悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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66話 魂魄処理機構へアクセス。


 66話 魂魄処理機構へアクセス。

「俺はいつだって不完全さ。完全だった頃など一度もない。俺は永遠に、今の俺を置き去りにした『明日の俺』を追い続ける。そうやって、命を繋いできた。そんな俺を、貴様ごときが殺せると思うな」

 優雅に、気高く、
 流麗に、雅に、
 瀟洒な神々しさを瞬かせて、

 ソンキーは、ウムルと向き合った。

 艶やかに沈むように、シンと深く、
 キラキラと瞬くように雑味なく、

 たおやかに、ヒラヒラと、
 時の流れほど淑(しと)やかに、

 神々の武が、まじりあう。

 魔法と拳と剣が乱れ飛ぶ。
 ある意味で、酷くやさしく、
 互いの輪郭を探り合う。

 煽情的(せんじょうてき)に、
 突き詰めたように、きめ細やかに、

 時空の乱歩。
 陰影をにじませて、
 オーラと魔力が弾けて混ざる。

 涼やかな絵画。
 独特で繊細なタッチ。
 荒々しさを感じさせながらも、
 どこかで、やはり、狂気の気品を感じさせる。

 ――『?????エンジン搭載型ウムル=ラト』は、とんでもない強さだった。
 ソンキーにすら楽勝を許さないレベル。

 けれど、結局のところ、結果は、あっけない。

「強かったぜ、ウムル。なかなか、いい感じにぶっ飛んでいた。おかげで、少し強くなれた」

 ソンキーは、
 ニっと笑って、

「ま、それ以上の感想はないけどな。所詮は疑似エンジンを搭載しただけの空虚なレプリカ。俺の前で、最後まで舞う資格は持ち合わせていない」

 最後に、サラっと、そう言うと、

「異次元砲」

 サクっと、とどめの照射をぶちこんで、
 ウムルを抹殺してみせた。


「……ふぅ」


 軽く息を整えると、

「それでは、休息の続きに入る。もう問題はないと思うが、もし、何か起きたら呼びにこい」

 そう言ってから、瞬間移動で、仮眠室に戻った。


 ★


 ――次の日、
 トウシは、コスモゾーンの禁域に挑んでいた。

 その狂ったような頭脳を無双乱舞させて、
 どうにか、禁域を突破しようと必死。

(……あと少し……もう少し……)

 頭が爆発しそうなほど、
 演算を繰り返した結果、
 トウシの頭脳は、ついに、
 コスモゾーンの最深部の『一つ』にたどり着く。

(……来たっ……)

 コスモゾーンの禁域に隠されていた、
 『魂魄処理機構』の領域にアクセスすることに成功。

(恐ろしく複雑なシステム……下手にいじくったら、全部がバグりそうやな……)

 ソースコードを読み込んでいくトウシ。
 作成者のクセが出まくっているタイプのコードで、
 死ぬほど読みづらいのだが、
 トウシの読解力があれば、
 どうにか、頭の中で解析処理することが可能。



 ※ 魂魄処理機構とは、『世界そのもの』と、『その世界で生きる生き物』に備わっているものであり、『魂と経験値取得』に関わる重要なシステムである。

 ――命を殺した時、殺した人に経験値が入るのには
 ①世界の魂魄処理機構が『誰が死に触れたか』を判別する。
 ②殺した人の、個人の魂魄処理で魂が処理される。
 ③世界の魂魄処理機構で処理される。
 という、三段階が必要である。

 ――個人の魂魄処理機構はレベルが上がるのに合わせて成長し、魂魄処理機構の演算速度が向上する。

 ――一方、魂魄処理機構では処理し切れない怨念や執念などが現世に残る事もあり、【邪悪】や【混沌】などの属性で死を迎えた者は特にその傾向が強い。

 ――自殺に関しては別のシステムが用いられる。
 自殺に対する「反応プログラム」は、自然死や他殺と異なる。
 また、各世界ごとに、処理システムの反応が異なり、
 特に、「第一アルファ」と「その他」ではかなりコードが違う。

 ――どの世界でも、基本的に自殺した魂魄は「所有権の放棄」という扱いを受ける。
 例外もあるが、基本的には「輪廻の輪」から外れ、「命の完全なる死」を迎える。

 ――「完全なる死」を向かえた場合、「亡くなる」ではなく「無くなる」という扱いをうける。




(だいたい分かった……)

 ……ほんの数秒で、システムの全てを理解すると、
 トウシは、

(ワシ個人の魂魄処理機構に関するコードの倍率をいじるだけなら、そこまで危険度の高い作業やないな……『経験値取得倍率』を変更して、レベリングの最大効率化を図る。問題になるのは、魂魄をどこから捻出するか……少し、別角度から、せめてみるか……)

 頭のギアを変化させる。
 思考の方向性をシフト。

(質量保存システムの方は、あまりに強固すぎて、完全突破は、どうあがいてもできそうにないけど、アーカイブメモリの方につなげるだけなら、やり方次第で、不可能では……)

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