金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第26話 王都への帰還

ミスタンの街に滞在して、早いもので、三日が経過しようとしていた。

「今日、王都に戻られるんですよね?」

アリーセは、リビングのソファーに座っている侯爵に確認をした。

「おう、そうだな。昼過ぎには出たいと思う」
「分かりました。なんだかんだ、早かったですね」
「そうだな」

侯爵は、どこか、名残惜しそうな顔をしていた。

「お仕事ですから、仕方ないですね」
「まあ、仕方ない。帰る準備を始めよう」

そう言って侯爵は立ち上がった。
アリーセの方は、既に、いつでも出発する準備は出来ている。

「アリーセの方は、準備は出来ているのか?」
「はい、私は、いつでも大丈夫ですわ」
「分かった。では、帰るとしようか」

準備を終えた侯爵が、屋敷のリビングへとやって来た。

「承知しました」

庭に出ると、来た時と同じ馬車が止まっていた。

「じゃあ、俺は王都に戻る。こっちのことはよろしく頼んだ」
「分かっておりますわ」
「父上もお体には気を付けて」

ソフィもしばらくは、ミスタンの街に残るようである。
侯爵は、単身赴任という形になるのだ。

「では、帰りもよろしく頼むぞ」
「承知しましたわ。任せてください」
「相変わらず、頼もしいな」

侯爵はそう言って笑った。

「では、お乗りください」

執事のロルフに促され、侯爵とアリーセが馬車に乗りこむ。
帰りの馬車も、ロルフが御者を務めるとのことだ。

「では、出発致します」

間もなくして、馬車は領主邸を出発する。

「順調に進めるといいですね」
「ああ、それが理想なんだがな」

行きと違い、大きな敵襲も無く、順調に進んでいた。
この調子なら、日が暮れるころには王都に到着することが出来るであろう。

「これだと、日が沈む前には王都に入れますわね」
「おう、順調に進めて良かったわ」

街をいくつか通り過ぎ、翌日の日が傾き始めた頃、メールス王都が見えてきた。
行きは、思わぬ足止めを喰らってしまったが、帰りは比較的楽に帰ることが出来た。
魔物の遭遇がゼロでは無かったが、所詮は、アリーセの敵ではない。
サクッと片付けてしまった。

「王都、見えてきましたわね」
「いやあ、帰りも無事に進めて良かった。これも、アリーセのおかげだな」
「恐縮ですわ」

貴族用の門から王都へと入る。
侯爵家の家紋が、馬車に入っていることから、特に止められたりはしなかった。

王都の中に入り、侯爵家の屋敷の前で馬車は停車した。

「お疲れ様でございました。到着いたしました」

ロルフの言葉で、アリーセ、侯爵の順で馬車を降りる。

「ありがとう。護衛、ご苦労さんだったな」
「いえ、仕事ですから」
「それと、これを渡しておこう」

侯爵は、懐から、侯爵家の家紋が入った封筒を取り出した。

「これは?」
「Sランクへの推薦状だ。使ってくれ」
「ありがとうございます。助かりますわ」

そう言うと、アリーセは封筒を受け取った。

「何、このくらいの事気にするな。これからも頑張ってくれたまえ」
「はい、ご期待に沿えるように頑張りますわ」

アリーセは封筒をコートの内ポケットに仕舞いこんだ。

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