金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第48話 親睦会Ⅰ

その日の研修内容は終わり、解散する流れとなった。

「アリーセ先生たちはこれから何か予定とかあるんですか?」

ミサが聞いてきた。

「私たちは特にありませんわ。屋敷に戻ろうかと話していた所ですから」

特にギルドに残る用事も無い為、長居は無用だ。

「でしたら、先生方もどうですか? 親睦会!」
「親睦会、ですか?」
「ええ、皆んなの事をもっとよく知ろうという事で、食事に行こうって話になったんです!」

確かに、このチームのメンバーの事をよく知り、連携を取る材料にするのはいい事だ。
事実、このチームのメンバーがそのまま冒険者パーティとして登録する事もよくあるみたいだ。
アリーセはソロの冒険者なので、その辺は疎いのだが。

「ロジェルはどうですか?」
「私は、お嬢様が行くとおっしゃるのであれば、出席させて頂きます」
「分かりましたわ。皆んなで行きましょう」

別に、教官と生徒が食事を共にしてはいけないなんて、ルールはこの研修には無いのだ。
どこからも文句は言われまい。

「「「やったー!!」」」

生徒の面々を喜んでいた。

「お店は決まっているんですか?」

ロジェルが生徒たちに尋ねた。

「いえ。私たち、まだ王都には不慣れで、お店もよく知らないものですから」

ミサが少し目を伏せて言った。

「そういう事でしたら、いい店を知っていますので、そこへ行きましょう」

ロジェルがそう言って微笑みを浮かべた。
ロジェルが紹介する店だ。
きっと外れは無いであろう。

「いいんですか! ありがとうございます!」

生徒たちは目を輝かせていた。

「ええ、少し歩きますが構いませんか?」
「私たちは大丈夫です」

ミサたち、Aチームの面々は意気込んでいた。
いや、そんなに意気込む程のことでは無いであろうに。

「では、参りましょう」

ロジェルの案内で、店へと向かう。
ギルド本部から数分歩いただろうか。
ロジェルが立ち止まった。

「ここでございます」

そこは、個人営業の居酒屋であった。

「一応、居酒屋ではございますが、ご飯は美味しいですし、お酒以外も置いていますので」

ロジェルの知り合いがやっているという、そのお店に入った。
中は、半個室になっているようである。

「七人ですがよろしいですか?」
「はい、大丈夫ですよ。こちらへ」

アリーセたちは、広めのテーブル席へと通された。

「では、料理は適当に注文してしまいましょう。食べたい物や飲みたいものがあったら遠慮なく言ってください」

ロジェルが優しい声で言った。

「私たちはお茶で。俺たちはオレンジジュースで」

生徒たちはまだお酒は飲まないようであった。
この世界の成人は18なので、まだ成人していないのだろう。

「お嬢様はどうなさいますか?」
「私は果実酒にしますわ。ロジェルも今日は飲んでいいですわよ」
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えまして」

ロジェルはそう言うと、自分はエールを注文していた。
どうやら、普通に飲むようである。

一通りの注文が終わると、料理が運ばれてくるのを待った。

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