金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第45話 模擬戦(アリーセ編)

模擬戦の会場に、アリーセとギート、イザークチームが対峙していた。
その間には秋の涼しさを感じる風が吹抜けていた。

「行くぜ!」

ギートが何も考えずに、剣を構えて突っ込んで来る。

「あらまぁ」

それを半歩移動するだけで、あっさりと躱す。
そのまま後ろから、攻撃を仕掛けてきたので、ギートの腕を掴んで、剣の矛先を変えて受け流した。

「終わりですか?」

アリーセは余裕の笑を浮かべている。

「まだまだ! イザーク、援護を頼む!」
「わ、分かった!」

今度は連携して攻撃を仕掛けて来るらしい。
まぁ、悪くない選択である。
自分と明らかに実力差がある相手に対し、どういう選択をとるかの判断が、今の彼らには必要であろう。

「炎よ来たれ」

イザークが詠唱を始めた。
しかし、悪いがそれでは遅すぎる。

「ファイアートルネード!」

アリーセは空気防壁を展開していた。
炎の渦がこちらに向かって来るのと同時に、ギートが剣を構えて突っ込んで来る。

「巻き込まれますわよ」

アリーセが展開した空気防壁にイザークの展開した魔法がぶち当たるが、防壁に守られたアリーセは傷どころか、汚れてすらもいない。

「そんな、僕の渾身の魔法が……」

イザークは肩を落としていた。
爆破の衝撃を受けたギートは数メートル後ろに飛ばされていた。

「終わりにしますか?」

再びアリーセは2人に問う。
ちなみに、アリーセは最初の位置からほとんど動いていなかった。

「まだ、やれます!」

ギートは剣を杖にして立ち上がる。
イザークも魔法の詠唱を始めていた。
2人とも、中々根性はあるようだった。

「光よ来たれ、我が願うは光の槍。ライトニングスピア!」

イザークの詠唱が終わると、光の槍がアリーセに向かって飛んでくる。


「中々、ですわね」

アリーセの顔面に向かって飛ばされた魔法の槍を、人差し指と中指の間にはさんで受け止めていた。

「ま、魔法を素手で!?」

これには、さすがの2人も驚きを隠せない様子だった。
アリーセはその槍を自分の後ろへぶん投げるれ。
後ろで爆破を起こしたが、アリーセは結界を張って、爆風を逃れていた。

「も、もう無理です……」
「俺もダメだ……」

数分後、2人は肩で息をしていた。

「では、これまでという事で」

そう言ったアリーセは、最初から最後まで、ほとんど移動せずに戦っていた。

「何もこれであなた方の自信を無くそうってわけじゃありませんわ。これであなた方の弱点はだいたい分かりましたから」

そう言って、アリーセは2人にリフレッシュの魔法をかけた。
これで、疲労や魔力は回復するだろう。

「今ので、分かったんですか?」
「ええ、後でちゃんと説明しますわ。次は女子チームの模擬戦ですから、ちゃんと見ていて下さいね」

人の戦闘を見る事も勉強だ。
吸収できるところは、どこからでも吸収すべきなのである。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品