金髪縦ロール無双~無実の罪で国外追放された元天才参謀、世界唯一の女性Sランク冒険者になった途端戻って来いと言われましたがもう遅い。私の居なくなった国は急激に弱体化したようです~

津ヶ谷

第21話 護衛開始

それから、二日が経ち、三日目の朝、アリーセはいつもより少し早い時間に起きだした。

「おはようございます。今日から、護衛任務に行きますので、しばらく宿を開けますわ」

階段を降りると、カウンターの中に居た女将さんに、鍵を渡しながら言った。

「あら、そうなのね。気を付けていってらっしゃいね」
「ありがとうございますわ」

そう言うと、アリーセは宿屋を出て、侯爵家へと向かった。

「おはようございますわ」

宿屋からしばらく歩き、侯爵の元を訪れていた。

「おお、来たか。とりあえず、座っててくれ」
「承知しましたわ」

侯爵が上着を羽織ながら歩いてきた。

「今日はよろしく頼む。このルートで行こうと思うが、大丈夫か?」

侯爵は、アリーセの対面に座ると、一枚の地図を渡してきた。

「なるほどですわ。このルートなら、丸一日といったところですわね。問題ないと思いますわ」

その地図に目を通すと、アリーセはそのルートを頭に叩き込んだ。

「アリーセさん、今日はよろしくおねがいしますね」

ソフィも二階から降りてきた。
王都にソフィだけ残しておく訳にもいかないということから、ソフィも一緒に行くことになっている。

「こちらこそですわ」
「じゃあ、早速だが、行こうか」
「「はい」」

アリーセたち、三人は立ち上がった。
そのまま、屋敷の外に出ると、止まっていた、オーダン侯爵家の家紋が描かれた馬車に、侯爵、ソフィ、アリーセの順で乗り込んだ。

「じゃあ、出発してくれ」

御者は家令のロルフが務める。

「かしこまりました」

ロルフの合図で馬車は出発する。

「とりあえず、何事も起こらなければいいですわね」
「まあ、そうだな。毎回毎回、襲撃されたらたまったもんじゃない」

そう言って侯爵は苦笑いした。

「そうですわね」

馬車は、貴族用の門から、王都を出発する。
そこから、3時間ほど経過し、街を2つほど、通り過ぎた。
アリーセは、気配探知のスキルを常時発動させている。
低ランクの魔物なら、殺気を向けたら引っ込んでくれるが、そうもいかない魔物もいる。
幸い、今の所は気配探知に引っかかっていない。

「ん……?」

アリーセはのスキルに、魔物とは違う気配を探知した。
その瞬間、馬車が急停止した。

「どうした!?」

公爵が、ロルフに叫んだ。

「侯爵様と、ソフィは中に居て下さい。私が出ます。馬車からは絶対に出ないように」

そう言うと、アリーセは馬車から飛び降りた。

「おい、貴様ら。これが侯爵様の馬車と知っての行動か?」

戦闘スイッチの入ってしまったアリーセは、馬車の正面に回ると、そこに立っていた、人相の悪い男4人に声を掛けた。

「ああ、知っているぞ。少しばかり金を置いて行ってくれたら痛い目は見ないぜ、姉ちゃん」
「断ると言ったら?」
「力づくだ」

男どもは剣を抜いた。

「所で、嬢ちゃんが護衛か?」
「そうだが」
「笑わせるぜ。女が何が出来るってんだ」

男どもは、下品な笑い声を上げた。

「ほざけ、バカども」

アリーセは、黒い笑みを浮かべた。

          

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