悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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86話 合体すると弱くなります。


 86話 合体すると弱くなります。

(さすがに、もう『暗号解読に慣れてきた』んと、『これまでに見つけてきた鍵とほぼ同じのが使われとった』んが幸いして、超短時間でこじ開けることができた)

「なに、こいつぅ……天才すぎて、もうキショいんですけどぉ。無理なんですけどぉ。さげぽよぉ」

 本音を吐き散らかしつつドン引きしているセンキーをシカトして、
 トウシは、たんたんと、

(スペシャルの中には、『合体によるデメリットの低下』の効果を持つものがいくつかある)

 『融合体質』というゴールドスペシャルが存在する。
 誰と合体しても、親兄弟レベルでの適合率に届くという破格のスペシャル。

 他にも、例えば、『スーパーフュージョン』という名前の、DNAレベルを少々いじくって、一時的に『お目当ての相手との合体に適合した肉体』に変化させる魔法なんかも存在する。
 スーパーフュージョンは、ランクが高ければ高いほど、適合率は上昇するが、ランク1とランク1000の差があっても、そこまで大きな変化は生じない。

 他にもいくつかあるが、
 どれも、手間暇コストのわりに、
 効果のほどは、そこまで高くない。

 ハッキリいって、コスパ的に見れば、
 合体は、あまりよい手段ではない。

 ちなみに、
 合体による戦闘力の低下率を、おおまかに表すと次の通り。
 ※ 個人で闘っていた時の戦闘力を100%で換算した場合の値。

 まったくもって性質が異なる他人 2%。
 体格や性格や属性などが似た他人 5%。
 融合体質            10%。
 親兄弟             12%
 双子              21%。
 異次元同一体          32%。
 シンクロ率を高めた異次元同一体 55%。

 『融合体質を持つシンクロ率を高めた異次元同一体が、スーパーフュージョンを使う』という条件でも、戦闘力の維持は70%前後が精々であり、普通に、だいぶ弱くなる。

 ようするに、神闘が必須の高次舞台における『合体』は、滑稽な愚行である。

(――合体関係のスペシャルの中の最高峰をムリヤリ捻出して、センキーにぶちこむ。問題なんは、すでに、容量がパンパンやということ。ソンキーにぶちこんだラッキー・ニルヴァーナが、むちゃくちゃ重くてなぁ……)

「じゃあ、もう、それ捨てたらいいんじゃね?」

(アクセサリーとちゃうねん。簡単につけ外しできるもんやない。ソンキーのビルド的に、ないと困る必須のスペシャルやしなぁ)

「ふーん……で?」

(適正値を上げること……容量を増やすこと……最低でも、この二つをクリアせんと、どうにもならん)

「どうにかできそうなのか?」

(トラペゾヘドニョンという、コアを増やすアイテムを魔改造した上で、具現化、さらに複製する。同時並行で、合体に関する禁域に踏み込んで適正値を上げるための方法を探す)

「すぐにできるのか?」

(最低でも1時間はいる)





「――了解だ」





 そう言うと、
 センキーは、精神統一。
 自分の意識を、武に没頭させる。


「あの化け物を相手に1時間稼ぐ。ミッション、了解」


 深く、深く、没頭していく。
 余計な雑念が全て溶けて、
 まっすぐに前を向く。

 そんなセンに、
 ヨグは、

「1時間か……くく」

 うすく笑ってから、

「1分で削ってやろう。絶望するがいい」

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