金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第51話 新人冒険者研修(実践編)

皆で親睦会をした日の翌日、朝からAグループは集まっていた。
昨日、遅くまで騒いでいたのに元気なもんだ。
若いってのは素晴らしいな。
これを口に出すと、ロジェルには怒られそうだが。

「おはようございます皆さん」
「おはようですわ」

集合場所のギルド前に一足遅れたアリーセとロジェルが声を掛けた。

「あ、先生おはようございます」

ミサがいち早く反応する。

「今日は、森に魔物の討伐に行きましょう。実践です」

アリーセが言った。

「大丈夫かな……?」
「私たち、まだ討伐クエストはやったことないもんね」

女子たちは少し不安そうな目をしていた。

「そんなに、不安にならなくても大丈夫ですよ。万が一の時は私たちが助けますから」

ロジェルが優しい声で言った。

「それなら、大丈夫かも……」
「だね」

それを聞いて、少し安心したような表情に変わった。

「では、早速行きましょう」

アリーセを先頭に、東の森へと向かう。
クエストは、この新人冒険者研修のために出されたものを一枚ギルマスから、もらってきた。
ゴブリンを12体討伐。
初めての討伐クエストとしては、少々重たいかもしれないが、アリーセたちの目があれば心配は無用だろう。

そこから、数十分歩くと東の森に到着する。

「おぉ、ここが東の森か」

ギートが森を見上げるような形で言った。

「気をつけてくださいね。クエスト以外の魔物も生息しておりますので」

ロジェルが忠告を入れる。

「はい、なんだか緊張しますね……」

ミサが、弓をギュッと握り締めて言った。
初めての討伐クエスト、緊張しない方がおかしい。

「さあ、気を引き締めていきますよ」

アリーセを先頭に森の中を進んでいく。

「さあ、この辺ですわね」

アリーセは、森の中の少し開けた所まで出ると、立ち止まった。

「先生、ここに居るんですか」

アメリが声を上げた。

「ええ、確かゴブリンはこの辺りのはずです」

魔物には、それぞれ縄張りというものが存在し、そこから出ることは少ない。
この森は比較的低レベルの魔物は揃っている為、大体の縄張りを把握してしまっていた。

「流石でございます」

ロジェルは一瞬、驚いたような表情をしていた。

「私も長いこと、この地に住んでいましたが、魔物の生息域までは把握しておりませんでした」
「覚えちゃえば楽ですからね」

アリーセはいとも簡単そうに言うが、常人には難しいことである。

「そろそろ来ますわね」

アリーセはスキルに、人間ではない魔力生命体が接近しているのを感じ取った。

「いよいよ、本番ですわよ」

アリーセのその言葉にそれぞれが武器を構える。
アリーセとロジェルは、いつでも助けに入れるくらいの距離を保ち、生徒たちを見守るのであった。



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