金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第35話 使用人の雇用へ

アリーセは自分の拠点となる屋敷に戻ると、2階の一番奥の部屋を自分の部屋とした。

「よいしょっと」

少ないながらの荷物をアリーセは床に置いた。

『浄化』

部屋全体に浄化の魔法をかけ、綺麗にする。
そして、窓を開けた。

「これは、使用人を雇う必要がありそうですわね」

幸いなことに、依頼をこなしているうちに、それなりの資金を蓄えていた。
とりあえず、今日は日が暮れるということで、部屋に備え付けられていた、天蓋付きのベッドに横になった。

「今日も、色々ありましたわね」

ベッドで、目を閉じると、やがて意識を手放した。

「ふぁぁ」

翌日、昼間前に、アリーセは起きだした。

「少し、寝過ぎましたかね……」

そう思うこともさることながら、ワインレッドのロングコートを羽織ると、自分の屋敷を出た。
数分歩き、侯爵家を訪ねる。

「やあやあ、屋敷はどうだ? 気に入ってくれたかね?」
「ええ、いい物件をありがとうございますわ。これ」

そう言って、革の袋に入った硬貨を、侯爵の前に置いた。

「おう、では、改めさせてもらうよ」

侯爵は袋の中身を確認していた。

「うん、確かに受け取ったよ」
「凄く安く譲って頂き、ありがとうございますわ」
「何、気にすることは無い」

侯爵は微笑みを浮かべた。

「それで、使用人を雇いたいのですが、どう雇ったらいいものか分からなくて」
「そういう事なら、私が紹介状を出そう。優秀な人材なら心当たりがあるでな」
「助かりますわ」

侯爵は執事とメイド、料理人を紹介してくれるらしい。

「君を失ったら色々と困るからな。あ、そうだこれを渡そうと思ったんだ」

侯爵は懐から、1枚の金色に輝くカードを取り出した。
そこには、侯爵家の家紋が描かれていた。

「これは?」
「君も外れとはいえ、貴族街に住むのだ。それは、正式に侯爵家が後ろ盾になる証と同時に、貴族と同等の力がある者とみなし、貴族用の施設も使えるようになる」

上級貴族には、それが認められていた。
侯爵以上の上級貴族でなければ、その権限を与えることは出来ないのだ。

「もらって、よろしいのですか?」
「ああ、存分に活用してくれたまえ」
「大切に使わせて頂きます」

そう言うと、アリーセはそのカードを内ポケットへと仕舞った。

「では、私はこれで失礼しますわ」
「おう、気を付けてな。使用人の件だが、一週間ほどでなんとかなると思うぞ」
「承知しましたわ。ありがとうございます」

そこまで言うと、アリーセは侯爵家を後にした。


****


あれから、一週間が経過しようとしていた。
侯爵から紹介を受けたという、使用人たちがアリーセの屋敷に集まった。

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