金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第36話 使用人たち

1週間が経過しようとしている時、使用人たちがアリーセが購入した屋敷に集まっていた。

「私、ベート家の家令を務めさせて頂きます、ロジェルと申します」

そう言って、燕尾服を身に纏い、白髪交じりの初老の男は綺麗に一礼した。
流石は、侯爵の紹介である。
いかにも、経験を積んだ、仕事のできる男と言った感じが伝わってくる。
歳は60手前といったところだろう。

「メイド長を務めます、セシールと申します」

綺麗に伸ばした銀髪を、ポニーテールにし、黒と白のクラシックなメイド服を身に纏っている。
こちらも、綺麗に一礼した。
燃え上がるような赤い瞳に、白い肌。
美人と言えるだろう。
歳は、20代前半といったところだろう。

セシルの他にも二人ほどメイド居た。
それぞれ名乗ると、一礼する。

「料理長のレオンと申します。よろしくお願いします」

コック帽を取ると、アリーセに深く一礼した。

「皆さん、よろしくお願いしますわ」

アリーセも軽く頭を下げた。

「それでは、皆さん、仕事に取り掛かりましょう」

ロジェルの指示により、それぞれ、割り振られた仕事に取り掛かる。
やはり、この執事は有能なのだろう。

「早速ですが、お嬢様、侯爵様より書簡をお預かりしております」

そう言って、ロジェルは1枚の手紙を渡してきた。

「ありがとうございますわ」

侯爵家の家紋の封蝋を開けるの中から手紙を取り出した。
そこには、有能な使用人たちを派遣した旨と、彼らを頼むという旨が書かれていた。
それに目を通し終わると、アリーセは手紙を戻した。

「ん? 何ですのこの気配は……」

屋敷の外で何やら、人間では無い気配を微かに感じ取った。

「お嬢様、私が見て参ります」

アリーセが外に様子を見ようとした時、後ろからセシールに声を掛けられた。

『嘘、あの気配を感じ取ったっていうの』

口には出せなかったが、心の中でそう思った。
何しろ、アリーセでさえ、微かに感じただけなのだ。
並の人間が感じ取れる訳が無い。

「お嬢様、特に異常は見られませんでしたが、これが落ちてました」
「これは……」

セシールから、半透明な赤い石のような物を渡された。

「人間では無い魔力を感じます」
「え、分かるんですの?」

人間では無い魔力を感じ取ったのはアリーセも同じだった。

「少々、魔術には自信がありまして」
「貴女、ただのメイドじゃありませんわね」

アリーセは魔法で、セシールのマナの流れ、要は魔力量みたいなものを見ようとしたが、いとも簡単にジャミングされてしまった。

「分かってしまいますか」
「私の魔法をジャミングしましたわね?」
「はい、私は戦闘メイドでございます」

戦闘メイド、それは戦闘スキルに特出したものをもつメイドの事である。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品