金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第24話 領主邸

それから、夕食をご馳走になり、お風呂まで頂いた。

「ここのお風呂、広いですね」

濡れた体と髪を乾かし終わり、領主邸のリビングへと戻ってきた。

「そうでしょう。凄く疲れが流れていきますよね」

ファミーユが微笑みながら言った。
こうして見ると、凄く綺麗な人だと思う。
侯爵やソフィと同じく、白い髪に、青色に透き通った瞳。
引き込まれるようである。

「はい、久しぶりにゆっくり浸からせてもらいましたわ」
「アリーセさんは、どうして冒険者に?」

そう、ファミーユに尋ねられた。

「私が、ミューレンの参謀だったことは?」
「ええ、主人から手紙で聞いていますわ」

そこから、アリーセは、ミューレン王国で受けてきた、仕打ちの数々を打ち明けた。

「それは、さぞかし大変だったでしょう……」

ファミーユは表情を歪ませた。

「でも、こうして今は、侯爵に良くしてもらってますし、この生活の方が楽しいくらいですわ」
「それは良かったです。主人もあなたのことは、恩人だと思っていますから、当然ですのよ。改めて、ありがとうね」
「本当に気にしなくても大丈夫ですわ。お礼の気持ちは十分に伝わっていますから」
「優しいお方ね」

そう言って、ファミーユは微笑んだ。

「おお、アリーセさん、お風呂上がったんだな」

その時、侯爵が入ってきた。

「はい、お先に頂きましたわ」
「今、部屋を用意させたから、好きに使ってくれ。今回の滞在予定は三日だ」
「承知しましたわ。聞いては居ましたけど、忙しいですね」
「ああ、仕方ないよ。アリーセも、付き合わせるみたいで悪いな」
「私は、構いませんわ。正当な報酬を頂いておりますから」

ギルドを通しているので、報酬は払われることは確約されているのだ。

「それで、明日はどうするか決まったのかね?」
「初めて来た街ですので、ちょっと見て回ろうと思いますわ」
「おう、そうか。それはいい。この街は色々あるぞ」
「分かりましたわ。ありがとうございます」

そう言うと、侯爵はメイドが淹れてくれた紅茶を口にした。

「では、私は先に休ませて頂きますわ」
「おう、お休み」
「おやすみなさい」

侯爵とファミーユに挨拶をすると、アリーセは従者により、部屋へと案内された。

「こちらをご自由にお使いください」
「ありがとうございますわ」

案内された部屋に入ると、アリーセはベッドに横になった。
ミューレンから追放された時はどうなることかと思ったが、メールスに来てその不安は払拭された。
人間は、皆が悪い人ばかりじゃないことを思い知らされた。
あのまま、ミューレンに残るより、よほど楽しく過ごせるかもしれない。
そう思いながら、アリーセは意識を手放した。

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