金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第58話 迷宮都市へ行くために

アリーセは、屋敷に戻ると迷宮都市へと行く事をロジェルに話した。

「ほう、迷宮都市ですか。懐かしいですね」

ロジェルが目を細めて、昔を懐かしむ様な表情を浮かべていた。

「そうでしたわね」

ロジェルは、30歳になるころまでは、かなり高ランクの冒険者だったのだ。
迷宮都市で、迷宮攻略にも出向いていたのだろう。

「しばらく、王都から離れることになると思いますわ。その間の屋敷の管理をお願いしたいのですが」
「もちろんでございます。お嬢様が居ない間も、我々がお屋敷をお守り致します」

ロジェルもセシールも優秀な使用人である。
任せておけば、まず問題はないであろう。
アリーセも安心して迷宮都市へと赴けるというものだ。

「3日後には出発する予定ですわ」
「かしこまりました」

ロジェルは、綺麗に一礼した。
その日は、夕食を済ませると、早々に眠りに就くのであった。



「朝、ですわね」

翌朝、窓から差し込む日差しで目を覚ました。

「さてっと」

アリーセは、いつものコートに袖を通した。
今日は、侯爵の元を訪ねる予定である。
少しの間ではあるが、王都を離れることになるのだ。
一応、報告しておくべきであろう。

「行ってきますわ」
「いってらっしゃいませ。お気をつけて」

朝食を済ませたアリーセは、ロジェルたちに見送られ、屋敷を後にする。
歩いて数分の所にある侯爵家を目指す。

「ごきげんよう」

アリーセは、顔見知りの警備兵に声をかけると、侯爵家の中に入る。
そこから、従者の人が応接間に案内してくれる。

「こちらで少々お待ち下さい」
「分かりましたわ」

そこで、侯爵が来るのを待つ。
相変わらずの豪華な調度品が並んでいる。
前より増えたのではないだろうか。

「待たせてすまんな」

応接間の扉が開き、侯爵が入ってきた。

「いえ、こちらこそ。お時間いただいて」
「いや、構わんさ」

そう言うと、侯爵はアリーセの対面に座った。

「それで、今日は一体どんな用件かね?」
「実は、ギルマスから頼まれごとをしまして」

そう言うと、アリーセは懐からギルマスからもらった資料を取り出した。

「ほう、迷宮調査か。また、面倒な事を押し付けられたな」
「ええ、でも報酬もいいですし、ギルマスの直々の頼みですから」

アリーセは苦笑いをしながら言った。

「それで、王都を少し離れることになりそうなので一応、侯爵にもご報告をと思いまして」
「わざわざありがとう。それで、迷宮都市まではどうやって行くつもりだ?」

侯爵が尋ねてきた。

「馬車が通っていますのでそれで行こうかと」

迷宮都市までは冒険者たちが行ったり来たりするので、国が運営する馬車が通っていた。
料金も格安なので、冒険者たちはそれをよく利用するのだ。

「なら、うちで馬車を用意させよう。そっちの方が快適だろう」

侯爵が言った。

「え、よろしいんですか?」

これは予想外の申し出だった。

「構わん。出発はいつだね?」
「明日を予定してますわ」
「では、明日の朝には屋敷の方に馬車を手配しておくぞ」
「ありがとうございますわ」

そこから、少し侯爵と世間話を交わすと、アリーセは侯爵家を後にした。

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