金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第25話 ミスタンの街

翌日、疲れもあったのか、太陽が完全に昇り切った頃に起きだした。

「完全に寝すぎてますわね」

ワインレッドのロングコートに袖を通し、部屋から出た。

「おはようございますわ」
「おはよう。よく寝れたみたいだな」

今日は仕事はいいのか、侯爵は優雅に紅茶を嗜んでいた。

「お仕事はよろしいのですか?」
「たまには、羽を伸ばさんとな。息が詰まるわ」
「その通りですわね。たまには、休んでください」
「ありがとうな」
「では、私は出掛けて参ります」

そう言うと、アリーセは玄関に向かった。

「いってらっしゃい。気を付けてな」
「はい」

アリーセは領主邸を後にした。

「へぇ、結構、活気がありますわね」

ミスタンの街の中央通りを歩いていた。
両脇には、様々な店が立ち並んでいた。

「そういえば、お腹がすきましたわね」

アリーセは恥ずかしながら、腹の虫が鳴りそうだった。
朝ごはんはおろか、お昼ご飯もまだ、食べていなかった。

「名物くらい聞いておけば良かったですわね」

そう思いながら、何となく歩いていた。
すると、いい匂いに誘われていった。

「お嬢さん、旅のひとかい? 良かったら食べていきな」

店主の親父にそう、すすめられた。

「これは、この街の名物なんですか?」
「ああ、そうだよ。いのししの肉を特製のたれで煮込んである。うまいぞ」
「じゃあ、一つ頂くわ」
「毎度あり、座って待っていてくれ」

アリーセは、近くにあった椅子に腰を下ろした。

「はい、お待ちどう」

待つこと数分、名物という料理が運ばれてきた。
出来立てということで、湯気が昇っていた。

「ありがとうございます。いただきます」

冷めないうちに、それを頬張る。
確かに、柔らかく、味が染みていて、凄く美味しい。

「ごちそうさまでした」

お腹が空いていたこともあり、あっという間に平らげてしまった。

「親父さん、美味しかったですわ。ご馳走さまです」
「おう、ありがとうな。また、寄ってくれ」
「はい、ぜひ」

アリーセは、店を出ると、また中央通りをぼんやりと歩いていた。

この街は、程よい活気がある。
これも、侯爵の人望あってのことであろう。
そんなことを思って歩いているうちに、数時間が経過していた。

「さて、そろそろ帰りましょう」

日も沈みかけてきたところで、アリーセは、帰路に就いた。

「ただいま戻りました」

領主邸に戻ると侯爵が迎えてくれた。

「おかえり。街は楽しめたかい?」
「はい、一通り見て回ってきました」
「そうか、それは良かった」
「やっぱり、いい街ですね。活気があります」

アリーセは、今日一日で周った、素直な感想を述べた。

「そうだろう。アリーセさんも気に入ってくれたようで何よりだ」

侯爵は上機嫌になっていた。

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