一口啜ると、ヴォルフが尋ねてきた。
「いえ、まだ決まってはいませんが」
エーリヒがこれから宿の手配をしてくれる予定だったので、まだ今日の宿は決まっていなかった。
「なら、うちに泊まっていっけばいい。どうせ部屋は腐るほどあるんだ。使用人さん共々歓迎しようじゃないか」
「よろしいんですか?」
「ああ、食事は大勢のほうが楽しいからな」
ヴォルフさんの息子さんは独り立ちし、娘さんは嫁いで、奥さんには先立たれたらしい。
いつも、一人で食事をするのは物寂しいとのことだった。
「そういう事でしたらお言葉に甘えさせていただきますわ」
「ありがとう。今日は久々に美味い酒が飲めそうだ」
これは、お酒にも付き合わないといけない流れかな?
「アリーセ様、私は馬車を動かして参ります」
「分かりましたわ」
そう言うと、エーリヒは庭の方に歩いて行った。
「ところで、アリーセさんは何故迷宮都市に? もうレベル上げという必要もないでしょう」
ヴォルフが不思議に思ったのか尋ねてきた。
「それは、調査のために行くのですわ」
「なるほど、最近、新しい迷宮が見つかったと言っていましたね」
「伯爵のお耳にも入っていましたか」
「ええ、ここはちょうど迷宮都市への通り道ですからね」
王都から迷宮都市へ行くルートの最短はこの街を通過する必要がある。
そこから、しばらくは世間話に花を咲かせるのであった。
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