悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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12話 ふてくされたバギー。


 12話 ふてくされたバギー。

「……出てこい、バギー」

 そう呼びかけると、

「……きゅぃ……」

 やる気のなさそうな、ふてくされ面の携帯ドラゴンが召喚される。

「弱ぇなぁ。完全なる初期能力……つぅか、なんか、こいつ……拗ねてねぇか?」

(そりゃ、一時的な仮ネームとはいえ、おかしな名前をつけられたんだから、怒るに決まっている。何を当たり前のことを。インテリジェンスアイテムの機嫌を損ねるなど愚の骨頂)

「……」

(どうした? 何か言いたげな顔をしているが?)

「……もういい……疲れた」

 諦め口調でそう呟いてから、

「まあ、何はともかく、これで、俺も、ようやく携帯ドラゴンの使い手になれたわけだ……これで、もう、黒木に頼る必要はない」

(残念ながら、バギーにアイテムサーチ能力はない)

「……えぇ……」

(完全版を召喚できたわけではないからな。ほとんど体験版みたいな状態のバギーには、ロックされた機能が無数にある)

「……もう……え、じゃあ、今後も黒木に頼るのかよ……もう、鬱陶しい……」

(ああ、そうそう。言い忘れていたが、今後も、薬宮トコたちからは憎悪を向けられておいた方がいいぞ。バギーの経験値取得率は、彼女たちから向けられる憎悪の量によって変動する。その割合は、最大で12000倍だ)

「いちま……また、すごい数字だな……まあ、トウシがかました数字と比べれば、たいしたことないが」

(彼女たちとノンビリ仲良く過ごしてもいいが、そんな状態で、ロイガー・オメガバスティオンを倒せるとは思うな)

「……ようするに、選択肢あるように見せて一択のパターンのやつか……はぁ……」

 心底ダルそうに、
 そう吐き捨てたところで、

 ……ピンポーン、

 と、チャイムが鳴った。

「え、まさか……あいつらじゃないだろうな……」

 などと、つぶやきつつ、
 センは、玄関に向かって、
 ガチャっと扉をあけると、

(……いや、こいつら、来るの早くねぇ? もうちょっと決断に時間がかかると思っていたが……)

 心の中で、鬱陶しそうに、そうつぶやいていると、
 目の前にいる4人組の一人、
 紅院が、

「あなたが、何に怒りを覚えているのか……教えてもらいたい。もし、解決できそうなら、協力を惜しまない……だから……その……」

 いつもは毅然とした態度の彼女だが、
 しかし、今はひどくおびえていた。

 目の前にいる男が『自分達では絶対に勝てない相手』だと理解しつつ、
 その上で、

 ――彼も人間なので、謎の怒りをおさめることさえできたら、もしかしたら『最強の協力者』になるかもしれない、

 という期待もしてしまっているため、
 どうしても、センに対する態度が、フヨフヨしたものになってしまう。

「あなたが強いのはよくわかった。出来れば、あなたには、敵ではなく、味方であってほしい……だから、何かできることがあったら――」

 そこで、センは、覚悟の深呼吸を決め込んでから、

「だから、性奴隷だっつってんだろ。俺のオモチャになるなら、薬宮トコにかけた呪いは解いてやる。ついでに、今後、時空ヶ丘に召喚される化け物も殺してやるよ。いい条件だろ。歓喜しな」


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